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Miles Davis「BITCHES BREW」40th Anniversary Collector's Edition [Jazz]

マイルス・デイヴィスがエレピやエレキ・ギターなどの電気楽器を導入し、ロックやファンクと融合して"エレクトリック・マイルス"となった時代の'69年の代表作「BITCHES BREW」がリリースされてから40年。
正確には今年は41年目なんですが、とにかく40周年を記念してこのアルバムが今度また新たに40周年記念コレクターズ・エディションレガシー・エディションの2タイプでリリースされます。

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このアルバム、紙ジャケ化を含めて今までに何回か出し直しされてますが、今回は決定版と言えそうな内容のようです。
豪華BOXセット仕様の40周年記念コレクターズ・エディションの方の内容は以下のとおり;
(※HMVのサイトよりコピペ)

【DISC-1】 通常盤Disc1+通常盤Disc2の前半2曲を追加
1.ファラオズ・ダンス 2.ビッチェズ・ブリュー 3.スパニッシュ・キー 4.ジョン・マクラフリン

【DISC-2】 通常盤Disc2の後半2曲+下記の別テイク及びシングル曲を追加
1.マイルス・ランズ・ザ・ブードゥ・ダウン 2.サンクチュアリ 3.スパニッシュ・キー(別テイク)4.ジョン・マクラフリン(別テイク) 5.マイルス・ランズ・ザ・ブードゥ・ダウン(シングル)6.スパニッシュ・キー(シングル) 7.グレート・エクスペクテイションズ(シングル)8.リトル・ブルー・フロッグ(シングル)

【DISC-3】 CD(『ビッチェズ・ブリュー』発売後、1970年ボストン郊外タングルウッドにおけるライヴ)
1.ビル・グラハムによるイントロダクション 2.ディレクションズ 3.ビッチェズ・ブリュー4.ザ・マスク 5.イッツ・アバウト・ザット・タイム 6.サンクチュアリ 7.スパニッシュ・キー/ザ・テーマ8. マイルス・ランズ・ザ・ブードゥ・ダウン/テーマ 9.ビル・グラハムによるアウトロ

【DISC-4】 DVD(『ビッチェズ・ブリュー』発売前年、1969年コペンハーゲンにおけるコンサート)
1.ディレクションズ 2.マイルス・ランズ・ザ・ブードゥ・ダウン 3.ビッチェズ・ブリュー 4.アジテイション 5.アイ・フォーリン・ラヴ・トゥ・イージリー 6.サンクチュアリ 7.イッツ・アバウト・ザット・タイム 8.テーマ

【DISC-5】 LP(ビッチェズ・ブリュー)
1.ファラオズ・ダンス 2.ビッチェズ・ブリュー

【DISC-6】 LP(ビッチェズ・ブリュー)
1.スパニッシュ・キー 2.ジョン・マクラフリン 3.マイルス・ランズ・ザ・ブードゥ・ダウン 4.サンクチュアリ

レガシー・エディションの方は40周年記念エディションから2枚のアナログ盤を抜いたCD3枚+DVD1枚の4枚組ですが、DISC 3のライヴ盤が付くのは国内盤だけで、輸入盤はこれなしの3枚組での発売だということです。こちらを買うなら国内盤ということになりそうですね。

このアルバムの内容についてはワタシなんぞがあれこれ言うまでもないでしょう。貪欲に自分の音楽性の進化を目指していたマイルスがファンクやロックの要素を大胆に取り入れ、ジャズとロックの垣根を取り払ってそのどちらでもない、まさに自らが"マイルス・デイヴィス”というジャンルと化した時代の傑作アルバムです。
最初は取っ付きにくい印象がありますが、聴き込むうちにそのスゴさやカッコよさがジワジワと伝わって来ます。

例によってリリース当時はロックを聴かない・知らないためにロック的概念が理解出来ていないアタマの固い一部のジャズ評論家やリスナーから批判的に受け止められ散々な評価もされたようですが、一方ロック側からは画期的な内容であることが評価され、これによって人気も高まり非常に歓迎されたアルバムです。

そういやあこのアルバム、昔の日本人は英語がまともに読めなかったのか「ビッチェズ・ブリュー」なんてメチャクチャな読み方をされてしまい、しかもその呼び方が今だにまかり通ってるってのはどうなんでしょうねえ。違和感あるわあ(笑)。もちろん正しくは「ビッチズ・ブルー」でございます。いい加減改めてほしいですね、メーカーさんお願いします。

ちなみにこちらがワタシが持っているオリジナル盤と、'96年発売の初紙ジャケ化されたときのCD。

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この時期レーベル・デザインの移行期に当ったために比較的数が少ないと言われているオリジナルの赤い← "360°SOUND" STEREO →のレーベルです。

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ついでに紹介と言ってはなんですが、このアルバムの2年後の'71年に発売されたリー・モーガンの遺作「LEE MORGAN」(後に"THE LAST SESSION"」に改題)も実はこの「BITCHES BREW」の影響が強く反映されているアグレッシヴで煽動的な内容で、聴きごたえのあるアルバムです。

