Roland Kirk「INFLATED TEAR」 [Jazz]
ワタクシ、ジャズのアルバムはアナログのオリジナル盤を中心にCDも含めると200〜300枚ほど所有していますが、ジャズ歴が20年足らずと比較的浅くて聴き込んでいないものも多数あり、なかなか深いところまで語れないし語る資格もないなと思い、何だか恐れ多くて今まであんまり取り上げて来ませんでした。
でもまあ感想文くらいなら書けるだろう、ということで、今回は先日久しぶりに聴いて「やっぱスゲエな、この人!」と思ったローランド・カークの'68年リリースの代表作「INFLATED TEAR(溢れ出る涙)」を取り上げようと思います。
ちなみにワタシが持っているのはツルツルのコーティング・ジャケが美しいUS ATLANTIC オリジナル盤ですが、レーベルがグリーン/赤の2nd.プレス。確か初めて買ったローランド・カークのアルバムだったと思います。
この人は首から何本もの楽器をぶら下げて複数を同時に吹き、ハモリまで入れるという離れ業のようなテクニックを駆使して演奏することで有名ですが、そのため昔はゲテモノとかグロテスクなどと言われて異端児扱いされたという人です。
まあそんなゲテモノ扱いをしたのはジャズしか聴かない、あるいはジャズしか知らない音楽的な視野が狭かった昔の古いジャズ評論家やリスナーですが、表現方法にルールなどないロック的な価値観で捉えれば、ちょっと奇異には見えるもののゲテモノでもグロテスクでも異端でも何でもないですね。
それどころかローランド・カークの存在はユニークでジャズの凝り固まった既成概念をブチ壊す画期的な存在だったと思います。
マイルス・デイヴィスもそうでしたが、この人も恐らく自分はあくまで音楽家であって自己表現のための手段がたまたまジャズであったに過ぎず、単純にジャズ・ミュージシャンという狭いカテゴリーで括らないで欲しいと思っていたんじゃないかと思います。
あの独特の演奏方法は彼が盲目だったということと深い関係があるのは明白で、盲目であったがゆえにその分感性が研ぎ澄まされイマジネーションが膨らんだ結果としてのあの特異なパフォーマンスだったのでしょう。
そしてその演奏から放たれるパワーたるや尋常でないくらいのエネルギー。曲によっては鬼気迫る演奏もあります。
このアルバム「INFLATED TEAR」でもテナー・サックスを中心にマンゼーロ、ストリッチ(このふたつはどんな楽器なのかよく分かんないけど・笑)、クラリネット、フルート、イングリッシュ・ホルンにホイッスルまでを取っ替え引っ替え操り、緩めの穏やかな演奏から汗が飛び散るようなエネルギッシュな演奏までを繰り広げています。
この人のアルバムは他のジャズマンと比較してわりと自作曲が多く、ジャズとしてはポップスのアルバム並みに1曲の演奏時間が比較的短いものも多いですが、このアルバムもアナログで9曲、CDだと10曲収録されていて、聴きやすい面があるのも特徴。ジャズの初心者でも入りやすいと思います。
他にも「WE FREE KINGS」「DOMINO」「VOLUNTEERED SLAVERY」「BLACKNUSS」「RIP, RIG AND PANIC」などを持ってますが、どれも代表作でハズレがないアルバムです。特にこの中だと「DOMINO」や「VOLUNTEERED SLAVERY」はオススメ。
でもまあ感想文くらいなら書けるだろう、ということで、今回は先日久しぶりに聴いて「やっぱスゲエな、この人!」と思ったローランド・カークの'68年リリースの代表作「INFLATED TEAR(溢れ出る涙)」を取り上げようと思います。
ちなみにワタシが持っているのはツルツルのコーティング・ジャケが美しいUS ATLANTIC オリジナル盤ですが、レーベルがグリーン/赤の2nd.プレス。確か初めて買ったローランド・カークのアルバムだったと思います。
