レココレ70年代ロック・アルバム・ベスト100 [雑誌 / 書籍]
先月の「レココレ」5月号の60年代ロック・アルバム・ベスト100に続き、6月号は私もリアル・タイムで青春時代を過ごした70年代のアルバム100枚の登場だ。 とは言うものの、何しろお金がなかった学生時代なので、80年代に入ってから後追いで聴いたアルバムの方が多いのは多かれ少なかれ皆さんも同じかも。 それにしても今回もまたもやレココレならではの個性的なランキングになっているみたいである。 |
先月号の記事に続いて内容はちょっとバラしちゃうが(笑)、数々の名盤を押さえての1位がなんとセックス・ピストルズというのはさすがに驚きだ。
写真は色違い・選曲違いのアメリカ盤LPと'96年のボーナス・ディスク付き2枚組CD。
このアルバムをリアル・タイムで聴いていない、私よりひと回りほど年下の音楽通の友人に以前聴かせたところ「今聴くと歌詞がいささか過激な単なるハード・ロックにしか聴こえず、当時の空気感があんまり伝わって来ない。パンクってこんなもん?」みたいなことをのたまいやがったことがある(笑)。
そういう感想を聞いてこのアルバムが今でも効力があるのかどうかを疑問に思ったことがあった。
彼より更に若い今の若者が聴いた場合なら、単に音楽のいちジャンルとして形骸化したあと盛り上がっているグリーン・デイなどに代表される現在パンクとされるものに比べるとヌルイ音楽にしか聴こえないかもしれない。だとするととっても残念である。
ライヴでは過激だったピストルズもプロデューサーのクリス・トーマスによるこのアルバムでは整理された音作りのためパンクの猥雑さがやや希薄に聴こえないこともない。今聴くとある意味意外にまともな作りのアルバムであり、これより強烈にパンクなアルバムはこれ以後たくさんある。
しかし「ウルトラセブン」の方が出来がよく人気も高いが、それも最初の「ウルトラマン」あってであり、「ウルトラマン」のプリミティヴさが何より代え難いのと同じように(変なたとえでスンマセン)、このアルバムが重要なのはこのアルバムによってパンク/ニュー・ウェーヴ・シーンが始まり、それまでメジャーのレコード会社では束縛や規制によって表現出来なかった壁をヴァージン・レコードという新興インディ・レーベルに身を置いた彼らがそういったものをものの見事にブチ壊した最初の作品だということと、このアルバム以後コマーシャリズムに陥りマンネリ化して倦怠期を迎えていた'70年代後半の音楽シーンの流れをすっかり変えてしまったという点だ。
そんな理由もあっての1位だと思うが、パンクの洗礼を受けなかった人にはこんなのが1位じゃ納得出来ない人も多いだろう。まあこれも「レココレ」ならではということで、これはこれでよし、という感じだ。
前回はローラ・ニーロが3枚も入っていることが個人的にはうれしかったが、今回もカヴァー・アルバム「GONNA TAKE A MILACLE」が85位にチャート・イン。
そしてビートルズのソロ作品中もっとも好きなポールの「RAM」が30位という結構上位のランキングだったこともメチャうれしい。
冴えないジャケの印象も手伝って、なかなか正当に評価されるまで時間がかかってしまったアルバムだが、よーやくここまで来ましたか〜(泣)。ホントなら20位以内に入って欲しかったところだけど^^。
同時にうれしいのが66位に入っているロバート・パーマーのファースト「SNEAKIN' SALLY THROUGH THE ALLEY」。
なかなかこういうチャートでは入らないアルバムなので、これを選んだレココレのライターのみなさんサスガです^^。
ロバート・パーマーというとデュランデュランのメンバーらと組んだパワー・ステーションのヴォーカリストのイメージが強く、それ以後ハード・ロックっぽい音楽で本格的にブレイクした人だが、彼の神髄はその前の売れていない頃のUKソウル・シンガーとしてのソロ・アルバムにあり。
特に在籍していたヴィネガー・ジョー解散後に発表したこの1st.はアラン・トゥーサンやミータース、リトル・フィートのローウェル・ジョージといった面々による強力なバックアップを得てニュー・オーリンズ色が強いUKブルー・アイド・ソウルといった趣きで、素晴らしい出来。
リンゴも'77年のアルバム「RINGO THE 4TH」でカヴァーしているアラン・トゥーサンの「Sneakin' Sally Through The Alley」、リトル・フィートのアルバム「SAILIN' SHOES」収録のアルバム・タイトル曲も歌ったりしているので、来週紙ジャケが発売されるリトル・フィートがお好きな方には絶対のオススメ。
ちなみに来月ボートラ付きでこのアルバムを含むISLAND時代の初期4枚のリマスターCDが出ます。
写真は再発UK盤。残念ながらオリジナル盤は未入手。
87位のThe Slits「CUT」も個人的には大好きだが、こんなものまで入れちゃうレココレって一体選考基準がどうなってるんだろ?これを入れるならJOY DIVISIONの「CLOSER」なんかが入ってても良さそうだけど。あ、あれは80年だったかな?
