「ツイン・ピークス」DVDボックス・セット

鬼才デヴィッド・リンチ監督が手掛け、今もカルト的人気を維持するTV番組「ツイン・ピークス」のセカンド・シーズンのボックス・セットがファースト・シーズンのボックス・セット発売から5年を経てこの11月、ようやく発売の運びとなった。

ここでしか観られない映像特典が収録されている全シーズン10枚組の「ツイン・ピークス：ゴールド」ボックスも発売される。 う〜ん、お金が・・・。

「ツイン・ピークス」の日本で初めての放映は1990年に民放初の衛星放送局としてWOWOWが開局された当初の目玉番組としてだったが、その後地上波でも何回か放送された。
私はWOWOWは開局後すぐに視聴契約していてその時初めてこのドラマを観たが、これがハマりにハマった。
ドラマは全話録画し、しかも2カ国語音声の日本語吹き替え版とあとから放送されたドルビー・ステレオ音声の字幕スーパー版の2種類とも録画した。何回もあった再放送も地上波での放送もやるたびにとことん観た（笑）。

私に限らず、ピーカーと呼ばれたこのドラマにハマった熱狂的ファンは当時数多くいたものだ。
その社会現象ともいうべき盛り上がり方は現在の「24」や、かつての「X-ファイル」などの比ではなかったし、まさに海外ドラマブームの走りと言っていい。
その人気振りはドラマ攻略本やロケ地のマップなどさまざまな関連書籍やグッズにおいても展開され、私も何冊か書籍を購入したりしたが、観ていないとハミにされるほどの話題性があったものだった。

ローラ・パーマー（シェリル・リー）。この美しき女子高生が殺害され、その死体が発見されるところからドラマは始まる。

当時全米で毎週高視聴率を上げて話題騒然となっていたドラマということで、鳴り物入りでの日本上陸だったが、しかしさすがに奇人・変人のリンチ監督作品とあって、内容の方は一筋縄ではいかない不可思議な作品である。

まず、登場人物の多さ。これを把握するまでしばらく時間がかかる（笑）。しかも本筋であるローラ・パーマー殺人事件の他にサイド・ストーリーがいくつかあり、それぞれが同時に進行して行くので、1回見逃すとワケの分かんないことになる。

ローラ・パーマー殺人事件を追うFBI特別捜査官クーパーを演じた主演のカイル・マクラクラン。
「ダイアン、ここはたいそうな田舎町だ。」

亡くなった夫の霊が宿っているという丸太を抱いた丸太おばさん、クーパー捜査官の夢の中に出て来て助言を促す巨人、テープの逆回し声で話す謎の小人、「X-ファイル」のデヴィッド・ドゥカヴニー演じる女装趣味のFBI捜査官、リンチ監督自らが演じた補聴器を付けて大声で話す耳の遠いFBI長官など、変なキャラの人たちばっかりが登場するのも特徴的だ。
リンチ作品には大体こういった普通じゃないキャラが必ずと言っていいほど登場するが、この辺りにリンチ監督のフリークスに対する何らかのこだわりを感じる。

そしてこの作品では悪霊や神、夢の中の世界といったスピリチュアルなものがドラマの展開上の重要なカギになっている。殺人犯は人間に取り憑いては犯罪を犯す邪悪な霊魂なのだった。
この作品以外に「マルホランド・ドライヴ」や「ロスト・ハイウェイ」といった作品にもそういった不思議で霊的なものがドラマの要になっているが、そういったものへの執拗なまでのこだわりもリンチ監督ならではの作風である。

しかし、高視聴率を誇ったこのドラマもローラを殺害した犯人が分かり、まったく別な展開を見せ始めた第2シーズン後半からはとたんに視聴率はガタ落ちになった。全米の視聴者がワケの分からない展開について来られなくなったのだった。
そしてついにはシーズン途中であえなく打ち切りという憂き目に遭うのであった。

そしてあの「ええ〜っ！そ、そんなあ〜！」という中途半端でフラストレーション溜まりまくりの最終回を迎えるのであるが、このあとリンチ監督は劇場用作品としてこのドラマの続編「ツイン・ピークス／ローラ・パーマー最期の7日間」を作ることで一応のケリを付けた。しかしこの作品であの最終回のナゾが解き明かされたわけではなかったのが非常に残念だった。

