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「スーパーマン リターンズ」を観る [映画・BD・DVD]

現在長野県松本市におります。こちらもまだまだ残暑キビシイです。今日は休みだったのですが、出張先での休日に映画を観に行くのが何だか恒例になってきた今日この頃(笑)、今回は18年振りに復活した「スーパーマン リターンズ」を観て来ました。

故クリストファー・リーヴ主演で4本作られた旧シリーズのリチャード・ドナー監督やリチャード・レスター監督に変わり今回メガホンを取ったのは「X-メン」シリーズの3作目の監督を蹴ってまでこちらを選んで臨んだブライアン・シンガー監督。スーパーマン/クラーク・ケントを演じるのは新鋭ブランドン・ルース、ロイス・レインも新人らしいちょっとノラ・ジョーンズ似のケイト・ボスワース、宿敵レックス・ルーサーにケヴィン・スペイシー、デイリー・プラネットのホワイト編集長にお久しぶりフランク・ランジェラ(老けた!)、クラーク・ケントの母親マーサ役にこれまたお懐かしやエヴァ=マリー・セイント(こっちも老けた!)という布陣。さらにはジョー=エル役の故マーロン・ブランドも'78年版の使い回しで登場!

お話は旧作2作目から5年後。故郷の惑星クリプトンが発見されたというウワサを確かめるべく宇宙に旅立ち5年間地球を留守にしていたスーパーマンが帰ってくる。そのあいだに愛するロイス・レインは結婚こそしていないものの男の子を生み、同棲している恋人までいる。またその頃終身刑を減刑されシャバに出た宿敵レックス・ルーサーはまたしてもとんでもない悪事を企てる・・・

子供の頃に観た旧作シリーズのファンだったというブライアン・シンガー監督がリスペクトしつつ撮った今回の復活作品では'78年の1作目のオマージュが基本にあり、オープニングの、スーッと流れるように手前の方へ飛び出すCGを駆使した出演者などのクレジットの文字デザインが同じだったり、墜落する旅客機を救った後、乗客に「統計学的に見ても飛行機はいちばん安全な乗り物ですよ」などと説明して後々トラウマにならないように心のケアをしてあげるところとか、レックス・ルーサーの「子供の頃オレのおやじがオレに何て言ってたと思う?」というセリフに対するミス・ティシュマーカーのセリフ「出てけ!」のやりとりがあったりと、あちこちにオマージュがちりばめられています。

スーパーマンを演じる新星ブランドン・ルースはクリストファー・リーヴと比べるとこちらがまだ馴れないせいでちょっと違和感はあるものの、なかなか悪くないです。レックス・ルーサー役のケヴィン・スペイシーはジーン・ハックマンが演じた旧作のイメージをほとんど崩すことのないキャラと演技でトボケた憎たらしい悪役振り。「セブン」で演じたサイコな犯人役を彷彿させます。

旧作と比較すると当然ながら現代の最新CGテクノロジーを駆使して作られた迫力ある映像は圧倒的にスゴイ!そのダイナミックさは比べるまでもありません。スーパーマンが大空を高速で飛び回るシーンや墜落寸前の旅客機を救うシーンなど、アクション・シーンはことごとくリアルでド迫力があり、これを観るだけで十分入場料の元が取れます(笑)。


ツッコミどころも多々ありますが、この手の荒唐無稽な映画にいちいち細かいツッコミを入れるのは不粋で無意味なのでまあ目をつぶるとして、ロイスとの恋愛描写を前作より重く描くのはどうもなあ、と思いました。
去年公開された「バットマン・ビギンズ」など、アメコミを原作に持つヒーローはそのヒーロー像に奥行きを持たせるため人間的な苦悩や弱さを持たせて描かれることが多いですが、「スーパーマン・リターンズ」ではこれをロイスとの恋愛に持って行くことで人間くささを出そうとしたのは分かるものの、しかしこれがやや中途半端な描かれ方で、また宇宙からわざわざ地球にやって来てなぜ悪と戦わなければならないのかと言う部分に充分な説得力を持たせておらず、父親ジョー=エルの「人間を正義の道に導かなければならない」という旨の言葉でしか説明されていません。そのため本来余計なお世話でしかないスーパーマンの正義のための戦いに対する根拠が希薄になっています。

でもスーパーマンの場合はホントはそんな根拠などはどうでもよく、もっとストイックで全然いいと思うんだけどなあ。唯一の弱点であるクリプトナイト以外に弱味なんかなく、人間みたいに悩んだりもせず、ただ圧倒的に強く逞しいだけでいいじゃないか。これはクリストファー・リーヴの旧作時代から思っていました。疾風のように現れて疾風のように去っていく。それでいい。なんてったって文字どおり"スーパーマン"なんだし、もともと宇宙人だし、恋愛もしない、食事も取らない、トイレにだっていかないなんて思うくらい思いっきり現実離れしているのが昔からのスーパーマン像ですからね。そんな理屈一切抜きの旧態依然としたヒーロー映画が1本くらいあってもいいと思います。

でも終盤になって意外な事実が明らかになります。これにはちょっと驚き。「あ、そうだったんだ〜!」って感じです。ううっ、言いたい〜(笑)。知りたい方は是非劇場へ!

