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「トランスフォーマー」を観る [映画・BD・DVD]

というわけで、昨日CDを購入した巨大なショッピング・センターに併設されているシネコンで、現在大ヒット中の「トランスフォーマー」を観て来た。

製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ、監督は「ザ・ロック」「アルマゲドン」「パール・ハーバー」など、大味でド派手なハリウッド大作ならまかしとけ!のマイケル・ベイ。この二人が手掛けたということで前評判がかなり高かった作品だ。

アメリカでも人気があるという日本のおもちゃが元になったアニメが原作で、これを最新のCG技術を駆使して「これでもか」というほどのド迫力で実写化したSF作品である。

確かにCGはスゴい。よくもまあここまでものスゴい映像を作り上げたものだと感心する。
しかし残念ながらそれだけの映画だった。物語として何の感動もないし、大体ストーリー自体が何のひねりも意外性もない。ただただ巨大な鉄くずの塊みたいなロボット同士(厳密には地球外の金属生命体)の戦いを楽しむための映画で、ほとんど何の思想性もない。
こういう映画は頭をカラッポにして怒濤のように押し寄せる迫力だけを楽しめればいいのだが、残念ながら私にはそれをすんなりと許容出来るほどの度量がなかったようだ。

これではカタルシス目的の破壊・爆発・戦闘が大好きな、それだけ観られればもう満足です、中身どうでもいいです、ハリウッド大作バンザ〜イ!っていう人にしか評価されないだろう。ほとんど子ども騙し、とまでは言わないが、大人が楽しめる映画ではないと思う。

何しろ監督がド派手大好きマイケル・ベイなのだ。この人「アルマゲドン」までは何とか許せたが「パール・ハーバー」以降は絵づらだけスゴいけど中身はカラッポという映画しか撮っていない。ジェリー・ブラッカイマーと組むと最悪だし。イカンよ、これじゃ。今回はスピルバーグが後ろについていながら何やってんの、彼も。金出しただけで口は出さなかったのか?

私は基本的には劇場の大スクリーンで観てこそという、こういうド迫力映画は決して嫌いではない。むしろ大好きだ。評判も悪くないみたいだったしちょっと期待していたのだが、しかしここまで何の感動もないとはねえ。ガッカリの作品だった。
こないだタランティーノ監督の「デス・プルーフ」みたいな刺激的な作品を先に観ちゃっただけにそれと比較してしまい、更に残念度はUPだ。
なんか続編が作れそうな終わり方だったんでパート2がまたあるかも知れないけど、もう観には行かないな。


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「デス・プルーフ」を観る [映画・BD・DVD]

昨日CDを買った某HMV(某ぢゃないじゃん)の隣りに東宝シネマズがある。
ホテルの目と鼻の先にあるし、しかも夜8時を過ぎるとレイト・ショー割引で¥1,200で観られるとあってはこれは観ない手はないと思い、夜に出かけた。

「トランスフォーマー」とどっちを見ようか迷ったのだが、1日に公開になったばかりのクエンティン・タランティーノ監督が「キル・ビル」以来3年振りにメガフォンを取った最新作「デス・プルーフ in グラインドハウス」を観て来た。

結論から言うと、もうサイコーに面白かった!カタルシス全開の後半からエンディングへの流れが何とも壮快である。
今回は「キル・ビル」みたいなエグいシーンはあんまりないし、ストーリーもわりと明快である。

この映画、4月に全米で公開された時にはタランティーノ監督の盟友であるロバート・ロドリゲス監督の「プラネット・テラー」との2本立てで公開されていた。
副題の"グラインドハウス"というのは、60年代から70年代にB級作品を2,3本立てで観せる映画館の俗称で、そこで上映されていた俗っぽい内容の低予算映画にオマージュを捧げる意味で同じく2本立てで公開されたのだが、これでは上映時間が長過ぎて全米公開時には動員数があまり振るわず、大ヒットには至ってないようだ。
これを受け、アメリカ以外の国々ではこの2作品を別々に公開しているようだが、日本でも「プラネット・テラー」の公開は9/22からになる。

クルマに乗った殺人鬼を演じるカート・ラッセル以外に有名な役者は出ていないところも低予算ぽくていいのだが、元は映画のスタントマンだという設定のカート演じる殺人鬼の乗ったクルマが、ドライバーが絶対に死なないように頑丈に改造されたスタントマン用の"耐死仕様"となっていて、これが"デス・プルーフ"ということなのである。

この殺人鬼はクルマに乗った女の子たちを襲い、自らのクルマを300キロを超す猛スピードでわざとぶつけて大破させ、相手のクルマの女の子たちを死に至らしめることで快感を得ているとんだサイコ野郎なのである。こういう発想がいかにもタランティーノ監督らしい。

しかし、ある日彼が狙った獲物は相手が悪かった。彼女たちは現役のカー・スタント・ガールで、命を狙われて黙って引き下がるタマではなく、そこから彼女たちの大胆なリヴェンジが始まるのであった。

この作品、時代設定は現代だが、出て来るクルマが70年代の名車だったり、デジタルで撮っているのにも関わらずわざと画面に古いフィルムのようなキズを入れまくったり、コマが飛んだり、突然モノクロになったりと、70年代の場末の小汚い映画館で観ているような芸が細かい笑っちゃうほどの凝った演出も監督のリスペクトを強く感じる。
そのわりに音声はしっかりドルビー・デジタル・サラウンドなのだが、この際モノラルにしちゃってもよかったのでは、と思った。

更に「キル・ビル」のテキサスの教会での惨殺シーンのところで出て来る親子警官がまた出て来たり、携帯の着信音が同じく「キル・ビル」ダリル・ハンナが看護士に化けて昏睡状態のザ・ブライドを殺しに来るシーンのバックでかかっていた口笛の曲だったりと、ちょっと「キル・ビル」とリンクしているというシャレっ気もあるところがナイス!(笑)
また更に、CGなしで実際に激しいスタントをこなすゾーイ・ベル(上の写真で一番背が高い人)は「キル・ビル」ユマ・サーマンのスタントをやった人だという。そんな人まで配置している。

前半までは主人公の女の子たちのどうでもいいような他愛のない会話などがダラダラと続いてちょっとダルい感じがあるのだが、この演出も狙っているとしか思えず、この淡々とした展開から急にクライマックスへ向かう後半への対比というか落差がスゴイ。

