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Scritti Politti のアルバム その1 [Rock / Pops]

今回は私のお気に入りアーティストの一人であるスクリッティ・ポリッティが80年代中期の全盛期に発売した2枚のアルバムを取り上げたいと思います。

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上の写真は12インチ・シングルに付いていたポスターのものですが、スクリッティ・ポリッティの中心人物、グリーン・ガートサイド。ご覧のとおりの美形で女性ファンも多かったですが、歌声がこれまた中性的な特徴あるヴォーカルです。
尊敬するアーティストはアレサ・フランクリンなどのR&Bやソウルということで、打ち込み系デジタル・サウンドでありながら彼らの音楽の下地にはそういったものが見え隠れしています。

そして代表作と言えばやはり'85年に発売した2nd.アルバム「CUPID & PSYCHE 85」(Virgin V-2350)
(ちなみにこのアルバムの初回盤にはエンボス加工されたアルバム・タイトル部分がゴールド、シルバー・ブルー、シルバー・ピンクなどのヴァリエーションがあります。私のはゴールド。)

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このアルバムは80年代を代表する名盤の1枚で今も非常に評価が高いアルバムですが、一部アメリカ録音の曲ではプロデューサーにアリフ・マーディンを迎えて制作されていています。
当時は高価だったフェアライトなどの最新デジタル機材を導入して作られていますが、当時流行っていたエレクトロ・ポップとは次元が全く異なるその隙のない緻密に作り込まれたサウンドの雰囲気がたまにスティーリー・ダンと比べられたりしたほど見事な出来のアルバムです。

アルバムのインナースリーヴのメンバー写真。

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アルバム発売前にすでに輸入盤店や一部の音楽雑誌で当時話題となっていた「Wood Beez」「Absolute」「Hypnotize」と、アルバム発売後にカットされた「The Word Girl」の各12インチ。
先鋭的だったそのサウンドがコアな音楽ファンによっていち早く注目され、売れていた12インチです。もちろんアルバム・ヴァージョンとは異なる12インチ・リミックス。

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この4枚をはじめ、アルバムのどの曲もフェアライトによる打ち込みやサンプリングによって作られたデジタル・サウンド中心ですが、これが非常にキモチいい音で快感です。

PCの打ち込みで曲を作ったことがある人だと分かると思いますが、キーボードなどを実際に人間が弾いて音を入力した際にズレた音を符割りどおりにキレイに揃えるため、あとからクオンタイズという作業をしますが、これはやりすぎると音がキッチリしすぎて冷たい機械っぽい音になってしまいます。

このアルバムは敢えてそこを逆手に取ったとしか思えない音作りで、クオンタイズされた音や打ち込みによってプログラミングされた各楽器の音が理路整然と並び、楽器のアンサンブルや音色、パンニングもとことん計算した寸分の隙もないキモチいいサウンドに仕上がっているところが見事。
楽曲そのものの出来もよく、そこにグリーンの中性的で薄味のホワイト・ソウルなヴォーカルがからみ、独特のファンキーな雰囲気を放っているのがこのアルバムの特徴です。





そして'88年に発売になったのが3rd.アルバム「PROVISION」(Virgin CDV-2515)

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このアルバムも前作の「CUPID & PSYCHE 85」の延長線上にある緻密に作り込んだデジタルなサウンドで、最初に世に出た時のインパクトが強かったことからどうしても前作の方に注目が集まりますが、こちらも出来は勝るとも劣らない内容。個人的には前作並みにもっと評価されてしかるべきだと思うし、こちらの方が好みというファンも少なくないようです。

このアルバムからはUKではバラードの「Oh Patti」が、USでは「Boom! There She Was」がカットされました。
下の写真はUKで発売された「Oh Patti」の限定7インチBOXと、US Warner盤「Boom! There She Was」の12インチ。

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「Oh Patti」の限定7インチBOXには7インチの他にポスター、3枚のポストカード、18枚綴りの切手シートみたいなものが入っています。

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そしてこのアルバムで特筆すべきなのは「Oh Patti」マイルス・デイヴィスが参加していること。後半の間奏やエンディング近くでマイルスのミュート・トランペットのソロが聴けます。

