SSブログ

レココレ7月号 80年代ロックアルバム・ベスト100 [Rock / Pops]

ただいま群馬県高崎市におります。
こちらに来るまでなかなか書店にいく機会がなく、ようやく昨日レコード・コレクターズ7月号を入手した。
5月号の60年代、6月号の70年代に続き、7月号はシリーズ最後となる80年代ロック・アルバム・ベスト100だ。

レコード・コレクターズ 2007年 07月号 [雑誌]

レコード・コレクターズ 2007年 07月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ミュージックマガジン
  • 発売日: 2007/06/15
  • メディア: 雑誌

REMAIN IN LIGHT / TALKING HEADS
SIGN "O" THE TIMES / PRINCE
SO / PETER GABRIEL
ENGLISH SETTLEMENT / XTC

この中のどれかが1位だろうと予想し、中でも最有力はやっぱりトーキング・ヘッズ「REMAIN IN LIGHT」じゃないかな、と密かに思っていたのだが、この予想が見事に当ってしまった〜^^。

Remain in Light

Remain in Light

  • アーティスト: Talking Heads
  • 出版社/メーカー: Rhino / Wea
  • 発売日: 2006/01/10
  • メディア: CD

表面がリマスターCD、裏面には5.1chサラウンド・ミックスとPVが収録されているデュアル・ディスク仕様盤。

これまでの流れで行けば、時代を切り開いたエポック・メイキングなアルバムが多く選ばれていたり、「このアルバムを今一度ちゃんと捉え直そうよ」と言わんばかりに敢えて意外なところを選んで持ってくるといった傾向を考えると、このアルバムの1位というのは十分予想出来た結果だと言える。
また、パンク/ニュー・ウェーヴ以降それまでの固定概念が取り払われ何でもありの百花繚乱の時代となった80年代の音楽の流れの中にリアル・タイムで身を置き、その中でこのアルバムの持つ重要性をある程度でも分かっている人なら納得出来る1位であるとも思う。

このアルバム、個人的には「PET SOUNDS」のように、最初はどこがスゴいのかよく分からず、理解するまでやや時間がかかったアルバムだったが、アフリカンなエスニックのリズムを黒人音楽であるファンクと融合させ、それによって生まれた先祖帰り的とも言うべき独特のグルーヴをロックに取り入れるというアプローチはそれまで誰も考えつかない画期的で斬新でユニークな方法論だった。

このアルバムを巡って、マニアックな2大音楽雑誌の間で論争というか、ケンカというか、ちょっとした事件が起こったことがあったのを思い出すなあ。
当時ミュージック・マガジン常連の音楽評論家で、トーキング・ヘッズにはデビュー当時からいち早く注目し高く評価していた音楽評論家・今野雄二氏に、当時ロッキン・オン編集長だった渋谷陽一氏が噛み付き、「このアルバムの制作過程において白人ミュージシャンだけの手でやらず、黒人ミュージシャンを起用したのは卑怯で短絡的なやり方だ」との趣旨の「トーキング・ヘッズはゴミじゃ!論」というものを自らの雑誌で展開して一悶着が起こったのである。

ことの発端は今野がMMのクロス・レビューに載せた、ロバート・フリップが当時組んだユニット、リーグ・オブ・ジェントルメンのアルバム批評。
今野はこれをクソミソにけなし、0点だか1点だかという低い点数を付け「ライナーの文章もこのアルバムの内容に『ふさわしい』ものである」とやった。このライナーを書いたのが渋谷だったのである。
そのライナーには「REMAIN IN LIGHT」における方法論とこのアルバムの方法論とを照らし合わせて見るとこちらの方が正しい、といった旨の内容が書かれてあったらしく、お気に入りのアーティストを批判された今野はこれに我慢がならなかったようだ。