とりあえず来月7月号の80年代ロックも楽しみだが、この分だとまた妙なランキングになりそうだ(笑)。
ちなみに今回持っているアルバムを数えた結果は43枚。持ってないけど聴いたことがあるアルバムを入れると53枚。前回よりちょっとだけ打率が上がりました(^ω^)。
こんばんは。
当然、僕もコレ買いました(っていうか毎月買ってます)。
まだ、読みかけです。
そのうち、記事アップするつもりです。
僕の書く記事なんで、「その時は宜しくです」なんて言えません。
あれっ? 言ってる?(爆)
1位のアルバムがあの作品とは、ちょっと驚きました。
世代的にはピッタリなのですが、微妙にパンクとは縁がなかったDEBでした。
by DEBDYLAN (2007-05-18 23:32)
DEBDYLANさん、こんばんはー。
パンクやニュー・ウェーヴって、私みたいに頭のてっぺんまでドップリと浸かった人と全く洗礼を受けなかった人とがいて極端ですね。
記事をアップされたらTBさせて下さい^^。
by MASA (2007-05-18 23:58)
私も70年代特集、買いました。
セックスピストルズやラモーンズなどのパンク系が入っていたのが意外でした。60年代のビートルズやブライアン・ウィルソンの反動から、70年代はシンプルなロックンロール(パンク)が盛り上がったのですね。
あと思ったのが、クイーンやエアロスミス、ジェネシスなどはどうなったのでしょうか?もし良ければ知りたいですね。
by (2007-05-19 02:02)
こんばんはー。
クイーン。エアロ、ジェネシス、ありませんねえ。70年代にあれだけ売れて支持層も多いはずのエルトン・ジョンやサンタナもないです。信じられませんね(笑)。マニアが作ったランキングですよ。一般とはかなりかけ離れたものですね。まあそこがこの雑誌らしくて新鮮で面白い部分ですけど、それにしても極端なランクですよねー。
by MASA (2007-05-19 03:33)
☆ 人の数だけランキングあり,であります(^o^)。早速これをネタに70年代アイドルコレクションでも作ろうかと(自爆)。。。←最近ネタに詰まって,うp出来ず焦っている(>_<)。
by deacon_blue (2007-05-19 06:04)
ピストルズについては、閉塞しかかっていたシーンにデカい風穴を開けたことが何といっても評価の最大のポイントですよね。尖り方や過激さからいったらその後のディスチャージや日本でいえばスターリンやじゃがたらという存在がありましたが、ピストルズが登場したときのあの風景は、リアルタイムで体験した拙には今も色褪せません。となるとその流れに連なる重要バンドがエントリーしたことに意味があったと解釈しています。
今回の70年代編について拙的には、王道系メガヒット・アルバムで埋め尽くされなくてよかったと思っています。その辺は大手新聞社系列が出してくる中高年向けムックにでも任せておけばいい(こんなこと書くと反感を買いそうですが)。レココレとしては、「ロックの価値はいつの時代だってショービズだけで括れるほど安っぽいもんじゃない!」という、純音楽誌としてのプライドがあったのだと思います。100枚じゃとても足りないのは分かり切っている。泣くなく入れられなかったものもあったでしょうが、逆に断固オミットしたものもあったはずで、それを想像しながら読むとまた面白さ倍増でした。これで80年代ベスト100もおぼろげながら見えてきたような気がします。産業ロック/メガヒッター抹殺、ポストパンク~ネオアコで来るかも。
> ロバート・パーマーのファースト「SNEAKIN' SALLY THROUGH THE ALLEY」
買いそびれていた最重要アルバムの1枚です。リマスター盤で入手しようと思います(笑)。
by 路傍の石 (2007-05-19 14:23)
ロバート・パーマーの1stはオリジナルUK盤もっています。
今回にリマスターはジャケットの色合いもオリジナルに近いみたいだし、
凄く期待が大きいです。オリジナル盤の音、迫り来る爆音です。
ヴィネガー・ジョーからの流れでアラン・ボーンやジェス・ローデン、ブロンコ、バッツ・バンドあたりも再発にならないかなぁ〜
