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スカーレット・ヨハンソン「ANYWHERE I LAY MY HEAD」 [Rock / Pops]

映画「ゴースト・ワールド」、「ロスト・イン・トランスレーション」などに出演して有名になり、日本ではカフェ・ラッテのCMでおなじみの若手女優スカーレット・ヨハンソンがなんと歌手デビューし、先日「ANYWHERE I LAY MY HEAD」というアルバムを出した。
最近カナダ人俳優との結婚報道もあったばかりのスカーレットだが、上記の2本ですっかり彼女のファンになっていた私としては興味津々で買ってみた。

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初回限定の紙ジャケ仕様で、開くとこんな感じ。

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昨年カリフォルニア州で行なわれた野外コンサートでジーザズ&メリーチェーンのライヴに特別出演して大いに盛り上がったという話もあるが、そんなこともあり今まで音楽とは全く無縁の人ではなかったようだ。

で、このアルバムの内容だが、これが1曲を除いたその他全曲がTom Waitsのカヴァーなのである。
トム・ウェイツと言えば、あのダミ声と独自の音楽性、その強面ぶりから俳優業の経験もある個性派アーティスト。
私はあのアクの強いダミ声と陰鬱な感じがする曲の雰囲気がどうもダメで、彼の音楽は聴かず嫌いでアルバムはまともに聴いたことないんだよなあ^^;

ところがどうだろう。歌い手と曲のアレンジが違うことでこのアルバムでは同じトムの楽曲がまったく別の表情を見せており、その結果実に素晴らしいアルバムに仕上がっているのである。
そこはかとなく哀愁が漂う落ち着き払ったアンニュイさを持つトム・ウェイツの曲がスカーレットの声にピッタリとハマっていて、繊細で透明感のある独自の世界感を作り上げることに成功している。

正直言ってスカーレット自身の歌唱力はそんなに高い方ではないので、声や雰囲気で聴かせるタイプと言っていいだろう。そこをうまく引き立たせているプロデューサーのDavid Andrew Sitekという人の力はかなり大きいようだ。

全体的にフィル・スペクターのウォール・オヴ・サウンドのような深いエコーを多用したり、ダブル・ヴォーカルになっていたりしているが、このアルバムを聴いて私はUKの耽美派サウンドのバンド、コクトー・ツインズや、デヴィッド・リンチ監督作品の音楽を一手に引き受けているアンジェロ・バダラメンティが手掛けたジュリー・クルーズのアルバムを思い出してしまった。雰囲気としてはジュリー・クルーズの方が近いかも知れない。あれがお好きな人は間違いなく気に入るアルバムだと思う。

まずはバック・コーラスにデヴィッド・ボウィがゲスト参加しているシングル・カット曲「Falling Down」という曲を聴いて下さい。
ちなみにボウィはもう1曲別の曲でもコーラスに参加してます。



この曲はアルバムの中ではこれでもキャッチーな方だが、この曲1曲だけを取り上げて聴いてもアルバムの雰囲気は伝わりにくいかも知れない。アルバム1枚を通して聴くことでちゃんとしたよさが伝わるのではないかと思う。

それにしても今更にして思うのが、このアルバムの根幹であり原曲となっているトム・ウェイツの音楽の素晴らしさだ。
これはもう聴かず嫌いなんてことは言ってられなくなったぞ。トム・ウェイツには土下座して謝りたい気分である。今まで聴かずにす、すいませんでした〜っ!

とにかくこれは女優さんが出したアルバムとしてはもちろん、最近のポップ・アルバムの中でもかなりの傑作だ。スカーレットのファンだけでなく、多くの音楽ファンに聴いて欲しい。



Anywhere I Lay My Head

Anywhere I Lay My Head

  • アーティスト: Scarlett Johansson
  • 出版社/メーカー: Rhino
  • 発売日: 2008/05/20
  • メディア: CD



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chitlin

凄く綺麗なお方ですよねぇ。
それだけにThe Jesus And Mary Chainとの共演には驚きましたよ。
私が視聴したのは飛び入りで1曲のみという場面でしたが、歌を歌うなんてのは意外過ぎます。しかも、悪名高い暗黒兄弟をバックに堂々としたものでしたし。

それ以上に丸ごとTom Waitsのカヴァーというのも過激ですね。普通は思い付かないことですよ、こんなの。
あと「Falling Down」聴いた限り、おっしゃる通りCocteau Twinsの音にも通じるものがありますね。
驚きの連続です!


by chitlin (2008-05-25 01:08) 

MASA

chitlinさん、こんばんはー。
ジザメリとの映像は観たことないですが、確かに予想外の取り合わせですよねー。
コクトー・ツインズがお好きならこのアルバムもオススメですよ。是非^^。
by MASA (2008-05-25 01:38) 

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