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The Beatles 日本盤EP [The Beatles]

ビートルズのシングル盤とEPをご紹介して来たこのシリーズもいよいよ最後となりました。
今回は国内盤のEPを取り上げたいと思います。

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国内盤EPは日本で独自にリリースされたものが12枚、UKオリジナルEPの国内盤が「MMT」を入れて13枚の合計25枚ものEPが発売されていました。
私はこのうちダブリを入れて9枚しか持っていません。'70年代に中古で安く買ったものが大半ですが新品で買ったものもあります。

シングル盤と同じく国内盤の初版はOdeonレーベルで定価が¥500、のちにAppleに切り替わって再プレスされたものが¥600、社名が東芝EMIに変更後は定価が¥700に変わっています。

UK盤のEPがすべてモノラルでシングルと同じ45回転なのに対し、国内盤はステレオで33回転というところが最大の違い。
日本ではEPは当時アルバムが高くて買えないユーザーのために発売していた部分が大きく、33回転なのはシングルとの差別化やミニLPという捉え方があったからだと思われます。

このうち赤盤は2枚しかありませんが、その1枚がこのEP。

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当時使われていたEP用のOdeonレーベル。

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このEPには「シー・ラヴズ・ユー」のドイツ語ヴァージョンが収録されているのが特徴ですが、もちろん疑似ステレオです。

続いてはこのEP。
これはレーベルがAppleに切り替わってからのものです。

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B面のレーベル写真。

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実はこのEPにはあまり語られることがない興味深い事実が。なんと「アイム・ダウン」がリアル・ステレオで収録されていることです。
'65年のEPですが、この当時この曲をリアル・ステレオで聴けたのは恐らく世界中でも日本のこのEPだけだったと思われます。私の知る限りでは、UK本国はもとよりUSやヨーロッパなどでも当時この曲がステレオで聴けたレコードはないようです。

オーストラリアのみのリリースだった「This Boy」のステレオ・ヴァージョンやドイツのみの「All My Loving」のカウント入りヴァージョンなど、ビートルズの曲には特定の国でしかリリースされていない珍しいヴァージョンが存在していましたが、まさか日本にもこんなレアな音源があったとはつゆ知らず、初めて聴いたときはビックリしました。

ちなみにこのステレオ・ヴァージョンは'76年発売の編集盤「ROCK AND ROLL MUSIC」に収録されるまで世界的なリリースはなく、現在は「PAST MASTERS VOL.1」でしか聴けません。

6/21 追記;
一部のビートルズのディスコグラフィに関する書籍の記事ではこの「アイム・ダウン」は疑似ステレオである旨のことが書かれているものがありますが、これは間違いなくリアル・ステレオ・ミックスで、上記で上げた2枚のアルバム収録のステレオ・ヴァージョンと同一のものです。

「ビートルズ・レコーディング・セッション」によると、このステレオ・ミックスは'65年6月18日に「Yesterday」「Help!」などといっしょに作られています。
ただ、なぜこのステレオ・ミックスのマスター・テープが日本だけに入って来たのかはナゾが残ります。

次は2枚組の「MAGICAL MYSTERY TOUR」

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このEPは'67年当時に定価¥1,000で発売されたものですが、翌年にUSヴァージョンのアルバムが出たため発売期間が短く、1年あまりで廃盤になったようです。

UK盤との一番の違いは歌詞カードが白く、ブックレットの日本語訳が付いている点。
詳しくは再びコチラを参照して下さい。

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この国内盤は現在そこそこのプレミア価格で取引されていますが、私が入手したのはまだプレミアが付く以前の'70年代中頃でタッタの¥800でした^^;
ちなみにこのEPの赤盤は激レアで、たまにヤフオクなどに出品されると10万〜20万ほどの値段が付きます!

次はこのEPです。

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OdeonレーベルとAppleレーベルの同じもの2枚ですが、このEPが日本編集盤としては最後に発売されたEPです。
Appleレーベルの方は'75~'76年頃に新品で買ったもので、社名が東芝EMIに変更後の定価¥700のもの。

上のEPのリアル・ステレオ版「アイム・ダウン」の例があったため、このEPに収録されている「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」「ペニー・レーン」の2曲ももしかしたらリアル・ステレオかも?!と思い購入してみたのですが、残念ながらもちろん2曲とも疑似ステレオでした^^;

ただし同じ疑似ステレオでもUSや国内盤の「MMT」のものとは処理が違います。
右チャンネルが高音域、左チャンネルが低音域を強調させて作られているUSと国内盤「MMT」収録のものに対し、このEPはCapitolDUOPHONICのような、左右のチャンネルの音をわずかにずらすことでステレオ感を得るというしくみの疑似ステレオになっています。今となってはこれはこれでレアかも?