そんなピーカーやリンチ・ファン必携のボックス・セット発売であるが、いかんせん値段が高いなあ。1セット￥12,285也。ゴールド・ボックスは￥31,500だ。う〜ん、どう捻出しようかアタマが痛い（苦笑）。

ここでリンチ作品のほとんどの音楽を手掛けているアンジェロ・バダラメンティのテーマ曲も懐かしいオープニング・シーンを。

そんなリンチ監督の「マルホランド・ドライヴ」以来5年振りとなる期待の新作「インランド・エンパイア」が間もなく公開される。こちらもものすごく楽しみだ！

主演は「ブルー・ヴェルヴェット」「ワイルド・アット・ハート」の過去2作のリンチ作品に出演しているローラ・ダーン。
他にはジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタントン、ウィリアム・H・メイシー、ナスターシャ・キンスキー、ナオミ・ワッツ、日本からなんと裕木奈江が出演しているという。
内容は「マルホランド・ドライヴ」に続きまたまたシュールで不可解なものらしいが、そこを首をひねりながら自分なりに理解し楽しむことこそデヴィッド・リンチ作品鑑賞の醍醐味でしょう。

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タグ：ツイン・ピークス

コメント 15

うわ〜
ローラ・パーマーだぁぁぁぁ
第1回の放送は衝撃的でしたね。
確か8話ぐらいから訳解らなくなって、見るのやめような気がします。
現実と夢が交差しだしたころから頭混乱しました（笑）
by hamakaze_ataru (2007-07-21 01:08) 

なんだー、大安さん、途中で脱落したんですかー。
そ、この作品、最初の8話、9話くらいまではちょっとカッタルイんです。
でも、ファースト・シーズンの終わり近くから俄然面白い展開になって行き、そこでハマればもう抜けられない面白さなんですけどねえ。

レンタルも再開されるようなので、是非再チャレンジを！
by MASA (2007-07-21 01:24) 

こんばんは～。
ぼくは劇場公開作では『マルホランド・ドライヴ』がいちばん好きなんですが、『ツイン・ピークス』は最初のパイロット版しか見てないですね～。

たぶんジャズとモーツァルトの日々からロックな日々へ帰ってきたころで、音楽に忙しかったんでしょうね。
なにしろ知らない音楽があふれてましたから。
それにWOWOWも契約してないし…＾＾

とりあえず今は『インランド・エンパイア』がすごく楽しみです＾＾

そのうち『ツイン・ピークス』も見てみようかなあ…。
by parlophone (2007-07-21 02:21) 

遼さん、どうもです。
私も劇場作品では「マルホランド・ドライヴ」が一番好きですね。
あの作品、実は数あるリンチ作品の中で「ツイン・ピークス」の雰囲気にとっても近いんですよ。それもあって大好きなんですけどね。
「ツイン・ピークス」、是非レンタルで全話観て下さい＾＾。

「インランド・エンパイア」にも期待が高まりますね。劇場で観れる機会があれば絶対に観たいんですけど、何ぶん出張中の身なので、どうかなあ。
by MASA (2007-07-21 10:23) 

バカ懐かしいです！確か、全部見たハズなんですが、映画も含め・・・ちょっと自信がなくなってきましたが・・・そうだ、デビット・ボウイを見たから！（笑

おや、「インランド・エンパイア」には、ハリーディーン・スタントンも出演しているんですか。ちょっと興味が出てきました。
by ベアトラック (2007-07-21 14:56) 

ベアトラックさんもご覧になってましたか、「ツイン・ピークス」。
デヴィッド・ボウィは失踪していたのに突然現れたFBI捜査官役で「ローラ・パーマー最期の7日間」に出てましたよね。

ハリー・ディーン・スタントンなんてシブイ人お好きですね＾＾。名脇役ですよね、あの人。
前の「マルホランド・ドライヴ」がなかりの面白さだったので「インランド・エンパイア」ではリンチ監督がまたとんでもないことをやらかしてくれてることを期待してます。
by MASA (2007-07-21 16:53) 