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いつの時代も新しいものを追求し好奇心旺盛だったマイルス・デイヴィスですが、80年代はプリンス、キャメオ、チャカ・カーン、TOTOなどのアルバムに参加し、自分のアルバムではシンディ・ローパー「Time After Time」などを取り上げたりしていますが、'86年のアルバム「TUTU」では、お気に入りだったというスクリッティ・ポリッティ「Perfect Way」「CUPID & PSYCHE 85」収録曲)を取り上げていました。
この「Oh Patti」への参加はマイルスが彼らのファンだったが故に実現した共演だと思われます。

残念ながら画像が貼れないので、「Oh Patti」のPVはコチラをCLICKしてご覧下さい。

他にも「Boom! There She Was」にはZAPPロジャー・トラウトマンがお得意のヴォコーダーを使ったヴォーカルで参加しています。
この曲は前作から引き継ぐファンキーなデジタル・ビートを基調とした曲。



次回はRough Tradeからリリースした'82年のファーストや'06年の最新アルバム「WHITE BREAD BLACK BEER」など、今回紹介した2枚以外のアルバムを取り上げたいと思います。




Cupid & Psyche 85

Cupid & Psyche 85

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin
  • 発売日: 1999/03/20
  • メディア: CD

Provision

Provision

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin
  • 発売日: 1999/03/26
  • メディア: CD



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ayumu

懐かしいですね!
song to rememberの素人ぽさが可愛いかったのに、マイルスと競演したときは、まさか、とすごく興奮したことを覚えています。
by ayumu (2010-02-01 01:02) 

pinkisland

 このアルバムはたまに聴きたくなりますね。

家に英盤レコードが2枚ありまして、ジャケタイトルの85のところが、金と青のものです。ピンクを探しているのですが、なかなかありません。あっても買わないと思いますが、すみません。

CDとレコードでビミョーに曲順が違っていて、CDには12インチヴァージョンが3曲入ってましたね。ヒプトタイズのポスター付き12インチが、棚のどこかにあるはずなのですが・・

パーフェクトウェイはその名の通り、パーフェクトな楽曲だと思います。
by pinkisland (2010-02-01 07:06) 

MASA

ayumuさんもスクポリお好きでしたかー。
「SONGS TO REMEMBER」は次回取り上げますが、なんか不思議なアルバムですよね。
私もまさかのマイルスとの競演は当時驚きました^^。
by MASA (2010-02-01 23:51) 

MASA

pinkさんも以前に「CUPID & PSYCHE 85」を取り上げてましたよね。
あ、色が違うのは「85」の部分だけでしたっけ。
その辺は発売当時に見ただけなので、記憶が薄らいでいます(笑)。
でもいいなあ、私も色違いが欲しいっす^^;

CDは持ってないんですが、ボーナス・トラックが入っているのはいいですね。
一番上の写真は「Hypnotize」の12インチに入っていたポスターの写真です。
このほかに「The Word Girl」のB面曲が違う12インチも持ってますが、このブログに載せたものは限定プレスの方です^^。
by MASA (2010-02-02 00:02) 

のぶそうる

お邪魔します。
はじめまして、のぶそうると申しますm(__)m

本日、スクリッティ・ポリッティをアップしまして
やって参りました。
久しぶりに聴いてみたんですが、
めちゃくちゃイイですよねー!
「キューピッド~」がやはり代表作になると思いますが、
「プロヴィジョン」も外せないですねぇ。
私は、こちらの方が好きなんですが・・・。
今の時代に聴いても、意外に違和感がないですよね。
やっぱり今は、'80's.バック元年なんでしょうか?

またお邪魔します。
宜しくお願いしま~すm(__)m
by のぶそうる (2010-05-08 22:45) 

MASA

のぶそうるさん、はじめまして。
ご訪問ありがとうございます。
スクポリのアルバムは時代を超越した良さがありますね。
大きな声では言えませんが(なんでやねん・笑)聴いた回数で言えばワタシも「PROVISION」の方が多いですね^^。
久しぶりに新作を出して欲しいもんです。

雑多でとっ散らかった内容のブログですが、よろしければまたご訪問下さい^^。
by MASA (2010-05-09 00:14) 

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