あとから中古で入手したOdeon盤は赤盤です。

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次はUKオリジナルEPの国内盤で、「LONG TALL SALLY」の国内盤。

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このUKオリジナルEPシリーズは'70年6月に「MMT」を除く12枚が一挙に発売されました。'70年発売なのでレーベルはすべてAppleが使われていて、当然Odeon盤は存在しません。
12枚全部のEPに上の写真のようなオビが付けられて発売されていました。

UKオリジナル盤はモノ・ヴァージョンですが、国内盤はすべてステレオで、他からアルバム収録曲のステレオ・ヴァージョンを持って来て収録しています。
このEPに収録の4曲のうち「Long Tall Sally」「I Call Your Name」はUS盤「THE BEATLES' SECOND ALBUM」収録の、あのちょっとエコーがかかっているようなヴァージョンが、「Slow Down」「Matchbox」「SOMETHING NEW」収録ヴァージョンが使われています。

最後は国内盤ではありませんが、'83年に出たUS盤のインタビュー・レコードのピクチャー盤EPです。

オモテ・ジャケ。

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ウラ・ジャケ。

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日本でもテイチクから発売された'64年と'66年のアメリカでのインタビューを収めたアルバム「TIMELESS II」というものがありますが、このEPはその続編的内容の「TIMELESS II 1/2」というEPでハーフ・オフィシャル的なもの。
'64年、'65年のUS、イタリア、ドイツでのインタビューや'67年のジョンとポールへのインタビューが収録されています。
まあ内容はインタビューのみなので大して面白いものでもなく、昔行きつけの輸入盤屋さんで安く売っていたので買ったまでです。

以上。次回以降は4人のソロ・シングルなどを取り上げてみたいと思います。


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MCMLXV_65

今回ご紹介された日本盤EPの何枚かは洋楽にハマり始めた頃にレコード屋さんで見た記憶があります。しかし、当時は価値について何も知りませんでしたね。シングルもたくさんあって、LPも国旗が帯にあしらわれた盤が数十枚もあり、どれを買ったらよいのか? とても迷いました…。ミックス違いなどの面白さに気がつくと、つくづく大変な連中ですネ。^^;
by MCMLXV_65 (2009-06-11 11:38) 

MASA

私も昔アルバムを集めようと思った時、何をどういう風に買おうかいろいろ悩みましたね。
そのうちにステレオとモノラルの違いやヴァージョン違いの曲があることに気が付き、UKオリジナル盤が欲しくなり、とだんだんとドロ沼にハマって行きました(笑)。

9月に出るリマスター盤でまたあちこちで音質や紙ジャケが話題になることでしょうし、ビートルズは未だに話題に事欠きませんね。
by MASA (2009-06-11 18:15) 

路傍の石

> なんと「アイム・ダウン」がリアル・ステレオで収録されていることです。

以前『ビートルズ日本語盤ディスコグラフィー』(86年ごろに発刊されて今は絶版)を見ていてそんな記述があってリアル・ステレオであるかかのような表記で本当だろうか?と不思議に思っていました。でも、他のところで調べたら擬似ステレオとのことだったし。

多分、世界的に「アイム・ダウン」がリアル・ステレオでリリースされたのは『ROCK'N'ROLL MUSIC』が最初ですよね。あれと同じミックスなんでしょうか?それとも独自のレアなミックス?詳しく知りたいです。

by 路傍の石 (2009-06-11 23:29) 

MASA

路傍さん、再びどーもです^^。
いや、これがホントにリアル・ステレオなんです。
疑似ステレオというのは全くの間違いですよ。
ミックスは「ROCK 'N ROLL MUSIC」や「PAST MASTERS VO.1」のものと全く同じです。

全く期待しないで買ったものにこんなのが入ってたもんですから、私も最初は驚きました。
しかし、どういういきさつで日本だけにこんなステレオ・マスターが入って来たんでしょうか?
ナゾですね。


by MASA (2009-06-11 23:45) 

路傍の石

MASAさん、ありがとうございます。「アイム・ダウン」が入ったこのEPが俄然ほしくなりました。近所で探してみることにします。

by 路傍の石 (2009-06-12 00:43) 

MASA

お役に立てて幸いです。
Apple盤ではなく、是非オリジナルのOdeon盤、出来れば赤盤で入手して下さい^^。
by MASA (2009-06-12 00:57) 

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