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XTC「SKYLARKING」 [XTC]

XTCの今回取り上げるアルバムは、'86年の傑作アルバム「SKYLARKING」をご紹介。
このアルバムもかなり人気も評価も高いアルバムで、これでXTCを知り、遡って過去のアルバムも聴いてファンになったという人も多いようだ。

写真はUK Virgin オリジナル。初期プレスはジャケの白い雲のような部分がエンボスになっており、真ん中のイラストの部分のみコーティングされている。
skylarking.jpg

この頃のXTCというと、'82年のアルバム「ENGLISH SETTLEMENT」の後、リーダーのアンディ・パートリッジがステージ恐怖症に陥ってライヴを以後行なわなくなり、パワフルなプレイを披露していたドラマーのテリー・チェンバースも'83年のアルバム「MUMMER」のレコーディング途中に脱退、XTCは3人編成のバンドとなってしまい、人気もちょっと盛り下がっていた時期だ。

そして'86年、XTCは新たなアルバムに向けてのレコーディングに入るが、その際Virginレーベル側から英国内のみならずもっとアメリカ市場を視野に入れた展開を要求される。そこで新作のプロデューサーとして担ぎ出されて来たのがコリン・モールディングが大好きだったという奇才トッド・ラングレンである。

来月久々の新作が出るトッド・ラングレン
vicp63452_170.jpg

ところがコリンはともかく、このトッドアンディはレコーディング中にことごとく衝突する。トッドアンディの意見も聞かないうちに勝手にレコーディングが終わったテープのミックス・ダウンまでやってしまい、これがお互いの関係悪化の決定的なものになったという。
まあこれは同じような音楽センスを持つ個性の強い二人がお互いに妥協を許さなかったための当然の結果だ。

そういう険悪な中でこの「SLYLARKING」はレコーディングされたが、ビートルズ「ABBEY ROAD」「LET IT BE」などのような例もあるとおり、こう言った好ましくない環境の中で意外に名盤が生まれたりする。

そうして出来上がったこの「SKYLARKING」もそんなイザコザがあったことがウソのような奇跡的な素晴らしい仕上がりとなり、結果XTCの最高傑作に推す人も多いくらいの名盤の誕生となった。
内容はサイケでポップ。中期のビートルズっぽい印象も強い。XTCのこれまでのアルバムに比べると最も統一感がありコンセプチュアルな作りにもなっていて、キャッチーで端正な印象を受ける内容となっている。
これは結局トッドのプロデューサーとしての技術の賜物だろう。

このアルバムでは5曲収録されているコリンの楽曲の出来がよく、シングル・カット第1弾となった、草原とハッパ(マリファナ)のダブルミーニングらしき内容のサイケでフォーキーな「Grass」をはじめ、「The Meeting Place」、「Big Day」など、なかなかにクオリティの高い曲を提供している。

"Grass" PV


片やアンディが書いた曲もこの人ならではのかなり凝った展開や不思議な魅力に満ちた曲が多く、珍しくジャジーな曲まである。その中でも、アルバム未収録曲でシングル「Grass」のB面曲だったにもかかわらず「Dear God」がなぜかアメリカのカレッジ・チャートで上位にランキングされスマッシュ・ヒット。

その後Geffenレーベルから発売されていたアメリカ盤の「SKYLARKING」のセカンド・プレス以降には1曲差し替えでこの曲が収録され、あとからイギリスでもこちらをA面にしてB面には新たな収録曲を入れたシングルが発売された(現在CDには「Dear God」はボートラとして収録されている)。
個人的にはこの曲といっしょにもう1曲「Grass」のB面に収録されていた「Extrovert」の方が好みなんだけどなー^^;

「Grass」「Dear God」、ついでに「The Meeting Place」の12インチとCD EP。
12.jpg

"Dear God" PV


このアルバムで私が個人的にベストだと思う曲はB面1曲目に収録されているアンディの書いたサイケ・ロックな匂いが漂う「Earn Enough For Us」
コリンのベースもポール・マッカートニーみたいで見事!



全体的にずいぶんと耳障りがよくなり落ち着いた感じになった反面、以前のような毒気が薄まった分だけ若干のもの足りなさを感じないではないが、「Dear God」のスマッシュ・ヒットも生まれ、レーベル側のアメリカ市場狙いという思惑的にはトッドの起用が吉と出たかたちとなったアルバムだ。

トッドアンディとの間でバチバチと火花が散った末に、結局は完成度の高い素晴らしい出来となったこのアルバム、まぎれもなく80年代英国ロックの名盤の1枚です。



Skylarking

Skylarking

  • アーティスト: XTC
  • 出版社/メーカー: Virgin
  • 発売日: 2002/05/14
  • メディア: CD



タグ:xtc
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コメント 6

garko*

手になんか刺さったジャケがぁぁぁぁ~(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
怖すぎます(笑)
ピリピリしたムードの中で作ったものが名作になるなんて面白いけど
何となくわかるような~~
だらだら~~っとした中よかそういう雰囲気の方が刺激しあっていいのかもねw
by garko* (2008-08-25 10:23) 

MASA

手に刺さってるのは万年筆です。痛そー!
もちろんホントじゃないけどね^^。

garko*ちゃんスルドイ!
そのとおり。ダラダラやってるよりこういう緊張感の中でやった方がいいことってあるよね。
by MASA (2008-08-25 14:56) 

ayumusic

drums and wiresと black seaしか聴いたことがなかったので、これも良さげですね。アンディーパートリッジは、この頃鬼気迫る創造性を発揮していましたね。
by ayumusic (2008-08-25 23:10) 

MASA

このアルバムはかなりビートルズっぽいので、ayumusicさんにもオススメです。
確かにアンディはこの頃かなり異彩を放っていた存在でしたよね。

「DRUMS AND WIRES」もいずれ取り上げるので、お楽しみに~^^。

by MASA (2008-08-26 01:33) 

pinkisland

家にある英盤skylarkingのマトは、両面3U-1-1です。どうでしょうか。

12インチもたくさんお持ちですね。この前、レンガ手煙突の12インチを買いました。
by pinkisland (2008-08-26 06:24) 

MASA

pinkさん、調べたところ私のも同じく両面3U-1-1でした。

あ、煙突ジャケの「Meeting Place」の12インチ、持ってますが写真に乗せるの忘れてました^^;。
あとから写真載せときます。
持ってませんけど、これの7インチは透明ヴィニールでしたよね。欲しい〜。


by MASA (2008-08-26 15:05) 

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