いやー、観に行ってよかったっ。仕事のあれこれをしばし忘れ映画の世界に没頭して気分転換にもなったし、観終わったあとスッキリ壮快になれる作品である。
ただし、この映画はあくまでB級映画の作風を真似たオマージュ作品であり、普通のハリウッド大作なんかと全然次元が違う作品なのでそんなのと比べてはいけない。
そのチープな感覚をとことん楽しむのがこの映画の正しい鑑賞のし方である。

これはもう22日からの「プラネット・テラー」も絶対観たい。
こちらの作品はゾンビもの。ゾンビに喰いちぎられた足にマシンガンを装着して戦いに挑むスゴイ女性が主人公の映画だ。

ちなみにアメリカではこの9/18に「デス・プルーフ」が、10/16には「プラネット・テラー」のDVDが発売される。買っちゃおうかな〜(^ω^)


「デス・プルーフ in グラインドハウス」「プラネット・テラー in グラインドハウス」の公式HPはこちらをポチッとな。
       ↓
http://www.grindhousemovie.jp/


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「スターウォーズ」トリロジー30周年記念特製缶BOXを購入 [映画・BD・DVD]

1977年夏に全米で第1作目が公開されてから今年で30周年という「スターウォーズ」だが、エピソード4、5,6のDVDをまとめて特製の缶BOXセットにした「スター・ウォーズ」トリロジー リミテッド・エディション 30周年記念特製缶BOXが発売されたので購入した。

EPISODE 4,5,6は2004年に初DVD化されたときのものをすでに持っているが、これは1997年に新たに未公開シーンやSFXを改良して当時リバイバル公開された特別版のDVD化だった。
今回購入したものはメイン・ディスクは同じヴァージョンだが、ボーナス・ディスクとしてオリジナルの劇場公開版が付いているのである。これが目当てで購入した。

中身のDVDは3組とも昨年期間限定で発売済みのものと同じだが、これを買いそびれていたのと、なんと値段がamazonやHMVなどほとんどのショップで標準小売価格の50%の¥4,485という激安だったこともあり購入にはほとんど迷いがなかった。
でも、ただ缶入りというだけでそれ以外に何かオマケが入っているわけでもなく、無造作にDVDが3組入っているだけというのはちょっと寂しい気がするが、私の目当てはあくまでボーナス・ディスクなので、まあ許す(笑)。

実はこのオリジナル劇場公開版は監督のジョージ・ルーカスが以前は全くDVD化する意向がないということを強く公言していたのだが、DVD化を望む多くのファンの声に負けたのか、昨年期間限定とはいうものの、突然DVD化されファンを喜ばせた。

しか〜し!このオリジナル公開版、DVD化に当って何の修復作業もなされていない、フィルムにまったく手を加えていない素のままの状態で収録されており、必要最低限の色調補正すらされていない。
まるでかつてのビデオやLD並みの画質で、DVDであるだけマシという状態なのである。スクイーズ収録もされていないので、大画面での視聴ではかなりアラが目立つ。
やはりルーカスはもはやこのオリジナル公開版には何の愛情もこだわりも持っていないということがよく分かる、やっつけ仕事みたいなDVD化だ。

私のようなリアルタイムでこの映画をずっと観て来た世代にはどうしてもオリジナルの劇場公開版に思い入れがあるのだが、これではさすがに観る気が失せる。高画質・高音質の特別版が標準となってしまった今では、このオリジナル公開版ディスクはあくまでオマケ的扱いでしかないようだ。

逆に言えば特別公開版の高画質に改めて驚かされるとともに、ルーカス監督の細部にまでこだわったレストアや改変ぶりには「これが私が見せたかった本物の『スターウォーズ』だ!」という強い意志を感じるのである。

でも値段も安いし、画質は悪いがオリジナル公開版も観られるし、限定缶ボックス仕様ということで、特に初期の3作をちゃんと観たことがない方には一応オススメのボックス・セットだよ、フー、コー(ダースベイダーの呼吸音)。

「スター・ウォーズ」トリロジー リミテッド・エディション 30周年記念特製缶BOX

「スター・ウォーズ」トリロジー リミテッド・エディション 30周年記念特製缶BOX

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2007/08/10
  • メディア: DVD


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「さくらん」のDVDを観る [映画・BD・DVD]

写真家・蜷川実花の初監督作品として話題を呼び、今年の春かなりの観客動員数を記録した映画「さくらん」のDVDを観た。

原作は「ハッピー・マニア」、「働きマン」などの売れっ子漫画家・安野モヨコ(ちなみにダンナは「エヴァンゲリオン」庵野秀明)、監督は演出家・蜷川幸雄の娘で写真家の蜷川実花、脚本は「タカダワタル的」などでは監督だったタナダユキ、音楽は椎名林檎、主演はモデル出身で現ロック・シンガーでもある土屋アンナという、女性パワー炸裂の映画である。

共演者は土屋アンナ演じる主人公・きよ葉(花魁となってからは日暮と名乗る)が身を置く遊郭「玉菊屋」の主人に石橋連司、その女将に怪演を見せる夏木マリ、先輩の花魁(おいらん)役には菅野美穂木村佳乃、きよ葉の8歳から花魁になるまでのすべてを見て来た、きよ葉とは微妙な関係の男に安藤政信、浮世絵師役の永瀬正敏、きよ葉が仕事上の立場を忘れ相思相愛となる小間物屋の若旦那に成宮寛貴、きよ葉の身請けを申し入れる大名役に椎名桔平など多彩で豪華。
カメオ出演、またはそれに近い短い出演で小泉今日子忌野清志郎ゴリなども出ている。
元夫婦であった永瀬正敏小泉今日子が鉢合わせの場面はない。あぶねー、あぶねー(何が?)

舞台は江戸時代の吉原遊郭。そこに8歳で身売りされてから売れっ子の花魁となって行く一人の少女の物語であるが、まず目に痛いほどの原色使いのきらびやかなセットや着物に目を奪われる。
この辺りには蜷川監督の写真家としてのこだわりを感じるが、このDVD化において劇場公開版よりも発色をかなり強めにオーサリングし直したという効果も利いているようだ。

この手の顔は江戸時代じゃモテないだろ、というハーフである土屋アンナのバタくさい顔が最初ちょっと違和感があるが、鼻っ柱が強く、気に入らない客には平気で喧嘩を売るようなハッチャけたパンキーなキャラであるこの主人公には「下妻物語」でヤンキー少女・いちごを演じた彼女でなくては成立しなかったかもしれない。それほど今回のキャラもハマっている。

土屋アンナもそうだが、先輩の花魁役の菅野美穂木村佳乃は体を張った体当たり演技で濡れ場を演じて頑張っているのは見ものだ。
きよ葉の初めての客で、最期まできよ葉のことを気遣っていた大店(おおだな)の主人を演じた市川左團次の存在感も光っているのはさすが。

