SSブログ

ビートルズは40年前の今日やって来たんだ ヤア!ヤア!ヤア! [The Beatles]

1966年の今日、6月29日深夜、正確には早朝午前3時50分、台風のため予定より約11時間遅れてビートルズは日本にやって来ました。
翌日30日から7月2日までの3日間に昼の部・夜の部合わせて5公演を日本武道館で行ないましたが、スッタモンダの末ではあったものの武道館がコンサートに使われたのも、外国アーティストによる本格的なロック・コンサートも日本ではこれが初めてのことでした。そういう意味ではこのコンサートが日本のロック元年と言ってもいい画期的な出来事でした。

当時小学校5年生のガキンコだった私はまだビートルズについては詳しくなく、数曲のヒット曲を知っている程度だったので「『プリーズ・プリーズ・ミー』も『抱きしめたい』もやんないのかー、知らない曲ばっかりだなー」などと思いながら録画中継されたコンサートをテレビで家族みんなで観たものでした。この時の視聴率も驚異的なものだったと思います。

これはその時の武道館公演でのパンフレット。ちなみにレプリカではなく、30年近く前に古本屋で\5,000でゲットしたホンモノです^^。

下はパンフの裏表紙。尾藤イサオ、内田祐也、ブルー・コメッツ、ドリフターズらの前座アーティストの紹介、協賛のライオン油脂(現・ライオン)のエメロン石鹸、エメロン・シャンプーの広告が。ライオン歯磨の外箱のマークを切り取って送ると、抽選の上コンサートのチケットが購入出来るというシステムが取られたようです。

パンフの真ん中ページに載っている東芝の広告。

上は武道館コンサートを収録したレーザー・ディスク。
'66年当時放送されたのは白いスーツを着て演奏した7/1昼の部の公演でしたが、そちらはマネージャーのブライアン・エプスタインが持ち帰ったため日本にはなく、1978年にテレビでアンコール放送された、ポールのマイク・スタンドの不調が原因でボツになった黒いスーツで演奏した6/30夜の部の公演が収録されています。
直に録画されたマスター・テープからではなく(こちらもエプスタインが持ち帰ったのか?)、テレビのブラウン管画面を更にヴィデオ撮りしたものなので、画質はそんなによくありませんが、それでも'87年頃に再放送された際にレストアされたものがベースになっており、まずまずの画質です。何よりビートルズのコンサートがまともな形でカラーで残されているのは世界的にもこの武道館公演と'65年のシェア・スタジアム公演くらいなので、大変に貴重なものです。

内容は黒いスーツの6/30のコンサートですが、下の写真のようにLDのジャケット写真に使われているのは7/1の白いスーツのもの。これは当初7/1ヴァージョンが収録される予定だったためですが土壇場になってアップルから発売許可が取り消され、結局6/30ヴァージョンが収録されました。

男が女のように髪を長くするなどという習慣が全く一般的でなかった時代、その奇抜さや大人たちには騒音にしか聴こえず反社会的な危機感を持たせたハードなロックのサウンド。ファンのすさまじい熱狂とは裏腹に、それに困惑し不安感を煽られた多くの大人たちから「ビートルズを聴くと不良になる」などと言われ、彼等は目の敵にされました。既成の概念から外れた新しい価値観を持つものが出現すると、大人が危機感を抱いてそれを排除しようとするのは世の常とは言え、まさにこれは不条理な論理。学生が武道館コンサートに行くことは禁止され、行けば謹慎・退学処分になったり、一部の右翼が排斥運動を行なったりという、今から見ればそんな未熟な時代にビートルズはやって来たのでした。

そんな「黒船来航」から40年。ビートルズによって種が蒔かれた日本のロックは紆余曲折・試行錯誤を経て成長し、世界的な視野から見ても反社会的だとされたロックは現在体制側に組み込まれ、ひとつの音楽ジャンルとして私たちのもっとも身近なものとなり、すっかり当たり前のように定着しました。これが「全てはビートルズから始まった」と言われる所以のひとつです。
そんなビートルズの来日コンサートを当時武道館でナマで観ることが出来た人たちが私にはとっても羨ましい。


nice!(1)  コメント(16)  トラックバック(3) 

nice! 1

コメント 16

parlophone

MASAさん、お帰りなさ~い。
長期出張お疲れさまでした!