ＭＡＳＡさん、こんばんは。

「ツイン・ピークス」というと登場人物の顔が載っていたジョージアの缶コーヒーを思い出します。

最初の放送時はぜんぜん興味なくて、たぶん２回目か３回目の再放送あたりで見ましたが、けっこうハマリました。
でも途中から意味不明？というかさっぱり分からないストーリー展開で、おまけに最終回の赤いカーテンの間を走り回るシーンは唖然としました（笑）

でも本当に不思議な魅力のある作品でしたね。再放送があればもう一度じっくり見てみたいです。
by てらだ (2007-07-21 22:35) 

てらださん、こんばんはー。

ジョージアの缶コーヒー、ありましたねえ。私は買ったことありませんでしたが、ファンの中にはけっこう買い漁った人がいたみたいですね。

>最終回の赤いカーテンの間を走り回るシーンは唖然としました（笑）

そうそう、なんかもうシュールすぎてワケ分かりませんでしたね。
最後にクーパー捜査官があんなになっちゃって、このあとどうなるんだ〜っ！？と思ってももう続きがないんですからね。
もうちゃぶ台ひっくり返して暴れたいほどフラストレーションたまりました（笑）。
機会があったら是非また観て下さい。
by MASA (2007-07-21 23:39) 

masumiさん、初めまして。
nice!ありがとうございます。
また覗きにきて下さいね＾＾。
by MASA (2007-07-22 12:57) 

『ツイン・ピークス』全く素通りだったのに、妊娠中に毎日嫁の安否を
ちょっと鬱陶しいくらい心配するだんなに送る為に撮っていた携帯写真で、
たまたま映画版のポスター写真のような表情が撮れてしまい・・・(笑)
『ついん・ぴーくす』というタイトルをつけてだんなに送信したら、速攻電話が
かかって来ました、「死んでるのかと思ったよ!!(怒)」って。(爆)
でも未だにドラマも映画も見ていません。(笑)

『マルホランド～』は深夜のTV放送で2回観たけど・・・・・イマイチぴんと来ず。
自分の観たリンチ作品では『Elephent Man』が一番好きでした。
by (2007-07-23 18:44) 

あらー、「ツイン・ピークス」未体験ですか、もったいない（笑）。

ポスター写真ていうと、あのビニールに包まれた水死体の顔ですね。ちょっと見てみたいですね＾＾。
とりあえず11月にDVDの発売と同時にレンタルも始まるようなので、是非観て下さい。

「マルホランド・ドライヴ」は難解な映画ですからね。ましてや深夜に眠い目をこすりながらの鑑賞では全然意味不明だったでしょ（笑）。
「エレファントマン」もインパクトが大きい映画でしたよね。
私は「マルホランド〜」以外では「ブルー・ヴェルヴェット」が好きですね。デニス・ホッパーのイッチャってる演技がサイコー（笑）。
by MASA (2007-07-23 20:54) 

わたしも未体験と言っていいでしょう＾＾；
一話完結のドラマとは知らず一話だけ観て
さっぱり話がわからずず～っと観てません＾＾；
当時、スタトレにはまっていたので（遅いですが）

基本的にアクションモノが好きなので（SF含めて）
「TNG」「24」は集めてます。
by 黒ちゃん (2007-07-24 20:36) 

黒ちゃんさんはスタトレ・ファンでしたよね。
私もスタトレは全シリーズ大体は観てますよ＾＾。
「ツイン・ピークス」も機会があれば是非再チャレンジして下さい。
by MASA (2007-07-24 21:20) 

MASAさん、皆さんこんばんはです。
また、懲りずにブログを立ち上げました・・・
マメに更新は出来ないですが、ボチボチ時間の空いた時に
更新していこうかなぁ・・・と思います。
内容も以前よりもプログレが多くなるかもしれませんが
変わらず英国ロックメインでたまに米国ロックなども交えて
話題づくりをしていきたいと思います。
どうぞご指導何卒宜しくお願い致します。
by tetsupc2 (2007-07-28 19:44) 

TETSU+PC2さん、ブログ復活おめでとうございます。
ヴァーティゴのアイコン、いいですね＾＾。
早速「読んでいるブログ」に登録させていただきます。
更新楽しみにしてます＾＾。
by MASA (2007-07-28 23:54)