この人は首から何本もの楽器をぶら下げて複数を同時に吹き、ハモリまで入れるという離れ業のようなテクニックを駆使して演奏することで有名ですが、そのため昔はゲテモノとかグロテスクなどと言われて異端児扱いされたという人です。
まあそんなゲテモノ扱いをしたのはジャズしか聴かない、あるいはジャズしか知らない音楽的な視野が狭かった昔の古いジャズ評論家やリスナーですが、表現方法にルールなどないロック的な価値観で捉えれば、ちょっと奇異には見えるもののゲテモノでもグロテスクでも異端でも何でもないですね。
それどころかローランド・カークの存在はユニークでジャズの凝り固まった既成概念をブチ壊す画期的な存在だったと思います。
マイルス・デイヴィスもそうでしたが、この人も恐らく自分はあくまで音楽家であって自己表現のための手段がたまたまジャズであったに過ぎず、単純にジャズ・ミュージシャンという狭いカテゴリーで括らないで欲しいと思っていたんじゃないかと思います。
あの独特の演奏方法は彼が盲目だったということと深い関係があるのは明白で、盲目であったがゆえにその分感性が研ぎ澄まされイマジネーションが膨らんだ結果としてのあの特異なパフォーマンスだったのでしょう。
そしてその演奏から放たれるパワーたるや尋常でないくらいのエネルギー。曲によっては鬼気迫る演奏もあります。
このアルバム「INFLATED TEAR」でもテナー・サックスを中心にマンゼーロ、ストリッチ(このふたつはどんな楽器なのかよく分かんないけど・笑)、クラリネット、フルート、イングリッシュ・ホルンにホイッスルまでを取っ替え引っ替え操り、緩めの穏やかな演奏から汗が飛び散るようなエネルギッシュな演奏までを繰り広げています。
この人のアルバムは他のジャズマンと比較してわりと自作曲が多く、ジャズとしてはポップスのアルバム並みに1曲の演奏時間が比較的短いものも多いですが、このアルバムもアナログで9曲、CDだと10曲収録されていて、聴きやすい面があるのも特徴。ジャズの初心者でも入りやすいと思います。
他にも「WE FREE KINGS」「DOMINO」「VOLUNTEERED SLAVERY」「BLACKNUSS」「RIP, RIG AND PANIC」などを持ってますが、どれも代表作でハズレがないアルバムです。特にこの中だと「DOMINO」や「VOLUNTEERED SLAVERY」はオススメ。
- アーティスト: ローランド・カーク,ロン・バートン,スティーヴ・ノヴォセル,ジミー・ホップス,ディック・グリフィス
- 出版社/メーカー: Warner Music Japan =music=
- 発売日: 2008/02/20
- メディア: CD
Rip, Rig & Panic/Now Please Don't You Cry, Beautiful Edith
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Polygram Records
- 発売日: 1990/03/21
- メディア: CD
前奏のとこで聞こえてきた音が尺八の音色に聞こえるんですけどーщ(゚Д゚щ)
つーか鼻で吹いちゃってるし~(笑)
ギター弾きながらハーモニカつーのはよく見るけど
一人バンド?面白いね~
ジャズは好きな人が多いね~
現正蔵のこぶ平あたりがうんちく語ってたの聞いたことあるかな(笑)
by がぁこ (2010-08-06 06:39)
Roland Kirkという名前が出るたびに「ゲテモノ」という代名詞がつくのには辟易しております。
本当に彼の音楽聴いてからそう思ってるのか?と言いたいです。
まあ、古いジャズしか聴かない、例えばエレクトリック・マイルズなんてジャズじゃないと頑なに信じているような人から見れば異端児というかジャズじゃあねえよ、なんでしょうけど。
コルトレーンやマイルズがディズニー映画のテーマソングを取り上げたりしたのと同じ感覚なんだと思いますよ、カークもバカラックの曲とかマーヴィン・ゲイとかやってますよね。
カークの音楽、なんたってファンキーだし、ロック感覚(?)に溢れています。
