光にかざすと透けるレコード

すでにこの事実をとっくにご存知の方がおられるのかも知れませんが、ワタシ的にはこないだちょっとした発見をしてしまいました。

先日ここのブログでも取り上げたピンク・レディ「波乗りパイレーツ」のシングルを偶然部屋の明かりにかざしたところ、なんと盤がうっすらと茶色に透けているではありませんか！



ええっ？こ、これは一体どーゆーことじゃ〜？！日本ビクターはカラー盤でプレスしていたのか？

と思い、試しに他の日本ビクター系列のシングルをデスク・スタンドにかざしてみました。
するとほとんどの日本ビクターのシングル盤が薄茶に透けていました。

古いところで、スパイダースの'68年のシングル「なんとなく なんとなく」。当時は日本ビクターが配給していたフィリップス・レーベルですが、



ご覧の通り。これはけっこう透明度が高い。
さらに盤が薄めなせいか極めて透明度が高かったのがサザン・オールスターズの「ボディ・スペシャル II」のシングル。



サザンのシングルは他にもたくさんありますが、これが一番透明度が高かったです。

じゃあアルバムはどうなんだろ？と思い、手持ちが少ない日本ビクター製のアルバムの中からリプリーズ・レーベルのジョニ・ミッチェル「青春の光と影」を引っ張りだし、明かりにかざしてみると、



この写真では見にくいですが、しっかりと茶色に透けてました。
この他にも'63年プレスのエルヴィス・プレスリー「BLUE HAWAII」や、'70年代中期プレスでRCAレーベルの「ELVIS' GOLDEN RECORDS VOL.1」などもうっすらと透けていました。

光に透けるレコードがあるという事実は2005年に出たレコード・コレクターズ増刊の「レコード CD トリヴィア大百科」という本に、'64〜'65年頃の日本グラモフォンのレコードは光にかざすと透ける、という記事があり、ビートルズの「マイ・ボニー」のシングルが載っていたことで初めて知りました。

「マイ・ボニー」は持ってないけど、その時代の日本グラモフォンのレコードなら1枚だけ持ってたな、とその時引っ張りだしたのがスプートニクス「ジャニー・ギター」のシングル。
すると、このシングルは見事に濃いブルーに透けていました。



これ以外にも'63年の日本コロムビア / MGMレーベルのコニー・フランシスのシングル「渚のデイト」はかなり透明度が低くて気が付きにくいですが、これも濃いブルーに透けています。

他のメーカーはどうなってんだろ？と思って今回改めていろいろ透かしてみましたが、他ではテイチクの石原裕次郎の'68年のシングルや、同じくテイチクが配給していたユニオン・レコードのスウィング・ウエスト「雨のバラード」もしっかり茶色に透けました。



日本ビクターに関しては数十枚あるシングルのうちまったく透けないものも何枚かありましたが、ほとんどのものは茶色に透けるものばっかりで、年代にあまり関係なく幅広く存在するようです。

ワタシが確認したところでは持っている中で一番新しめの'87年の小泉今日子「水のルージュ」までが透けるシングルだったので、恐らくアナログ時代はずっとこの透ける素材だったと思われます。

日本ビクター系のRCAレーベルでは藤圭子、クール・ファイヴなどの'60年代末期〜'70年代初頭のシングルの一部にまったく透けないシングルがありました。
山下達郎、竹内まりやなど、'70年代中期〜'80年代のRCAのシングルは20枚前後あるうち見事に全部透けてました。



海外盤にもこういう透けるレコードは一部に存在し、知られているところではエルトン・ジョンなどのDJM / PYEレーベルの一部で確認されています。ワタシが持っている「CAPTAIN FANTASTIC AND THE BROWN DIRT COWBOY」のUK盤もうっすらくすんだブルーに透けています。



以上のシングルやアルバムはどれも通常ではごく普通の黒いレコードですが、光にかざしてはじめて透けていることに気が付くというシロモノ。決してカラー盤として発売されたのではなく、あくまで意図せずして生まれたというあたりは立場はちょっと違うものの、東芝の赤盤とほぼ同様でしょう。

結局今回確認出来たのは日本ビクター全般と'60年代後期のテイチク、それに'60年代初期プレスの日本グラモフォン、日本コロムビアの4社のみ。他のメーカーは通常の黒盤でした。
それにしてもこんなに存在しているとはねえ。長年レコードと付き合って来て初めて知りました。