日本映画には演出や編集のマズさから来るテンポの悪い作品が実に多いが(これは日本人本来のリズム感の悪さから来ていると思う)、私はテンポというものをけっこう気にする。この作品では前半のテンポはいいのに、後半ちょっと間延びしている感じなのが気になった。ただ、ダラダラした感じはあまりないので救われている。
原作を読んだことはないので何とも言えないが、漫画が原作であることを考えるともっとテンポがあってもいいし、きよ葉のキャラももっと破天荒でもいいと思った。

ストーリーにもうちょっとメリハリが欲しい、物語のキーポイントとなる桜の花が淡いピンク色なので極彩色のセットや着物に負けちゃってて説得力に欠ける、ラストシーンへ繋がるまでの伏線が弱すぎてちょっとラストが唐突な感じになっている、といったところは正直言って残念な点だった。

しかし何と言っても映像美という点ではさすがに写真家が撮っただけあって見事な美しさだし、かつては歓楽街・歌舞伎町がテーマの曲を歌っていたこともある椎名林檎の独特の感性による音楽がこの映画の各シーンに違和感なく収まって効果的に使われているというのは特筆すべき点である。

遊郭というと悪く言えば売春宿だが、そこに暗さやネガティヴさなどが微塵もなく、遊郭に身を置く花魁たちもそこへやって来るさまざまな客たちもそれぞれが粋でプライドを持って明るく堂々と生きている様が全体を通して描かれている点はよかった。
いい時代だったのかもしれない。そんなことをちょっと思ったでありんす〜。

あ、ディスク2のボーナス映像はまだ観てないでありんす〜。

製作:アスミック/講談社 2007年度作品 111min.
ビスタ・サイズ(スクイーズ)
作品評価 ★★★☆
画質評価 ★★★★☆
音質評価 ★★★★

「さくらん」Theatrical Trailer;


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「ドリームガールズ」のDVDを観る。 [映画・BD・DVD]

今日は歯医者はお休み、家で一日ゴロゴロしていたが、そんな中ようやく「ドリームガールズ」のDVDを観た。

このDVDは通常のトール・ケース版とCDサイズのデジ・パック仕様のものとの2種類があるが、私が買ったのはデジ・パック仕様の方。このデジ・パック仕様版はどこのショップに行ってもほとんど見かけないが、売れないと判断されあまり在庫している店がないのだろうか?
あ、トール・サイズのDVDの棚に陳列した場合に目立たないというショップ側の都合かもね。
てことは結局は別にこんな仕様で出さなくても良かったってことじゃないの?(笑)。
2000年くらいまではソニー・ピクチャーズや東宝などがCDと同じジュエル・サイズで出していたが、それを彷彿させるパッケージでまあちょっと懐かしい感じではある。

すでにParlophone(遼)さんやDEBDYLANさんがこの映画をブログで紹介済みだが、お二人ともになかなか高評価だったので期待して鑑賞した。

'81年に初上演されてからロング・ラン・ヒットとなったブロードウェイ・ミュージカルの映画化で、ストーリーはモータウンシュプリームスをモデルにしたフィクション。監督は同じくブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品である「シカゴ」(2002)に続いてのミュージカル作品となるビル・コンドンである。

フィクションとはいうものの、基本がモータウン・レコードとシュプリームスの歴史を参考にしたものだが、私はどこからどこまでがフィクションなのか細かいころまでは詳しくないので、すべて事実と錯覚してしまいそうなくらいのストーリー展開だった。
実際と決定的に違う主な点はキャンディーズみたいな(笑)リード・シンガーの交代はなく、ダイアナ・ロスがグループを抜けるのは人気を得たずっと後年になってから、しかも解雇じゃなく自主的だったってことろ。みなさんもこれくらいは当然ご存知でしょう。
50年代の終わりから70年代中盤までという時代背景の中で移り変わって行く懐かしいファッション、メイク、ヘア・スタイル、クルマなど、その年代描写はかなりリアルである。

そしてこの映画で一番の収穫は、最も才能がありながらルックスがいまいちという理由でメインを外され、しまいにはドリームズを追い出されてしまうエフィを演じた、これがデビュー作となるジェニファー・ハドソン。歌唱力のスゴさではもう圧倒的に主役のビヨンセを喰っている。

グループ解雇を言い渡され、曲名は忘れたがその場面で熱唱するシーンは圧巻だ。彼女の切実な心情を感情表現たっぷりに見事に歌い切っていて、その迫力に目頭が熱くなるくらい感動してしまった。新人ながらその存在感や豪華な共演者たちを目の前にしながらの演技や歌いっぷりは堂々たるものだ。アカデミー助演女優賞獲得もうなづける。うんうん(とホントにうなづく)。

それにしても、ルックスはいまいちだが歌唱力は最高のジェニファー・ハドソンと、ルックス抜群、歌唱力は決してヘタではないがハドソンと比較すると見劣りするビヨンセという、実際のそれぞれのキャラどおりのキャスティングがあまりにそのまんまで、観ていてちょっとリアルすぎる(笑)。
ハドソンとしては自分をブスと認めるようなこのような役での出演承諾までにはいろいろ複雑な思いや葛藤があったのではないだろうか。
まあそれはビヨンセも同様だろうが、ブス・キャラじゃないだけマシというものだ。

ほか、モータウンの創始者ベリー・ゴーディ Jr.をモデルにしたマネージャー役に「レイ」(2005)のジェイミー・フォックス「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローヴァー、どう見てもモデルはマーヴィン・ゲイと思われるシンガーを演じるご存知エディ・マーフィという布陣もなかなか豪華。エディ・マーフィはかつてアルバムを出していたことがあったと思うが、その歌唱力もかなりのものだ。

音楽がまた素晴らしい。いかにもシュプリームスやマーヴィン・ゲイが歌っていそうな、ホーランド=ドジャー=ホーランドが書いたモータウンの名曲の雰囲気をうまく再現した楽曲の数々。
明らかにジャクソン・ファイヴを彷彿させるグループが出て来て、「I Want You Back」みたいな曲を歌っているのには思わず大ウケ〜(笑)。ラトルズのジャクソン・ファイヴ版かよ!ってくらいにソックリで笑ったー。

アメリカのショウ・ビズ界の内幕を描いている側面もあるストーリーだが、60年代当時、黒人音楽を白人にもウケる商業ベースに乗せるためには手段を選ばないジェイミー・フォックス演じるマネージャーのいやらしいまでの強引なやり方も実際にあれに近いことが当時なら多かれ少なかれあったと思われ、その辺がなかなかにリアルでコワイ。

ちょっとテンポがバタバタしていて、次の場面ではいきなり数年後に飛んだりするのがちょっとせわしない感じもしたが、ミュージカルが基本的に苦手な私も十分楽しめる映画だった。
でもいくら舞台がデトロイトとは言え、実際のモータウンは自動車修理工場の中でレコーディングはやっちゃいないはずだけど(笑)。それとも私が知らないだけで、そういう事実が実際にあったのかも?