ここで話はちょっと変わります。ここ10年くらいのあいだにスーパーマンは新たにふたつほどテレビ・ドラマ化されていますが、私にとって「スーパーマン」と言えば子供の頃ジョージ・リーヴス主演でやっていたテレビ・シリーズのイメージが強く、私の中のスーパー・ヒーローの原点としてこのテレビ版「スーパーマン」があります。このスーパーマンこそが理屈抜きで無敵の強さを誇った本来のスーパーマンとして私の中で存在しています。

アメリカで発売されているテレビ・シリーズのDVDボックス・セット

「『空を見ろ!』『鳥だ!』『飛行機だ!』『あっ、スーパーマン!』
そうです、スーパーマンです。遠い宇宙の彼方から地球を守るためやってきた正義の使者。 彼はデイリー・プラネットの新聞記者クラーク・ケントと名乗り、日夜正義のために戦い続けているのです。」

確かこんな感じのセリフのオープニングで始まり、当時ワクワクしながら観ていたこのテレビ・シリーズ、アメリカ本国で放送されていたのが1952年〜1957年、日本での放送が確か1959年頃という、テレビ放送黎明期の作品ですが、こんな古いテレビ作品なのにも関わらず、第3だか第4シリーズからカラーで作られていました。我が家にテレビがやって来たのは私が小学校に上がる1、2年前の1960年か1961年で当然当時はモノクロで観てたわけですが、退色していたものの、30年近く前の'70年代の終わり頃にカラーで観た再放送はちょっと衝撃でした。

日本で最初に放送されていた時は吹き替えがなんと毎回ナマで行なわれ、画面の役者さんと吹き替えの声がズレまくるなんてのはしょっちゅうでした。子供心によく覚えています。ちなみにスーパーマンの声を担当していたのは大平透さん(「ハクション大魔王」など)。アテレコになった数年後の再放送版では小林清志さん(「ルパン3世」の次元など)でした。

しかし、主演のジョージ・リーヴスはスーパーマンのイメージが強すぎてこの後役者として行き詰まり、挙げ句の果てには'59年にピストル自殺するという悲劇を迎えてしまいました。「燃えよ!ドラゴン」公開当時のブルース・リーみたいに、これが日本で放送された時にはすでに故人になっていたんじゃないでしょうか。

ちなみにこのジョージ・リーヴス、あの名作「風と共に去りぬ」に出演してるんですねえ。映画のかなり前半の部分でヴィヴィアン・リー演じる主人公スカーレット・オハラを取り巻く若者数人の中のひとりを演じています。
再放送しないかなー、テレビ版「スーパーマン」。


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コメント 4

かず

同じアメコミでも”BATMAN”とかは好きではないのですが、"SUPERMAN"は大好きで、再放送ではありますが、George ReevesのTV放送は全部見たし、Christopher Reeveの映画は3作ともDVDで持ってます。("SUPERGIRL"は映画館で見ましたが、持ってません。くだらなかった。)
この映画、2ヶ月くらい前にP2P Softで落として見てみましたが、思ったよりも良い映画でした。パソコンのディスプレイでなくて、もっと大画面で見てみたいです。
by かず (2006-08-24 22:23) 

MASA

おー、かずさんもジョージ・リーヴス版ご覧になってますか。今見るとかなり貧粗な出来でしょうが(笑)、また観たいなあ。私はクリストファー・リーヴ版は2まで持ってます。3作目の「電子の要塞」はいまいちだし、スーパーマンのクローンの悪役が登場する無理矢理作られた4作目「最強の敵」もあんまり面白くなかったですね。

>この映画、2ヶ月くらい前にP2P Softで落として見てみましたが、

か、かずさん、違法ダウンロードはイケマセンよっ!ガクガク(((゜Д゜)))ブルブル
でも全米では6月公開ですから、とっくにブートは出回ってるんですね。おっしゃるとおり劇場の大画面で観てこその迫力はありますが、DVDになったら即買います^^。
by MASA (2006-08-24 23:01) 

かず

すっかり忘れてました。「スーパーマン4/最強の敵」。映画のパンフレットが見つかって、「あっ、見てたのか。」と気がつきました。Christopher Reeveに気の毒なほど、くだらない映画だったような。DVD化もされてないし。
そういえば、George ReevesのTV版ではSUPERMANの弱点は「クリプトン元素」というもので、高校時代には、「化学」の元素の周期表の中にある「クリプトン」と関係があるのかなあ、なんて考えてました。
by かず (2006-08-25 23:11) 

MASA

そうそう、クリプトン元素。映画ではクリプトナイトと呼び名が変わりましたが、私もかずさんと全く同じで、元素の周期表に載ってるクリプトンなのかと思ってました^^。でもそれじゃスーパーマン地球に住めないじゃん(笑)。
by MASA (2006-08-25 23:26) 

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