今野としては特に渋谷に喧嘩を売ったつもりではなかったようなのだが、今野のクロス・レビューにキレた渋谷がブチ上げたのが先の「トーキング・ヘッズはゴミじゃ!論」で、このあとも「業界に巣食う可哀想な人」などど強烈に今野を批判した。これに対して今野は特に反論せずひたすら沈黙を守ったが、この事件をきっかけに今野vs渋谷、ひいてはMMとROの確執はしだいに根深いものになっていき、数年後にはとある日本のアーティストを巡って渋谷と当時まだMM編集長だった中村とうよう氏との間にまで痴話喧嘩は発展した。そう、所詮は同じ業界内で起こった痴話喧嘩にすぎないものであった。

まあ今思えば双方とも大人げないのが原因である。渋谷なんかまだ30代になるかならないかの血気盛んで反体制的なロック青年だった頃なので、この事件に関わらず不満や納得出来ない出来事にはことごく噛み付き、大人の分別や常識を持って誌面作りをしていたMMにはまるで学生運動時代の体制側を見る思いがあって最初から好きではなかったようだ。

今野の陰湿なアルバム批評もどうかと思うが、もちろん渋谷が指摘した点はまったく感情的で難癖に等しいもので、ひとつのやり方として黒人ミュージシャンの導入など十分許容されるものであったことはその後のこのアルバムの高い評価が示すとおりである。

PVはこのアルバムから「Once In A Lifetime」
リーダーのデヴィッド・バーンがイッチャってます(笑)。

なんか話が大きく脱線しちゃったが、もとい(笑)。
このランキング、PRINCEXTCもベスト10に入っていないのが個人的にはとっても残念。1枚くらい入ってても悪くはないと思うんだけど。

イングリッシュ・セトゥルメント(紙ジャケット仕様)

イングリッシュ・セトゥルメント(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: XTC
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2005/09/30
  • メディア: CD

XTCはこのアルバムと「BLACK SEA」の2枚はロック・ファンなら絶対に聴いて欲しい!
特にビートルズ・ファンには超オススメ。

でもPVは「BLACK SEA」「Respectable Street」をどーぞ^^。

3位のSCRITTI PORITTI、当時からMM周辺では大変評価が高かった。エレクトロ・ソウル、とでも言うべきシンセや打ち込みを多用したテクノっぽい音作りながら、名匠アリフ・マーディンのプロデュースによってSTEELY DANのようなアーバンな雰囲気を醸し出している名盤。
'89年の3rd「PROVISION」も個人的にはずいぶん愛聴したなあ。

Cupid & Psyche 85

Cupid & Psyche 85

  • アーティスト: Scritti Politti
  • 出版社/メーカー: Warner Bros.
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

このアルバムから「Wood Beez (Pray Like Aretha Franklin)」
ヴォーカルのグリーン・ガートサイドは男です(笑)。

KEITH RICHERDSのソロが21位と上位に入っているのはちょっと意外だが、でもこれはホントにいいアルバムだ。ある意味80年代のストーンズのほとんどのアルバムと比べて、それよりもストーンズっぽい出来(笑)。
ちなみにUKオリジナル・アナログ盤の他、黒いドクロ缶入り3インチCD3枚組の限定盤を持ってます^^。写真でお見せ出来ないのが残念。

トーク・イズ・チープ

トーク・イズ・チープ

  • アーティスト: キース・リチャーズ
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 1999/06/30
  • メディア: CD

25位にランキングされているAZTEC CAMERAのデビュー・アルバムもよく聴いた。ネオアコを語る際に欠かせない名盤だ。ボーカル&コンポーザーのロディ・フレイムはこの当時弱冠19歳。その無垢で瑞々しい感性から紡ぎ出される音楽はとっても美しい。

ハイ・ランド、ハード・レイン

ハイ・ランド、ハード・レイン

  • アーティスト: アズテック・カメラ
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2007/04/25
  • メディア: CD

曲は「Oblivious」

予想通り、ジャーニー、スティクス、フォリナーなどの産業ロックやハード・ロック/ヘヴィ・メタ、MTV時代の落とし子的なポップなヒットものは一部の重要作を除いてことごこく黙殺されている。
ホントは大衆に支持されたヒットというものは端的に時代を反映したものという意味では決してバカにしちゃいけないものなのだが、そこはこの雑誌のカラーということでまあ納得である。