特典映像は本編では途中で切られている音楽シーンのフル・ヴァージョンが観られたり(ジャクソン・ファイヴもどきもフルで観られる・笑)、2枚目のボーナス・ディスクもメイキングを始め、本編より長い185分も収録されていてかなり充実している。

音声はドルビー・デジタル音声しか収録されていないが、出来ればドル・デジより迫力があるDTS音声も収録して欲しかった。
こういう音楽映画こそ5.1chサラウンドでの視聴が普通に観るよりはるかに臨場感があって素晴らしい。

パラマウント/ドリームワークス作品 上映時間130min.
シネスコ・サイズ(スクイーズ)
作品評価 ★★★★☆(5段階評価、☆はオマケ)
画質評価 ★★★★
音質評価 ★★★★


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「ツイン・ピークス」DVDボックス・セット [映画・BD・DVD]

鬼才デヴィッド・リンチ監督が手掛け、今もカルト的人気を維持するTV番組「ツイン・ピークス」のセカンド・シーズンのボックス・セットがファースト・シーズンのボックス・セット発売から5年を経てこの11月、ようやく発売の運びとなった。

ここでしか観られない映像特典が収録されている全シーズン10枚組の「ツイン・ピークス:ゴールド」ボックスも発売される。
う〜ん、お金が・・・。

「ツイン・ピークス」の日本で初めての放映は1990年に民放初の衛星放送局としてWOWOWが開局された当初の目玉番組としてだったが、その後地上波でも何回か放送された。
私はWOWOWは開局後すぐに視聴契約していてその時初めてこのドラマを観たが、これがハマりにハマった。
ドラマは全話録画し、しかも2カ国語音声の日本語吹き替え版とあとから放送されたドルビー・ステレオ音声の字幕スーパー版の2種類とも録画した。何回もあった再放送も地上波での放送もやるたびにとことん観た(笑)。

私に限らず、ピーカーと呼ばれたこのドラマにハマった熱狂的ファンは当時数多くいたものだ。
その社会現象ともいうべき盛り上がり方は現在の「24」や、かつての「X-ファイル」などの比ではなかったし、まさに海外ドラマブームの走りと言っていい。
その人気振りはドラマ攻略本やロケ地のマップなどさまざまな関連書籍やグッズにおいても展開され、私も何冊か書籍を購入したりしたが、観ていないとハミにされるほどの話題性があったものだった。


ローラ・パーマー(シェリル・リー)。この美しき女子高生が殺害され、その死体が発見されるところからドラマは始まる。

当時全米で毎週高視聴率を上げて話題騒然となっていたドラマということで、鳴り物入りでの日本上陸だったが、しかしさすがに奇人・変人のリンチ監督作品とあって、内容の方は一筋縄ではいかない不可思議な作品である。

まず、登場人物の多さ。これを把握するまでしばらく時間がかかる(笑)。しかも本筋であるローラ・パーマー殺人事件の他にサイド・ストーリーがいくつかあり、それぞれが同時に進行して行くので、1回見逃すとワケの分かんないことになる。


ローラ・パーマー殺人事件を追うFBI特別捜査官クーパーを演じた主演のカイル・マクラクラン
「ダイアン、ここはたいそうな田舎町だ。」

亡くなった夫の霊が宿っているという丸太を抱いた丸太おばさん、クーパー捜査官の夢の中に出て来て助言を促す巨人、テープの逆回し声で話す謎の小人、「X-ファイル」のデヴィッド・ドゥカヴニー演じる女装趣味のFBI捜査官、リンチ監督自らが演じた補聴器を付けて大声で話す耳の遠いFBI長官など、変なキャラの人たちばっかりが登場するのも特徴的だ。
リンチ作品には大体こういった普通じゃないキャラが必ずと言っていいほど登場するが、この辺りにリンチ監督のフリークスに対する何らかのこだわりを感じる。

そしてこの作品では悪霊や神、夢の中の世界といったスピリチュアルなものがドラマの展開上の重要なカギになっている。殺人犯は人間に取り憑いては犯罪を犯す邪悪な霊魂なのだった。
この作品以外に「マルホランド・ドライヴ」「ロスト・ハイウェイ」といった作品にもそういった不思議で霊的なものがドラマの要になっているが、そういったものへの執拗なまでのこだわりもリンチ監督ならではの作風である。

しかし、高視聴率を誇ったこのドラマもローラを殺害した犯人が分かり、まったく別な展開を見せ始めた第2シーズン後半からはとたんに視聴率はガタ落ちになった。全米の視聴者がワケの分からない展開について来られなくなったのだった。
そしてついにはシーズン途中であえなく打ち切りという憂き目に遭うのであった。

そしてあの「ええ〜っ!そ、そんなあ〜!」という中途半端でフラストレーション溜まりまくりの最終回を迎えるのであるが、このあとリンチ監督は劇場用作品としてこのドラマの続編「ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間」を作ることで一応のケリを付けた。しかしこの作品であの最終回のナゾが解き明かされたわけではなかったのが非常に残念だった。

そんなピーカーやリンチ・ファン必携のボックス・セット発売であるが、いかんせん値段が高いなあ。1セット¥12,285也。ゴールド・ボックスは¥31,500だ。う〜ん、どう捻出しようかアタマが痛い(苦笑)。

ここでリンチ作品のほとんどの音楽を手掛けているアンジェロ・バダラメンティのテーマ曲も懐かしいオープニング・シーンを。



そんなリンチ監督の「マルホランド・ドライヴ」以来5年振りとなる期待の新作「インランド・エンパイア」が間もなく公開される。こちらもものすごく楽しみだ!