これらのメーカーはレコードの材料の塩化ビニールに混ぜる色素にカーボン・ブラックを使用せず、別の着色剤を使用したためでは？と言われているようです。
カラー盤は東芝の赤盤だけじゃなかった！？今回見つからなかった他のメーカーにもひょっとすると透けるレコードがあるかも知れません。みなさんのお手持ちのレコードを確認してみると意外な発見があるかも、です。

タグ：透けるレコード

コメント 26

MASAさんこんにちは。
以前私もこれに気付き私の数少ないシングル盤やEP盤で見てみましたら半数くらいが多かれ少なかれ透けて見えました。
最近８０年代以降のシングル盤ではこのような事は私の持っている物ではありませんでしたが６０～７０年代のものは結構な確率で透けるようです・・・とはいっても私の所有１８枚程のものですが・・・
LPに関しては試していないので今度機会があったら試してみようかなぁ・・・
by tetsupc2 (2010-09-25 10:29) 

tetsuさん、こんにちは〜。
おっ、やっぱりすでにお気づきでしたか。
透けてる素材で作られていたものが意外にたくさんあって驚きました。
キンクスなどPYEレーベルの輸入盤もひょっとして透けてる可能性があるので、お持ちでしたら是非調べてみて下さい＾＾。
by MASA (2010-09-25 16:27) 

あら！ホントだ！
アルバムですが、飯島真理、秋元奈緒美、KISS、SCRPIONS(RCA)、ジャパメタのACTION!(PHILIPS)全て透けます。
プレス時期がわからないサッチモ(MCA)はランオフの部分が少し透けてます。

by 黒ちゃん (2010-09-25 19:18) 

おー、黒ちゃんさん、それらはやっぱりすべてビクター系のレコードですね。
やっぱりビクターは他社とは違う染料でレコードを作っていたようです。
ビックリですね＾＾。
by MASA (2010-09-25 21:07) 

いやぁ、いろいろと透けるレコ、あるんですね〜♪

自分は高校生の頃、黒字に赤文字のマーキューリーのレーベルのレコが透けるっていうのに気付いて、材料ケチったな！なんて思った覚えがありますけど、こんなにいろいろとあるとは…所有レコ群、要チェックっすね、うふ♪
by へどろん (2010-09-25 23:18) 

へどろんさんもお気づきでしたか。
マーキュリーも確か昔は日本ビクターですね。
今度は輸入盤もチェックしてみようと思います。
by MASA (2010-09-26 00:08) 

MASAさん、ご無沙汰しております。
ビートルズ関係では“The Beatles / 1962-1966”のUK盤PYEプレスが光に当てると赤くなりますね。それからJohn LennonのUSプロモ・シングル盤で、12インチの“Nobody Told Me”と7インチの“Stepping Out”が紫色でした。いろいろありますね。
by JUN LEMON (2010-09-26 00:45) 

JUN LEMONさん、お久しぶりです。
おー、ビートルズ関係にもありましたか。
やっぱりPYEのレコードには透けてるものがあるようですね。
ジョンの12インチ？と思って今手もとにあるUK盤の「Borrwed Time」や7インチの「Nobody Told Me」などを試しに見たのですが、どれも透けてませんでした＾＾。
USプロモじゃないとダメみたいですね。またもっと探してみます。
by MASA (2010-09-26 01:08) 

ごぶちゃたちているあいだに、むちゅかちいコメントがいっぱいはいってゆってきまちたが、あんちんちまちた。

あ、ほんとですね。KISSの「地獄の軍団」は、見事に茶色く透けました。
これはとっても楽しいですねぇ～
by ベアトラック (2010-09-26 18:54) 

MASAさん、こんばんは
「レコード CD トリヴィア大百科」はありますが、透け透けレコードには気が付かなかったです。手持を、ちょっこし調べて見ました。
「のりピー音頭/酒井法子」、「Ｅ気持/沖田浩之」、「見逃してくれよ/小泉今日子」、「出来るかい？出来るかい？/テンプターズ」、「恨み節/梶芽衣子」、「夜明を求めて/ザ・ハード」、「太陽はもう輝かない/ザ・ウォーカー・ブラザース」
'88年ののりピー、アナログ時代最末期'90年のキョンキョン、プロモ盤で反則ですが、日本ビクターは最後まで透けてました（笑）。
フィリップスのザ・ハード（ピーター・フランプトンがいた）は透けてます。
フィリップスなのにテンプターズ、ザ・ウォーカー・ブラザースは透けていませんでした。
'70年代テイチクの梶さんは透けてます。'80年代テイチクのアイドル石田ひかりも透けていました。
沖田君は盤が非常に薄かったので透けてるかと思ったら、流石CBSソニー、透けていませんでした。
いやぁ～面白いですね。アルバムも調べてみま～す。
by Cold Sun (2010-09-26 19:32) 