60年代のチャールズ・ロイドにも通じるところですかね。
あの頃のアトランティックはジャズもロックも境界が曖昧な感じで良かったっすね。
by MORE (2010-08-06 09:35)
ローランド・カーク、はじめて知りました。
面白いですねー。
彼をゲテモノ扱いしてる人って、たぶん視覚的にしか音楽を聴いていないのでしょうね、もったいない。
ここ最近エレクトリック・マイルスにはまりそればっか聴いている自分からしたら、MASAさんは大先輩です。思考停止したジャズ親父とかは眼中にいれず、これからもこの手の記事を書いて頂きたいです。
それと、ジャズやクラシックなんかはアナログ盤だとやはり違いが感じられるものなのでしょうか?(オーディオ親父的解釈は別として(笑)
最近ターンテーブルを入手したのですが、どの方向から手を伸ばしてゆくべきか悩んでます。
by Koto (2010-08-06 17:30)
がぁこちゃん、まいどー。
思いっきり吹いてるから確かに尺八みたいに聴こえるよね^^。
鼻でも吹くし何でもありだよ、この人。
こぶ平はジャズ・マニアで有名だからね。たくさんアルバム持っててかなりコアみたいだよ。
by MASA (2010-08-06 23:25)
MOREさん、どーもです。
昔は「スウィング・ジャーナル」とかジャズの名盤ガイドなんか読むと、まあほぼ必ず「ゲテモノ」扱いでしたが、今でもそうなんでしょうか。
だとするとジャズのジャーナリズムって全然進歩してないってことになりますね(笑)。
おっしゃるとおり、特に'70年代はジャズでありながら非常にロック的なスピリットを感じますね。
by MASA (2010-08-06 23:31)
kotoさん、どーもです。
すごいでしょ、ローランド・カーク^^。
この人の音楽とか電化マイルスを聴けない人は不幸でかわいそうなですよ(笑)。
実は今度は「BITCHES BREW」でも取り上げようかと思っていたところです。
近々デラックス・エディションが出るみたいなんでそれに絡めようかと^^。
おー、ターンテーブルを入手されましたか。いいですね。
クラシックはあまり聴かないので何とも言えませんけど、ロックやポップスならリマスターされたCDで十分と思えるものもたくさんあります。
でも個人的にはジャズならアナログ盤の方がやっぱり聴いててシックリ来ますね。
ルディー・ヴァン・ゲルダーがリマスターしたブルーノートのCDはさすがによかったですが、そういう例外を除けばやっぱりジャズはアナログの方が音の鮮度も表現力も自然なんです。
まあその辺は実際に聴き比べてもらえれば一目瞭然ですが、少なくともデジタルとアナログでは音の傾向が全然違うのは確かです。
ただし同じアナログ盤でも再発盤や国内盤だとオリジナル盤に比べるとどうしても音質が劣っている場合が多いです。
まあちょっと高価なものもありますが、出来ればオリジナル盤で聴いて欲しいですね^^。
by MASA (2010-08-06 23:52)
MASAさん こんにちは
「グロテスク・ジャズ」ですからね(苦笑)
ジャズに全然詳しくない私にとっては、グロテスクどころか美しい姿に見えるんですけどね。
ローランド・カークはイギリスの「SUPER SHOW」というTV番組で知りました。
もちろん良い意味でのインパクトが大でした。
アニマルズのエリック・バードンもそうですが、ロック側にも彼の熱烈な信望者は多いみたいですね。
by poposuke (2010-08-07 10:48)
poposukeさん、こんにちは〜。
これのどこら辺がグロテスクなんですかねえ。ロックがまだ一般的でなかった時代の昔の正統派ジャズ・ファンにはそういうロック的価値観がなかったので、かなり戸惑ったんでしょうねえ(笑)
マイルスと並んで、確かにこの人もロック・ファンの間で人気が高く、ミュージシャンズ・ミュージシャンみたいな人のようですね。
by MASA (2010-08-07 15:00)