主演は「ブルー・ヴェルヴェット」「ワイルド・アット・ハート」の過去2作のリンチ作品に出演しているローラ・ダーン
他にはジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタントン、ウィリアム・H・メイシー、ナスターシャ・キンスキー、ナオミ・ワッツ、日本からなんと裕木奈江が出演しているという。
内容は「マルホランド・ドライヴ」に続きまたまたシュールで不可解なものらしいが、そこを首をひねりながら自分なりに理解し楽しむことこそデヴィッド・リンチ作品鑑賞の醍醐味でしょう。

「インランド・エンパイア」の公式サイトはコチラをポチッとな。


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DVD3本を観る [映画・BD・DVD]

連休もとうとう今日が最後、明日からまた長い出張に旅立ちます。
しかし今回の休み中随分ハイ・ペースでブログの更新したなあ。何だか書きたいネタが今回はありすぎて困ったくらいだった(笑)。

で、連休最後のネタはこの連休中に観たDVD3本の感想でも書こうと思う。
先日記事にした「ロッキー・ザ・ファイナル」を含めると全部で4本観たが、どれもハズレなしの傑作だった。

まずは3月から私が出張から帰るのを家で待っていた(笑)「フラガール」から。

「スウィングガールズ」のヒット以来、ある目的に向かってその分野ではドシロウトだった人たちがみんなで頑張り最後は感動!というパターンの映画が増えたが、この映画もその手の映画である。
「スウィングガールズ」との違いは、このストーリーが実話を基にしたものであり、コメディ・タッチな中にも登場人物たちの陰影がはっきりとドラマとして描かれているという点だろうか。

炭坑の町だった福島県いわき市が炭坑の閉鎖に伴いそれに変わる生き残り策として思い立ったのがのちに全国的にも有名になった常磐ハワイアン・センター
スパリゾート・ハワイアンズと名前を変えて現在も存在するその成り立ちを背景に、そこでハワイアンを踊ることになった女の子たちやその家族の悲喜交々を交え、彼女たちの奮闘ぶりが感動を呼ぶ作品である。

炭坑町をバカにしながらも借金のために仕方なくやって来たワケありのハワイアン・ダンサーを演じた松雪泰子がまずいい味を出している。正直それほど演技力があるとは思えないしちょっと旬が外れた感も否めない女優さんではあるが、なかなかダンスも頑張っていてこの人しか出せない存在感がよかった。
そして蒼井優である。この子がまたいい。長澤まさみ、堀北真希、綾瀬はるか、沢尻エリカなど同じ世代の若手女優がたくさんいる中で演技力は一番かな。私のタイプは長澤まさみなんだけど(笑)。

最初は反目し合う先生(松雪)と生徒(蒼井)がしだいに打ち解け合い、最後はお互いを尊敬し合うように変わって行くのだが、見せ場である最後の全員で踊るハワイアン/ポリネシアン・ダンスは圧巻だ。蒼井優のソロのダンス・シーンも意外にセクシーで、キツかったレッスンの成果が見事に出ていた。

2枚の特典ディスクには松雪泰子が演じた先生のモデルになった本物の先生のコーチのもと、3ヶ月に及んだ過酷なダンス・レッスンの様子や撮影裏話が収録されているが、これを観ると感動も倍増する。みんなとっても頑張って泣きながら毎日5,6時間のダンス・レッスンに耐え、ラスト・シーンの全員によるダンスの撮影では、最後やり切った達成感に全員マジ泣きだったのである。こっちももらい泣きだ。
エキストラの観客による声援やスタンディング・オベーションも自然に出たものだったというのがスゴイ。

けっこうベタな展開ではあるが、それでも感動するのはドラマとしてストーリーがしっかりしていることと、見事なダンス・シーンを披露するエンディングがあればこそ、である。
★★★★☆

フラガール メモリアルBOX

フラガール メモリアルBOX

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • 発売日: 2007/03/16
  • メディア: DVD



続いては先日近所の新古本/新古CDショップ(某BOぢゃないよ)でたまたま見つけて購入した「X-MEN : ファイナル・ディシジョン」。買いそびれてたんだよね、これ。

これがまあ、3部作の最後にふさわしいスケールでものすごいことになっていた。
あんまり書くとネタバレになるので書けないのが歯痒いが、ミュータント因子を抑える特効薬が開発され、ミュータントは人間になるかそのままミュータントして生きるかの選択を迫られる。
この特効薬をめぐって最後はマグニトー一味とX-メンとの呆気に取られるほどの壮絶なバトルが繰り広げられる。

死んだはずのあの人が生きていたり、かと思うとまさかのあの人が死んじゃったり、と波乱含みの展開で物語は進み、そして最後には悲しく切ない結末が・・・。終わり。

・・・・・・

と油断してたら、物語が終わってエンドロールが流れ終わったあと、「ええっ?!」と思わず声に出ちゃったほどの驚きの締めがあったのだあ〜!
ホントにこれで最後なのか、この作品?!
★★★★☆

X-MEN:ファイナルディシジョン 特別編

X-MEN:ファイナルディシジョン 特別編

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2007/01/06
  • メディア: DVD


そして最後はリトル・フィートの紙ジャケと同じ発売日で一緒に買ってきた「007 カジノ・ロワイヤル」

'67年に作られた同名の映画があるが、あれはアルバート・ブロッコリのプロダクション以外のところで作られた007のパロディ作品だった。
この映画化権をブロッコリ側がようやく得られたことで制作されたのが今回の作品。ジェームズ・ボンドが殺しの許可証である"00"ナンバーを取得した当時の初期のお話で、イアン・フレミングが書いた最初の007がこの小説だった。

ピアース・ブロスナンに代わって今回007を演じるのはダニエル・クレイグという俳優さん。007に成りたての、ボンドがまだ若い頃のお話ということで、その時点でピアース・ブロスナンの続投はあり得なかったらしい。

しかしクレイグに馴染めない熱心な007のファンから降板を求める運動が起きたりして、あまり歓迎されない状況でボンド役に決まったという。
クレイグは確かにどう見ても007の悪役ならピッタリの顔で、好意的に見ればちょっと若い頃のスティーヴ・マックイーンに似てないこともないが、私も映画を観るまではどうもピンと来なくて「え〜、こんな俳優がやるのかよー」と思っていた。こいつじゃヘタをすりゃ大コケするんじゃないかとさえ思ってあまり観る気がしなかったくらいだった。

ところがふたを開けてみると公開後の全米での評価が非常に高く、かなりの興行収益も上げているという話を聞いて一応観てみたくてこのDVDを買ったが、ところがこれが007シリーズの中では近年まれに見る面白さだった!
ダニエル・クレイグが演じるジェームズ・ボンドはショーン・コネリー時代を彷彿させる精悍な感じで、内容もかなりハード・ボイルドなタッチである。
終止ほぼ途切れないくらいのテンションの高さと、どんでん返しがあるストーリー展開もいい。
私みたいにダニエル・クレイグが気に入らなくて観る気があんまりしないという人にこそオススメである。
★★★★★

007 カジノ・ロワイヤル デラックス・コレクターズ・エディション (初回生産限定版)(2枚組)

007 カジノ・ロワイヤル デラックス・コレクターズ・エディション (初回生産限定版)(2枚組)

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2007/05/23
  • メディア: DVD


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「ロッキー・ザ・ファイナル」のDVDを観る [映画・BD・DVD]

日本では現在絶賛上映中だが、アメリカでは去年のクリスマス・シーズンの公開だったため、3月にすでにDVDが発売されている「ロッキー・ザ・ファイナル」がアメリカのamazonから届き、早速観た。
劇場まで足を運ぶのは面倒だし、上映中の作品を家で観られるというのが輸入盤DVDの醍醐味のひとつなので購入したが、なかなか面白かった!