ベアトラックさんまでそれですか（笑）。
おー、やっぱりKISS透けてますか。
透けてると思わず「おー！」と声が出てしまいますね＾＾。
by MASA (2010-09-26 23:16) 

Cold Sunさん、どーもです。
おー、やっぱりビクターはアナログの末期までずっと透けていたんですね。
のりピーに梶芽衣子、いいっすねえ（笑）。
CBSソニーはワタシもたくさん確認しましたが、1枚も透けるものはなかったですね。

ウォーカー・ブラザース、そういや4曲入りEPがあったなあと思い、今確認してみたところ、これは透けてましたよ＾＾。
洋楽のシングルは棚が別なので今回ほとんど見ていないのですが、今後さらに調べてみます。
by MASA (2010-09-26 23:30) 

こんにちは～♪
非常に面白い切り口ですが、個人的には何だか妙にドキドキして読みました。
（理由はMASAさんはお判りのはず・・・笑）

で、何、結局透けるのは「悪い」っていう結論ではないんですよね？＾＾;
イヤだわ～、他社とは違うやっす～い染料でも使ってたのかしら？に・日本ビクター
は・・・。（←思わずどもる）

それにしても波乗りパイレーツの盤の中央にクッキリ描かれた社名ロゴ。
現在は完全に斜陽企業となっているわけで、非常に淋しくも複雑な気分です。

by milk_tea (2010-09-26 23:44) 

おー、milkさん、久々の登場〜＾＾。
そっか、そうだもんね（笑）。milkさんのことはすっかり念頭になかった（笑）。

透けるのが悪いなんてとんでもないです。それによる音質だって決して悪いわけではないですし、とにかくビクター系のレコードって透けてるんだあ、珍しい〜！と喜んでおるわけです＾＾。

レコードの材料の塩化ビニールって染料を入れなければ無色透明ですが、その染料がビクターやテイチクなどの場合普通とは違ったものを使っていたんですねえ。
レコードはひたすら真っ黒いものだと思っていたら、これは非常に面白い事実ですよ。

いやあビクターさん、近頃はいろいろと大変ですね。milkさんもご苦労が多いのでしょうか。
過去の栄光を思うとワタシも何とも淋しい限りですわ。
by MASA (2010-09-27 00:15) 

まちゃちゃま、おたんじょうびおめれと～（まだか）

KISSの「地獄の軍団」、さっそくかざしたら透けました！
やっぱり「おぉ～～！！」って言ってしまいますね（笑）
面白い～
by bluebird (2010-09-27 22:17) 

姐さん、まだ3日あるよ。早いよw
「おぉ〜！」って言っちゃうでしょ、思わず＾＾。
そういやあダンナさんはジーン・シモンズに遭遇してるんだもんねー。
羨ましいっす。
by MASA (2010-09-27 23:48) 

ピンクレディーーーщ(ﾟДﾟщ)
また復活したんだよね～
波乗りパイレーツは知らないけど渚のシンドバッドなら知ってる～
みんなでフリ付きで盛り上がるし(笑)
あ、、UFOとかはもちろんねー♪
でも何でこんな風にスケスケレコード作ってたんだろ？
by がぁこ (2010-09-28 01:11) 

がぁこちゃんこそ復活やん（笑）。
ピンク・レディー、「解散やめ！宣言」したもんね。
がぁこちゃんの世代だと、物心ついた頃には解散してるよね（笑）。
またジェネレーション・ギャップ感じるわあ〜。

スケスケ・レコードはナゾです。何でそうなったのかねえ。
by MASA (2010-09-29 00:15) 

MASAさん、どうもです。
80年代の米ワーナー・ブラザーズ盤のVAN HALEN「5150」や同じく米A&M盤のSTINGのファーストなども同じように薄茶色に透けます。
「5150」はQUIEX II というプレス方法でヴァージン・ビニールを使ってのプレスだということでした。おそらく素材の純度が高いので透明感があって透けるようですね。
遅レスで失礼しました(^^)
by Johnny The Fox (2010-10-05 18:24) 

↑上の方の書き込みで・・・思い出しました。
今更ながら（笑）

ジョージの「ゴーン・トロッポ」米盤プロモはQuiex II・・・透けてました。

Quiexといえば・・・ノラの1st。　200gの激厚のくせに白熱灯透けました。


by PETTY (2010-10-05 20:48) 