漏れているものも今回はけっこう目につく。
SIOUXSIE & THE BANSHEESは?PRETENDERSのファーストは?B-52'sはどうした?POP GROUPが入っててRIP, RIG & THE PANICのファーストが入っていないのもおかしいなあ。23位にBEN WATTが入ってるのに、EVERYTHING BUT THE GIRLだって1枚くらい入れて欲しい。

A Kiss in the Dreamhouse

A Kiss in the Dreamhouse

  • アーティスト: Siouxsie and the Banshees
  • 出版社/メーカー: Polydor
  • 発売日: 1992/08/25
  • メディア: CD

個人的にはこれが最高傑作だと思う
SIOUXSIE AND THE BANSHEESの5作目「A KISS IN THE DREAMHOUSE」
これが入らないのは残念。
ちなみにSIOUXSIEと書いて「スージー」と読む。

BEASTIE BOYSPUBLIC ENEMYが入っているのにRUN D.M.C.が選ばれなかったのにも合点がいかないな。
HUMAN LEAGUE、ULTRA VOX、GARRY NEWMANなど第2次ブリティッシュ・インヴェージョン組の中でもエレ・ポップがまったく黙殺なのは純粋なロックじゃないからなのか?
う〜ん、ちょっと不満(笑)。

まあ80年代の音楽は随分多様化したので、選び出すのも大変だ。
今回ランキングされた中で私が持っているものは51枚。80年代は随分レコードに資金を投入して買い漁った印象があるのだが、あれえ、こんなもんかー。
ま、ここにランキングされたもの以外にも80年代の名盤はいっぱいあるからね(笑)。


nice!(3)  コメント(12)  トラックバック(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 3

コメント 12

deacon_blue

☆ バンシーズはジョン・マクガフ在籍時のアルバムですか?XTCについてはことごとく同意します。『スカイラーキング』,『オレンジズ&レモンズ』を認めた上で,この二枚です。特に『Black Sea』の重低音ポップはそのうちレビューします(^o^)。TBはお決まりのヤツですが,ご不興なら削除願います(自爆)。

☆ 路傍さんとこにも書きましたが,対バン張るなら1位は誰が何と言おうとデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの『Don't Stand Me Down』です。従ってこの雑誌を手に取ることも多分ないでしょう(再爆)。ではでは(^o^)/~~~。
by deacon_blue (2007-06-17 23:23) 

MASA

deacon_blueさん、さっそくどうもです^^。
おーっと、大事な名盤を忘れてました!「DON'T STAND ME DOWN」。
私もあのアルバム大好きなんですよ、deaconさん。邦題は「女の泪はワザモンだ!」でしたよね^^。
う〜ん、これもランク外なのは残念至極ですよねー。
by MASA (2007-06-17 23:30) 

路傍の石

> POP GROUPが入っててRIP, RIG & THE PANICのファーストが入っていないのもおかしいなあ。

RIP, RIG & THE PANICも衝撃的だったなぁ。ちょっとついていけなかったけど。でも拙の貸したカセットにたまたま入っていたRR+Pに反応した友人がいて、彼は洋楽には疎かったはずなのに「こりゃ面白い!」と1st『GOD』を速効買ってました。

そうそう。HUMAN LEAGUE、ULTRA VOX・・・エレ・ポップは一世を風靡したんだけど入らなかったですねぇ。ビジュアルとファッションに走ったのはアウトとか(笑)。

アズテック・カメラは当時から高評価でした。拙の周囲で感度の高い人間はこのバンドの名を必ず挙げてました。拙が改めてキチンと聴き直したいバンドに入りますね。
by 路傍の石 (2007-06-18 12:23) 

MASA

路傍さん、こんばんは〜。
「GOD」はかなり衝撃的でしたね。私も最初はスンナリとは受け入れられませんでしたが、あとからやみつきになりました。45回転盤の2枚組で音質も良かったしなあ。

アズテック・カメラはこのファーストはかなりの出来なんですが、後が続かないんですよねえ。セカンドを聴いてガッカリしてから、サードからは買ってません^^。
でもこのファーストはオススメですよ。甘酸っぱい青春の味がします(笑)。
by MASA (2007-06-18 22:05) 

tempo

アズテックのファーストはよく聴きました。モノクロームセットは入ってないんですね。。。
by tempo (2007-06-18 22:47) 

DEBDYLAN

こんばんは。

流石、MASAさん。
見事にランキング当てましたね。
殆どアメリカン一筋な僕には思いっきり予想外というか、リアル・タイムで聴いてた時代のくせに知らない作品が多くて・・・
これって、ヤバイ???