[STORY]
愛する妻エイドリアンはすでにガンで他界し、ボクサーとしての現役もとっくに退いていたロッキーは妻の名前から取った小さなイタリアン・レストラン「エイドリアンズ」のオーナーとして生計を立てていたが、エイドリアンの死を未だに乗り越えられず過去の思い出にとらわれ、ボクサーとしてもすでに現役ではない自分の今の人生にどうしても埋められない空しさを感じながら生活する毎日。

一方、向かうところ敵なしといった強さを誇り現在ヘヴィー級チャンピオンとなっているのは若き黒人ボクサー、ディクソン。
ある日、スポーツ専門チャンネルのTV局がディクソンとチャンピオン時代のロッキーの強さを比較するCGで作った試合のシュミレーション番組を放送し、この結果ロッキーが勝ってしまう。これに納得出来ないディクソンは実際にロッキーと試合をやらせろと取り巻きに迫り、とうとう両者のエキシビジョン・マッチの企画が持ち上がる。

ロッキーは息子の反対にあいながらも自分の中にくすぶり続ける煮え切らない気持ちにケリを付けるため、そして自分の可能性を試すため、ピークをとうに過ぎた肉体にかつてのパンチを取り戻すための厳しいトレーニングに臨み、ついに数万人の観客が見守るラスベガスのリングに上がる・・・・。

どーしよーもない駄作だった前作「ロッキーV」から17年振りに復活した「ロッキー」だが、今回のこの作品では「III」から「V」までがなかったかのようなことになっており、基本的に30年前に公開された第1作目のオマージュとなっている。
ロッキーがかつて住んでいたアパートがある住宅街や飼っているカメのエサやり、生卵3コの一気飲み、ぶら下がった牛肉サンドバッグ・パンチ、フィラデルフィア美術館の階段を駆け上がった後の両手を上げてのガッツ・ポーズ、そして帽子に革ジャンという当時と同じ格好のロッキーと、あざとい演出だと思いながらもこういったお馴染みの要素が敢えて入っていることで思わず懐かしさが込み上げ1作目を彷彿させる仕掛けになっている。

「自分を信じない人生など意味がない」とか「常に前に突き進め」とかいう説教臭いセリフがあったり、物語の展開もある程度予想が付く予定調和のベタな展開で、冷ややかに見ればそれほどでもないかも知れないが、それでも第1作目に原点回帰しロッキーという一人の人間を追った人生ドラマ的内容には所々感動して目頭が熱くなってしまった。ロッキー・ファンなら一応観て失望はしない作品だろう。あのビル・コンティのテーマ音楽を耳にすればこの映画にある程度思い入れがある人なら心躍らないわけにはいかない!

原題は「ロッキー・バルボア」で、まさにロッキーの生き様そのものに焦点を当てたタイトルで作品の内容を象徴したものだが、邦題の「ロッキー・ザ・ファイナル」ではちょっと意図が違ってくるので邦題もそのまんまでよかったんじゃないかなと思う。

この作品のため60近い年齢で厳しいトレーニングに耐えて中年太りした体を絞り込むのは大変だったと思うが、「T3」のときのシュワちゃん同様、どうしたって若い頃の肉体にはなり得ていないのがちょっと悲しい。
また、リングにロッキーが上がるときにかかる曲がフランク・シナトラ「High Hope」という和やかムードの曲だが、訳せば「高望み」というタイトルも曲調もあくまで単なる余興にしかすぎない試合に臨む、しかも元チャンプであるというロッキーをナメてる雰囲気を強調させているが、これがロッキー本人の秘めたる闘志とまったく相反するBGMであるところが、ジェームズ・ブラウンを登場させてお祭り騒ぎだった「ロッキーIV」のアポロとドラゴの試合を彷彿させるニクイ演出でなかなかいい。

しかしストーリーがほとんどそっくりそのまま主役のシルベスター・スタローンのこれまでの役者人生と重なって見えてしょうがないというのはこの映画を観た人の中でも多いようだ。
「ロッキー」シリーズと「ランボー」シリーズ以外にヒット作が少なく、アクション映画からのリタイアを宣言してからはスクリーンからやや遠ざかっており、結局こうして過去の栄光に頼るしかないほどけっこう焦燥感みたいなものを抱えていたに違いない。
そしてロッキーもこの作品の生みの親でもあるスタローン自身もこの作品でもう一度勝負して矢吹ジョーのように真っ白に燃え尽きることでケリを付けたかったのだと思う。

結局ついに2本ある伝家の宝刀のうち「ロッキー」という名の1本をここで抜いてしまったわけだが、結果的にはこれが世界中で大ヒットして好成績のボックス・オフィスを上げることは出来た。でもこの後どーすんのよ?最終兵器使っちゃって、と思ったら、もう1本の伝家の宝刀「ランボー」も復活する予定だという。邦題は「ランボー・ザ・ファイナル」ってか?
でも二つもと切り札を使い切っちゃったその後はホントにどーするんでしょ、スタローンさん。

ちなみにこのDVDには映像特典としてカットされたシーン、勝敗が真逆の別エンディング、制作時の裏側などを収録、スタローンなどによる音声解説も入っている。

上映時間102分、ビスタ・サイズ(スクイーズ)、英語ドルビー・デジタル5.1ch、
フランス語吹き替えドルビー・デジタル5.1ch
字幕;英語、フランス語、スペイン語

作品 ★★★★☆
映像 ★★★★☆
音声 ★★★★☆
(5点満点、☆はオマケ)



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「ウゴウゴルーガ」がDVDボックス化 [映画・BD・DVD]


1992年10月〜'94年3月にフジテレビ系列で早朝に放送され、'90年代サブ・カルチャーのひとつとして今や伝説となっているハイパーな子供番組「ウゴウゴルーガ」がなんとDVD化され、予約受注生産のみの9枚組ボックス・セット「ウゴウゴルーガおきらくごくらく15年!不完全復刻DVD-BOX」として発売されるそうです。う〜ん、これは欲しいぞー。予約締め切りが5/31で実際に発売されるのは10/5とちょっと先。
メイン・キャラの子役で当時7歳と8歳だったボケのウゴウゴくんとツッコミのルーガちゃんを中心に、てれびくん、シュールくん、みかんせいじん、プリプリはかせ、さなだせんせいなどの懐かしいCGキャラクターがDVDで蘇る〜!