さてさて、ぼくも来日40周年の記事をUPしようと思いながら、まだ準備ができていません。
MASAさんの記事はとても興味深く読ませていただきました^^
ぼくも記事を書いたらトラバさせていただきますね。
by parlophone (2006-06-29 22:49) 

MASA

遼さん、ありがとうございます。無事帰って参りました^^。
ブログ開設1周年&20万アクセスもおめでとうございます!
遼さんの来日40周年記念の記事も大変楽しみにしてますので、その節はこちらからもTBよろしくお願いします。
by MASA (2006-06-29 23:39) 

Reiko

MASAさん、こんにちは〜

トラバありがとうございました。
わたしもトラバさせていただきました。

40年前は、わたしも小学生でした。
父と兄はおそらく興味深く、テレビをみていたのではないかと思います。
時の流れを感じます。
by Reiko (2006-06-30 13:59) 

ayumusic

長期出張、ご苦労様でした。
「ビートルズを聴くと不良になる」、、、うーん、ギターは不良が持つものみたいな感じですか。
パンフ、初めて見させていただきました。デザインワークがいい感じだったんですね。新しい価値観が生まれる、息吹、うねりが感じられて興味深いです。
ビートルズ・ヤァヤァ・セール、、、すごいキャンペーンですね。笑えました。
by ayumusic (2006-06-30 22:17) 

MASA

Reikoさん、TBありがとうございます。

>父と兄はおそらく興味深く、テレビをみていたのではないかと思います。

私の家族は当時誰もビートルズをよく知っていたわけではありませんが、ビートルズ来日という社会現象を単に興味本位に捕らえていただけですね^^。
恐らく熱狂的なファン以外は大方そんな感じで武道館公演のテレビを観たんだと思います。じゃなきゃ視聴率が60%もいきませんて(笑)。まあそれだけ当時のビートルズ人気は凄まじかったということですね。
by MASA (2006-07-01 00:42) 

MASA

ayumuさん、ありがとうございます。
当時、ビートルズやヴェンチャーズに触発されてエレキ・ギターを手にし、バンドを始めた人たちの多くは白い目で見られたものです。
長髪にしてる人は珍しい動物を見るような目で見られたりもした時代でした。今から考えると信じられないですね^^。

>ビートルズ・ヤァヤァ・セール、、、すごいキャンペーンですね。笑えました。

「世界のアイドル ビートルズ」ですからね(笑)。当時まだまだアーティストという見方がされていなかったことを物語ってますね。
by MASA (2006-07-01 00:46) 

黎

MASAさん、おはようございます!
こちらからもトラバさせていただきました!今日はこれからキャピトル東急へ行ってきます!!もう今日行かないと二度と行くことが出来ないので・・・。ホテル自体がなくなってしまいますからね・・・・。短い時間の中でいろいろ体験してきたいと思います!
by (2006-07-01 09:43) 

MASA

黎さん、こんにちは〜。TBありがとうございます。
いいなあ、キャピトル東急行きますかー。私も近けりゃ行きたいところなんですが、残念です。しっかりと記憶に刻んで来て下さいね。
by MASA (2006-07-01 13:07) 

parlophone

MASAさん、こんばんは~。
ほぼ半日かけて来日40周年の記事をUPしました。
オチはかなりトホホなんですけど、トラバさせていただきました。
よろしく~^^
by parlophone (2006-07-01 19:44) 

MASA

遼さん、TBありがとうございます。
こちらからもTBさせていただきました。先ほどお邪魔して読ませていただきましたが、ホントに残念でしたね^^。
by MASA (2006-07-01 21:52) 

milk_tea

なんとなく、parloさんのほうにビートルズ来日関係のコメント入れましたが、同じ
コメントそのままこっちでも良かったですね(笑)(コピーして引っ張ってくるか?)
こうなってくると、ある意味「ビートルズ来日の時、生まれてなかったのよぉ~」
という方が逆にインパクトあるのに、ビミョーーなところで、かろうじて生まれては
居た、という自分の中途半端な存在の仕方を今さらながら感じるのであった・・・。
by milk_tea (2006-07-01 23:45) 

MASA

milkさん、どうもです。
ビートルズ来日の思い出みたいな昔話なんか書くと何だか戦時中の体験を語るオッサンみたいで私はちょっと抵抗はあるんですけど、でもやっぱりそういうものと切り離して語ることが出来ない部分はありますね。さすがにまだ熱心にビートルズを好きだったわけではなかったものの、一応来日当時の空気感はリアル・タイムで体験出来てホントによかったと思います。