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アルバムの1面にほぼまるまる1曲という長い曲で構成され、「BITCHES BREW」と同じく2枚組の大作となっています。
エレピが入っている程度で「BITCHES BREW」ほどエレクトリックな要素はなく基本は通常の4ビートのジャズですが、そこにアフリカの民族音楽の要素を取り入れていたりと、「BITCHES BREW」とはまた異なる全く別なアプローチで展開されています。

私の印象ですが、リー・モーガンも同じトランぺッターとして「BITCHES BREW」にはかなりの衝撃を受け、自分なりの方法論でああいうアルバムを作ってみたい、ということで制作したことが伺われるアルバムです。

レーベルはBLUE NOTEから。

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リー・モーガンのアルバムの中では決して人気作ではないですが、「BITCHES BREW」がお好きな人は十分聴く価値ありのアルバムです。





Bitches Brew: 40th Anniversary Collector's Edition

Bitches Brew: 40th Anniversary Collector's Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Legacy
  • 発売日: 2010/08/31
  • メディア: CD

Bitches Brew: Legacy Edition (W/Dvd) (Dig)

Bitches Brew: Legacy Edition (W/Dvd) (Dig)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Legacy
  • 発売日: 2010/08/31
  • メディア: CD

ビッチェズ・ブリュー(レガシー・エディション)(DVD付)

ビッチェズ・ブリュー(レガシー・エディション)(DVD付)

  • アーティスト: マイルス・デイビス
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: CD

The Last Session

The Last Session

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI Import
  • 発売日: 1998/03/31
  • メディア: CD



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コメント 6

HIKKY

幸か不幸か、私のマイルス初体験がこのアルバムでした
真に衝撃を受けました(最初は、なんじゃこりゃ!って感じで)
しばらくは「もうチャラいロックなんて聴いてらんねーや」と思ったりもしました(結局、チャラいロックは今でも聴いてますが)
by HIKKY (2010-08-09 20:10) 

MASA

おー、このアルバムが初体験なら、あとは怖いものなしですね(笑)。
確かにこういうの聴いちゃったあとなら普通のロックはチャラく聴こえるかも知れませんね。
それにしてもスゴいエネルギーを発しているアルバムです。
by MASA (2010-08-09 22:14) 

MORE

実は私、リリース当時にはイマひとつのめりこめませんでした・・・
「ジャズ・ロック」というカテゴライズされた枠組みの中で聴こうとしたからなんでしょうね、振り返ってみると。
「あんましロックしてないじゃん!」と感じてしまったのでした。
マイルズは(ビッチェズ・ブリューもそうですが、マイルスという間違った読み方も今となっては直らない?まあEaglesがいまだにイーグルスな国ですから・・・)「ジャズロック」に転向したのではなくて、あくまでも「マイルズ・ディヴィス・ミュージック」を作っていたんですね。それが判るのにン十年もかかったこちらが未熟でした。
それにしても、ボックスセットで終わりだと思ったのに、またこうして新たにボックスを出すのって正直言ってルール違反っつうか、音楽業界が崩壊していく断末魔の呻きだとしか思えませんね。
(7段上にある)天国のマイルズも「おいおい、もういい加減にしな!」とお怒りのことだと思うんですが・・・"Son of a bitch!"と言うかどうかは知りません・・・

このアルバム、ジャケット・デザインが全てを語っていると思いませんか?
by MORE (2010-08-10 11:42) 

MASA

MOREさん、どーもです。
いやあ、発売当時にいきなり理解出来る方がすごすぎでしょ、このアルバム(笑)。
ロックというよりプログレに近いかも知れませんしね。
そうそう、書き忘れてましたが、「マイルス」自体が間違った読み方ですもんねー。

しかしまあ、私は買わなかったものの、あのBOXセットで打ち止めだと私も思ってましたよ。
まさかまだタマが残っていたとはねえ(笑)。

確かにジャズらしからぬあのジャケがすべてを表現しているアルバムですよね。
by MASA (2010-08-10 23:11) 

pinkisland

 ああ、また出るんですね。DVDは興味深々ですが、買えないかなあ。

私も以前ブログに書きましたが、「ビッチェズ・ブリュー」じゃないよなと、ずーっと思ってました。でしたので、「ビッチズブルー」ではないかと書いたのですが、かのピーターバラカン氏は「ビチズ・ブルー」と書いてます。

このアルバムは最初聴いた時、何なんだ~と大変怖い音楽だと思いました。今も思ってますが。なんかブードゥー教の音楽みたいで、バスクラはうなっているし、スローなテンポだし。でも印象的なメロディは心に残ります。
by pinkisland (2010-08-12 06:35) 

MASA

pinkさん、どーもです。
「ビチズ・ブルー」かあ、さすがバラカンさんですね^^。
確かに1曲目の「Pharaoh's Dance」はちょっと不気味な感じでコワイかも知れませんね。
夜ひとりで聴いてはいけませんみたいな(笑)。

2曲目のアルバム・タイトル曲が何と言ってもいいですね。
ディレイをかけて宙を舞う感じのマイルスのトランペットが超カッチョイイ〜!
by MASA (2010-08-12 17:44) 

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