↑の子供の喧嘩(笑)の件は、僕も当時友人から聞いた覚えがあります。
ちなみに僕の友人達は圧倒的に渋谷派が多かったです。 僕も。

本気で拙文なんですが、トラバさせて頂こうかと・・・
宜しくお願いします。
by DEBDYLAN (2007-06-18 23:03) 

MASA

tempoさん、こんばんはー。
そうですね、モノクローム・セットは入ってませんねえ。
そういやキリング・ジョークとかギャング・オヴ・フォーとかノイバウテンとかも入ってませんね。もっとも私はその辺あんまり聴いてないんですけど^^。
by MASA (2007-06-18 23:36) 

MASA

DEBDYLANさん、こんばんはー。
ボスが入ってなくて残念ですね。私も「THE RIVER」は好きなんですが。
渋谷陽一はこの頃何にでもすぐ熱くなってましたね。今や経済誌にもたまに載るほどの実業家扱いですけど(笑)、若気の至りでしょうか^^。
by MASA (2007-06-18 23:41) 

parlophone

MASAさん、どもどもです。
80年代、ぼくは立ち読みですませました。

持ってるアルバムは…

1枚のみ^^

SRVでした。

ドナルド・フェイゲンやマドンナも以前は持ってたような気がするんですが、
いまはありません。
ストーンズもプリンスも聴いたことないなあ(笑。
JAZZとClassicに明け暮れた80年代ってとこでしょうか?
by parlophone (2007-06-19 00:16) 

MASA

遼さん、どーもです。
まあ、我々の世代だと熱心に80年代の音楽を聴いてた人は少ないですよね。みんな大人になり仕事でそれなりのポストにも付き、ロックどころか音楽を聴く機会がめっきり少なくなり、せいぜい聴くのは飲み屋で耳にする演歌くらい(笑)。
かつてのロック少年が「演歌は日本人の心だよなあ」なんて言い出したりする(笑)。私の友人にそういうのがいます(笑)。

でも私の場合はやっぱり根がガキだったということと、新しもの好きの性格のためにパンクの洗礼を受けて以降、多様化して新鮮な驚きが多かった80年代のロックにもかなりハマりました。

でもプリンスとXTCだけは聴いて下さいよ〜(笑)。
by MASA (2007-06-19 00:41) 

pink island

MASAさん、こんにちは。

MASAさんご指摘のTALKING HEADSが1位でしたね。70年代編を見て、こりゃ相当王道でないのが来るなと思っていましたが、その通りになりましたね。まあ、これはこれでいいのかなと思いましたけど、他にも集計方法があったのではないかと、そう思いましたです。

80年代編にはトリヴィアがありませんでしたね。
by pink island (2007-06-20 21:01) 

MASA

pink islandさん、こんばんは〜。
当ってしまいました(笑)。これじゃなきゃプリンスの「SIGN "O" THE TIMES」が妥当なところだろうと思っていたのですが、そっちはベスト10にも入らず13位というのは不満ですねえ。少なくとも5位以内には入ってしかるべきアルバムだと思うのですが。

確かに集計方法にちょっと問題はありますよね。ある意味80年代を切り開いたと言っていいプリンスが上位に来ないんだから(しつこい?)

pinkさんのブログの90年代アルバムもいろいろお聴きでスゴイなあと思ってましたが、まだ時代が新しいので名盤の評価や基準が定まらないからなのか、レココレではやらないのが残念です。
もっとも私は90年代は後半あたりからめっきり買う数が減ったんですけどね^^。
by MASA (2007-06-20 22:00) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

「MEMORY ALMOST FULL ..Joni MitchellとBilly .. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。