Johnny The Foxさん、どーもです。
スティングで思い出しましたけど、そういやポリスの「シンクロニシティ」も透けてるので有名でした。ワタシのも透けてます＾＾。

QUIEX Ⅱって透けてるんですね。それは新情報です＾＾。
by MASA (2010-10-05 23:55) 

PETTYさん、いいなあ、「ゴーン・トロッポ」のプロモお持ちですかあ。
そういやあれ、QUIEX Ⅱですもんねえ。
ノラ・ジョーンズのファーストはアナログでは持ってないんですけど、それもですか。
どうやらヴァージン・ヴィニールは透けてるものが多いようですね。
by MASA (2010-10-06 00:00) 

MASAさん、こんにちは
アルバムも、ざっ～と見ましたら、日本フォノグラム系も薄茶色に透けますね。長谷川きよし、つのだ☆ひろ、ストロベリー・パス、PRAYING MANTIS等、ありました。
ポリス関連では、'77年10月にミュンヘンで録音されたドイツ電子音楽家とのセッション・アルバム「創世紀/EBERHARD SCHOENER, STING, ANDY SUMMERS（'86年の再リミックス盤）」も透けてました。レーベルはMERCURY（発売元は日本フォノグラム）です。
数少ない手持のA&M日本盤は、スティングのシングル「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」と、「ジノ・ヴァレリ/The Gist of The Gemini（'76年）」が透けてました。
by Cold Sun (2010-10-06 17:06) 

Cold Sunさん、こんばんは。
そう、フォノグラム系もビクターの配給時代のものは透けてますね。
A&Mもビクターが配給していた時代のものは透けてて、ポリスの「高校教師」とか初期のシングルが透けてました。
いやあ、まだまだありそうですね＾＾。
by MASA (2010-10-06 22:29) 

レコード業界で飯を食っていたNICと言います。
一部皆様誤解されているので訂正させていただきます。
V社プレスのレコードは全て透けます。サンプルの様にスパイダースのシングルの様にスカッと透けるのはむしろ少なくサザンの様に少し濁る感じのほうが多いです。（材料の違いです）またV社プレスでも材料に違いで蛍光灯にかざす程度では透けて見えませんが強力なLEDライトにかざすとスカッと透けて見えるレコードが手元に森山良子の「さよならの夏」等があります。V社系レーベルで他社に委託プレスしたものは基本材料も支給しているのですがそれをきちんと使ってくれない、V社系レーベル以外に勝手に使ってしまう。（いちいち材料が支給材かは調べませんから）等で透けないレコードが出てきてしまう可能性は有ります。手元にRCAレーベルのクラシックで東芝プレス（刻印にToと有るので判る）まったく透けないレコードも有ります。”およげたいやきくん”はC社ですがV社でもかなりプレスしました。久保田早紀はCBSソニーですがV社でもプレスした物があります。当然世の中には２種類以上のレコードが出回っています。７０年代後半テイチクを含むV社系レコードは基本透けます。透け方には数種類有り蛍光灯程度では透けないけど強力なライトを当てるとスカッと透ける物が有ります。蛍光灯程度で調べて透けないと判断しないでください。参考までに。
by NICNICNIC (2011-07-27 12:41) 

↑でもっと重要なことを訂正させていただくことを忘れていました。そう、カラーレコード以外は染料など使っていません。V社プレスのレコードもしっかとカーボンブラックは入っています。じゃなんで透けるの？単純に材料の違いです。透ける事を意図としていません。成形性と音質などを追っかけた結果です。成形性では６０年代後半からCD-4という４チャンネルレコードで４５KHｚまでの信号をきちんと再生させなければならないので硬質で成形性の良い且つ高音質で追っかけて結果透けるレコードに成ってしまったのが本当のところだと思います。因みにCD-4では４５KHｚ以上の信号はフィルターでカットされていますが通常殆んどのアナログレコードでは１６KHｚからだら下がりで２００KHｚ以上の信号が含まれて居ます。１９２KHｚサンプリングで録り込んでも９６Kまでの信号は再生され、一部のレコードには録音に用いた録音機のバイアス信号も記録されています。因みに柳ジョージレイニーウッド”YOKOHAMA”はレコードに針を落とし手回しでゆっくり再生すると”ピー”と信号が聞こえます。録音機のバイアス信号と思われます。
by NICNICNIC (2011-07-27 14:02)