UKブルー&アイドソウルの名盤って結構眠っていますよね。
by hamakaze_ataru (2007-05-19 15:10)
deacon_blueさん、どうもです。
>人の数だけランキングあり,であります
まあそういうことですよね。どこを見ても同じようなランキングじゃつまらないし、レココレみたいなちょっと視点を変えたところから選ぶというのはやはり読む側は新鮮です。
70年代アイドルコレクション、面白そうじゃないですかー。
是非記事にして下さい。楽しみにしてます^^。
by MASA (2007-05-19 16:20)
路傍さん、毎度です^^。
>今回の70年代編について拙的には、王道系メガヒット・アルバムで埋め尽くされなくてよかったと思っています。その辺は大手新聞社系列が出してくる中高年向けムックにでも任せておけばいい
おっしゃるとおりですね。何もレココレが当たり前のことをすることはないわけで(笑)。なるほど、よそとは違切り口で行くぞ!というコアな音楽雑誌としてのプライドがあったのかも知れませんね。
それにライターのみなさんがみなさんだってことと、雑誌の性格上、これを聴きましょう、という入門的なスタンスで選んでいないランキングですしね。
>これで80年代ベスト100もおぼろげながら見えてきたような気がします。産業ロック/メガヒッター抹殺、ポストパンク~ネオアコで来るかも。
私もそう読んでます。てか、これまでの流れで来るとそう読まずにどう読むんだ、って感じですよね(笑)。これでジャーニーとかスティクスなんか入ってたらドッチラケですよ(笑)。
ロバート・パーマーの1st.はなかなか素晴らしいので是非お聴き下さい!
by MASA (2007-05-19 16:41)
大安さん、どーもです^^。
>ロバート・パーマーの1stはオリジナルUK盤もっています。
え〜っ?それは羨ましい!オリジナルってインナー・スリーヴとか付いてるんですか?再発盤はただの白い袋だし、レーベルは80年代に使用されていた夕日にヤシの木レーベルです。
他のアルバムも再発盤やUS盤なんでオリジナル欲しいなあ。
他のヴィネガー・ジョーがらみのアルバムはまったく聴いたことないんですけど、なんかよさそうですね^^。
by MASA (2007-05-19 16:59)
残念ながらインナースリーブはオリジナルではありません。白袋です。ジャケ、盤質ともに申し分ないのですが・・・残念。
この時代のロバート・パーマーが好きな方なら絶対おすすめはジェス・ローデンですね。ジェスが抜けたアラン・ボーンの後釜がパーマーですからね。ブロンコを経て、ジェスの1stソロもA面ニューオリンズ録音でアラン・トゥーサン、ミーターズ絡みですからハズレません。その後のドアーズ残党と作ったバッツ・バンド、自身のジェス・ローデンバンドも含めすべて見事に商業的に成功してないのにUKブルーアイドソウル〜AORの道に残した功績は絶大。フランキー・ミラーより評価が低いのが悲しいです。ここいらあたりをガツンと再発して欲しいですね。
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これが現状ですから・・・
by hamakaze_ataru (2007-05-20 10:46)
¥ 8,672ってメチャクチャプレミアついてますね(笑)。
う〜ん、この辺は私にとって全く未知のアーティストです。深いですねー、奥の細道ですねー(笑)。でも機会があれば聴いてみたいです。
by MASA (2007-05-20 14:02)
誰が決めた価格帯なのか・・・アホみたいでしょ?
今度焼いて送ります。
by hamakaze_ataru (2007-05-20 14:50)
えっ、マジですか?そんなに気を使わないで下さいよー(笑)。
大安さんの気が向いたらでけっこうですので、あまりお気遣いなく。
by MASA (2007-05-20 15:06)
のんびり屋なので師走の声が街をにぎわす頃、UKソウルが札幌を熱くするって感じかも。
by hamakaze_ataru (2007-05-20 16:39)