ウゴウゴルーガおきらくごくらく15年!不完全復刻DVD-BOX(完全予約限定生産)

ウゴウゴルーガおきらくごくらく15年!不完全復刻DVD-BOX(完全予約限定生産)

  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2007/10/05
  • メディア: DVD

当時プロのCGクリエイター御用達のコンピューターだったAmigaを駆使して制作されていたこの番組は全編CGで作られた背景や登場キャラクターと実写との合成によってヴァーチャルな世界観を提示してみせた当時としては画期的なものでした。

なおかつ内容は表向きには子供番組ながら、時折「ピー」が入るような過激発言があったり放送コードギリギリのキレまくりの内容だったり、およそこんな番組に出るなんてことが想像付かないような国内外の超有名人が出演したり、出てくるキャラも不思議だったりお下品だったりと、朝も早よからとってもシュールな、子供番組の既成概念を完璧にブチ壊した毒を含んだヘンテコな番組でした。

子供が観るには理解しがたく、大人から観れば子供番組の体裁を装ったユニークな早朝エンタテイメントという、狙っている視聴者層が曖昧で一見中途半端ないかにもフジテレビっぽい作りが私みたいないい加減な大人にウケたと言っていいでしょう。
実際にははっきりとターゲットが絞り込まれており、子供よりも朝帰りの若者やNHKの堅苦しい情報ニュース番組にはもう飽きた出勤前の大人の視聴者層を狙って作られていたことは明らかです。ウゴウゴルーガ、逆から読むとガールゴウゴウ=朝帰りのイケイケ・ギャルであるという番組タイトルがそれを象徴しています。

番組キャラのひとり、シュールくん。出て来てはウゴウゴくんとルーガちゃんに2択を迫ります。
「キメテキメテ!
羽田派の旗揚げとハタハタの唐揚げ、おいしいのはどっち?」

もうひとつこの番組で特徴的だったのが主題歌や挿入歌など音楽にも凝っていたこと。
よく見ると人間の形をした気持ち悪い焼き鳥を食いながら飲み屋で一杯やっている悲哀が漂うサラリーマン・オヤジのCGのオープニング映像(これだけですでに子供番組じゃないっちゅうの)のバックで流れる小金沢昇司のド演歌「俺じゃだめなのかい」をはじめ、現在あの和泉元彌夫人となった羽野晶紀が歌う「ショーガクセー・イズ・デッド」、朝の本放送とは別に番組が夜7時台に生放送で短期間進出していたときの主題歌だったピチカート・ファイヴ「東京は夜の7時」NOKKO「Crying On Monday」「早朝爆笑寄席」のコーナーのふたりで、当時入社2年目のフジテレビ・アナウンサー、大坪千夏とまだブレイク前の女芸人、千秋による漫才コンビ、千日前ちなつ・ちあきが歌う近田春夫が楽曲提供した「あきのくりづくしメニュー」などが印象的ですが、番組内の童謡のコーナーで、当時ニューヨーク在住だった漫画家の故・中尊寺ゆつこが地元のプロを目指していた黒人歌手の面々を使いプロデュースしたとってもファンキーでヒップな童謡はチョー・クールだった。ソウルフルなコブシ回しで歌われる新解釈の「ずいずいずっころばし」にアタマクラクラ〜!あんまりすごくてアルバム買ったもんです。もうとっくに売っちゃったけど(笑)。

で、このボックスですが、タイトルでシニカルに"不完全復刻"と謳っているその理由は、番組内で放送されていたアニメ「ノンタンといっしょ」(ちなみにノンタンの声を担当していたのは千秋)やその後ゲームのパラッパラッパーパフィの一連のCDのイラストなどを手掛けることとなるイラストレーター、ロドニー・アラン・グリーンブラットのCGアニメ「ロドニー・ガイ」などが著作権等の問題で収録出来ないかららしい。これは残念ですねえ。10月の発売までにこの辺がなんとかクリアされることを望みたいですが、何はともあれ、この番組のDVD化は快挙ですね。

ちなみに当時7歳だったルーガちゃんこと小出由華ちゃんは現在22歳の巨乳グラビア・アイドルとして人気上昇中。たわわに育った胸の大きさにあれから15年という時の流れを感じずにはいられません。

小出由華1st写真集 -DEPARTURE-

小出由華1st写真集 -DEPARTURE-

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ブレイン・ストーム
  • 発売日: 2006/04/28
  • メディア: 大型本

※小出由華オフィシャル・ブログ
http://blog.goo.ne.jp/lhuga

※DVDボックス・オフィシャル・サイト
http://www.fujitv.co.jp/video/ugougo/


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「スーパーマン リターンズ」を観る [映画・BD・DVD]

現在長野県松本市におります。こちらもまだまだ残暑キビシイです。今日は休みだったのですが、出張先での休日に映画を観に行くのが何だか恒例になってきた今日この頃(笑)、今回は18年振りに復活した「スーパーマン リターンズ」を観て来ました。

故クリストファー・リーヴ主演で4本作られた旧シリーズのリチャード・ドナー監督やリチャード・レスター監督に変わり今回メガホンを取ったのは「X-メン」シリーズの3作目の監督を蹴ってまでこちらを選んで臨んだブライアン・シンガー監督。スーパーマン/クラーク・ケントを演じるのは新鋭ブランドン・ルース、ロイス・レインも新人らしいちょっとノラ・ジョーンズ似のケイト・ボスワース、宿敵レックス・ルーサーにケヴィン・スペイシー、デイリー・プラネットのホワイト編集長にお久しぶりフランク・ランジェラ(老けた!)、クラーク・ケントの母親マーサ役にこれまたお懐かしやエヴァ=マリー・セイント(こっちも老けた!)という布陣。さらにはジョー=エル役の故マーロン・ブランドも'78年版の使い回しで登場!