ただ、当時小学生だった私たちの世代ってちゃんとビートルズを意識していた世代ではなく、もう3年とか5年くらい上の当時中・高校生だったドンピシャ世代から比べれば微妙にズレているという意味ではmilkさん以上に中途半端なんですよねえ。上にそれくらいの年の兄か姉でもいればまた違ったんですが、私長男ですし(笑)。
ビートルズ解散後の1971年からほぼ後追いで聴き出した頃は、リアルタイムでアルバムやシングルを買って聴いていた世代の人たちを羨ましく思ったもんですよ。
by MASA (2006-07-02 00:59) 

milk_tea

>何だか戦時中の体験を語るオッサンみたいで私はちょっと抵抗はあるん
>ですけど

そうそう!40年も経ってくると、ややそういうムードになってきますね。
これがまたあと30年も経つと、もっとそうなるんだろうな。

>もう3年とか5年くらい上の当時中・高校生だったドンピシャ世代から
>比べれば微妙にズレている

あ~、その感じはわかります。何かで、ユーミンが「私の2つ3つ上の世代が
一番カッコ良かったし最先端だった」みたいな事を言っていて、彼女は1954年
生まれだから、その3つ上としたら、ビートルズ来日の1966年は、まさに中3とかで
感受性が一番鋭い時ですもんね。その時に小学生だったっていうのは、確かに
ビッミョーなズレ感ありますね。でもそのズレを埋めようと追いかけることが結局
より奥深い理解にたどりつかせるのかも・・・。
あ~、自分の記事がちっとも書けません・・・・(笑)
by milk_tea (2006-07-02 01:16) 

MASA

>40年も経ってくると、ややそういうムードになってきますね。
これがまたあと30年も経つと、もっとそうなるんだろうな。

うわ〜、30年後には生きた化石状態ですね。「びいとるずが日本に来た時はのう、ワシがまだ小学5年生の時じゃった〜」なんてねー。

>でもそのズレを埋めようと追いかけることが結局より奥深い理解にたどりつかせるのかも・・・。

これはまさにそのとおり。昭和30年代生まれの最初の後追い世代である我々がビートルズの曲のヴァージョン違い発掘や海賊盤蒐集などに血眼になったりした元祖マニアック世代ですが、オリジナルUK盤にこだわったりマトリックスやら何やらと更に重箱の隅を突いて、今いちばん熱心に関わっている世代は昭和40年代生まれのようですし。リアル・タイム世代は逆にこういうことには殆ど無頓着なんですけどね(笑)。
by MASA (2006-07-02 01:54) 

hamakaze_ataru

おはようございます。35年生まれのワタシは、やっぱり最初の後追い世代の中でも下の方だから、「ヴァージョン違い発掘や海賊盤蒐集」派の一番後ろに引っ付いてきた感ありますね。海賊盤って言い方がいかにも「その世代」って感じで。竹下通りのゲットバック開店も、ウルトラレアトラックスに驚愕したのも、社会人になってからだから欲望をお金で買っていましたね〜。この頃80年代後半には誰もマトリックスだのオリジナルUK盤だので騒いでいなかったし、そんな特集すら無かったし。ビートルズにおいての「重箱の隅をゴソゴソ・・・」って行動の裏には、あの最初のCD化の時期に集中して書かれたミュージックマガジンの「憶測(気のせい)」や、レコーディングセッションのデータ本の影響は大きいですね。通常盤の浅瀬からドンドン底なし沼に向かって、自ら沈んで行くことを楽しんでたような・・・
by hamakaze_ataru (2006-07-02 09:38) 

MASA

考えてみれば、今やビートルズの人気ってマニアな連中が新たな楽しみを求めて重箱の隅を突きながらず〜っと維持してるっていう部分が大きいですね。マトリクスがどーだこーだ、なんて方向に行き出したのは確かに「レコーディング・セッション」の影響が大きいように思います。ジャズの世界では結構古くからマトリクスが注目されていたみたいですが、それがポップスにまで及んだのもビートルズが最初でしょうね。まあ、来るべくして来た感はありますが。
by MASA (2006-07-02 15:38) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 3

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。