お話は旧作2作目から5年後。故郷の惑星クリプトンが発見されたというウワサを確かめるべく宇宙に旅立ち5年間地球を留守にしていたスーパーマンが帰ってくる。そのあいだに愛するロイス・レインは結婚こそしていないものの男の子を生み、同棲している恋人までいる。またその頃終身刑を減刑されシャバに出た宿敵レックス・ルーサーはまたしてもとんでもない悪事を企てる・・・

子供の頃に観た旧作シリーズのファンだったというブライアン・シンガー監督がリスペクトしつつ撮った今回の復活作品では'78年の1作目のオマージュが基本にあり、オープニングの、スーッと流れるように手前の方へ飛び出すCGを駆使した出演者などのクレジットの文字デザインが同じだったり、墜落する旅客機を救った後、乗客に「統計学的に見ても飛行機はいちばん安全な乗り物ですよ」などと説明して後々トラウマにならないように心のケアをしてあげるところとか、レックス・ルーサーの「子供の頃オレのおやじがオレに何て言ってたと思う?」というセリフに対するミス・ティシュマーカーのセリフ「出てけ!」のやりとりがあったりと、あちこちにオマージュがちりばめられています。

スーパーマンを演じる新星ブランドン・ルースはクリストファー・リーヴと比べるとこちらがまだ馴れないせいでちょっと違和感はあるものの、なかなか悪くないです。レックス・ルーサー役のケヴィン・スペイシーはジーン・ハックマンが演じた旧作のイメージをほとんど崩すことのないキャラと演技でトボケた憎たらしい悪役振り。「セブン」で演じたサイコな犯人役を彷彿させます。

旧作と比較すると当然ながら現代の最新CGテクノロジーを駆使して作られた迫力ある映像は圧倒的にスゴイ!そのダイナミックさは比べるまでもありません。スーパーマンが大空を高速で飛び回るシーンや墜落寸前の旅客機を救うシーンなど、アクション・シーンはことごとくリアルでド迫力があり、これを観るだけで十分入場料の元が取れます(笑)。


ツッコミどころも多々ありますが、この手の荒唐無稽な映画にいちいち細かいツッコミを入れるのは不粋で無意味なのでまあ目をつぶるとして、ロイスとの恋愛描写を前作より重く描くのはどうもなあ、と思いました。
去年公開された「バットマン・ビギンズ」など、アメコミを原作に持つヒーローはそのヒーロー像に奥行きを持たせるため人間的な苦悩や弱さを持たせて描かれることが多いですが、「スーパーマン・リターンズ」ではこれをロイスとの恋愛に持って行くことで人間くささを出そうとしたのは分かるものの、しかしこれがやや中途半端な描かれ方で、また宇宙からわざわざ地球にやって来てなぜ悪と戦わなければならないのかと言う部分に充分な説得力を持たせておらず、父親ジョー=エルの「人間を正義の道に導かなければならない」という旨の言葉でしか説明されていません。そのため本来余計なお世話でしかないスーパーマンの正義のための戦いに対する根拠が希薄になっています。

でもスーパーマンの場合はホントはそんな根拠などはどうでもよく、もっとストイックで全然いいと思うんだけどなあ。唯一の弱点であるクリプトナイト以外に弱味なんかなく、人間みたいに悩んだりもせず、ただ圧倒的に強く逞しいだけでいいじゃないか。これはクリストファー・リーヴの旧作時代から思っていました。疾風のように現れて疾風のように去っていく。それでいい。なんてったって文字どおり"スーパーマン"なんだし、もともと宇宙人だし、恋愛もしない、食事も取らない、トイレにだっていかないなんて思うくらい思いっきり現実離れしているのが昔からのスーパーマン像ですからね。そんな理屈一切抜きの旧態依然としたヒーロー映画が1本くらいあってもいいと思います。

でも終盤になって意外な事実が明らかになります。これにはちょっと驚き。「あ、そうだったんだ〜!」って感じです。ううっ、言いたい〜(笑)。知りたい方は是非劇場へ!

ここで話はちょっと変わります。ここ10年くらいのあいだにスーパーマンは新たにふたつほどテレビ・ドラマ化されていますが、私にとって「スーパーマン」と言えば子供の頃ジョージ・リーヴス主演でやっていたテレビ・シリーズのイメージが強く、私の中のスーパー・ヒーローの原点としてこのテレビ版「スーパーマン」があります。このスーパーマンこそが理屈抜きで無敵の強さを誇った本来のスーパーマンとして私の中で存在しています。

アメリカで発売されているテレビ・シリーズのDVDボックス・セット

「『空を見ろ!』『鳥だ!』『飛行機だ!』『あっ、スーパーマン!』
そうです、スーパーマンです。遠い宇宙の彼方から地球を守るためやってきた正義の使者。 彼はデイリー・プラネットの新聞記者クラーク・ケントと名乗り、日夜正義のために戦い続けているのです。」

確かこんな感じのセリフのオープニングで始まり、当時ワクワクしながら観ていたこのテレビ・シリーズ、アメリカ本国で放送されていたのが1952年〜1957年、日本での放送が確か1959年頃という、テレビ放送黎明期の作品ですが、こんな古いテレビ作品なのにも関わらず、第3だか第4シリーズからカラーで作られていました。我が家にテレビがやって来たのは私が小学校に上がる1、2年前の1960年か1961年で当然当時はモノクロで観てたわけですが、退色していたものの、30年近く前の'70年代の終わり頃にカラーで観た再放送はちょっと衝撃でした。

日本で最初に放送されていた時は吹き替えがなんと毎回ナマで行なわれ、画面の役者さんと吹き替えの声がズレまくるなんてのはしょっちゅうでした。子供心によく覚えています。ちなみにスーパーマンの声を担当していたのは大平透さん(「ハクション大魔王」など)。アテレコになった数年後の再放送版では小林清志さん(「ルパン3世」の次元など)でした。

しかし、主演のジョージ・リーヴスはスーパーマンのイメージが強すぎてこの後役者として行き詰まり、挙げ句の果てには'59年にピストル自殺するという悲劇を迎えてしまいました。「燃えよ!ドラゴン」公開当時のブルース・リーみたいに、これが日本で放送された時にはすでに故人になっていたんじゃないでしょうか。

ちなみにこのジョージ・リーヴス、あの名作「風と共に去りぬ」に出演してるんですねえ。映画のかなり前半の部分でヴィヴィアン・リー演じる主人公スカーレット・オハラを取り巻く若者数人の中のひとりを演じています。
再放送しないかなー、テレビ版「スーパーマン」。


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