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Happy Birthday, Brian ! ー 明暗分かれたブライアンとポールの軌跡 [Beach Boys]

というわけで18日のポールの誕生日に続き、そのわずか2日後の本日20日はビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの誕生日。ブライアンは1942年生まれでポールと同い年です。大西洋を隔てたリヴァプールとカリフォルニアで、2日違いでそれぞれの地に天才が誕生したのでした。
しかし、そんな何やら因縁めいた関係の二人の天才のこれまでに至る軌跡はあまりにも対照的なものでした。

デビュー後すぐにビートルズのメンバーとしての人気や名声を得て、ジョンと並んでビートルズのクリエーターとして成功を掴んだポールに対し、片やビートルズに唯一対抗出来たアメリカのバンドで、ビートルズとはお互いを刺激し合うよきライバル関係でもあったビーチ・ボーイズのリーダー、ブライアンの辿った道のりはまさに茨の人生。

今年発表40周年を迎える'66年のアルバム「PET SOUNDS」を発表した頃は創造性がピークを迎え、ますます感性に磨きがかかって音楽的には成熟の域に入っていたブライアンでしたが、そんな中発表した今でこそ名盤と称されるこのアルバムはビートルズのそれとは全く異なる形であまりに革新的だったため周囲からはそれが理解されず不当に低い評価を受けました。そして同様に心血を注いで制作したにも関わらず幻に終わった次のアルバム「SMILE」の破綻をきっかけにすっかり自信を喪失、そしてブライアンは持病のパラノイア悪化を引き金にドラッグと酒に溺れ、その後ほとんど人前に立つこともなく長い隠匿状態に入るという、ポールの花々しい成功とは真逆の、明暗がハッキリ分かれた人生を送っています。

あまりにナイーブで研ぎすまされた感性の持ち主だったがゆえに傷付き、そこから紆余曲折を経てようやく正当な評価を受けるようになるまで「SMILE」から数えておよそ20年ほどの年月を必要としたブライアンの不幸は、決して我々に容易に想像がつくようなものではないでしょう。

そんなブライアンも'90年代に入って「PET SOUNDS」がCD化され、正当な評価がすでに定まった状態で先入観がなく聴ける新たな世代の音楽ファンを中心にブライアン/ビーチ・ボーイズの音楽が支持されるようになってからしだいに名声を取り戻しました。一昨年幻のアルバム「SMiLE」をソロで発表し我々ファンを驚かせ、同時に高評価を得てリべンジを果たすなど現在は絶好調とも言える音楽活動を行なっています。
そんな現在のブライアンの活躍振りは私のようなけっこう以前から聴いているファンにとっても喜ばしく、同時にいい意味で隔世の感もあります。

今年は「PET SOUNDS」発表40周年ということでブライアンが作った歴史的傑作であるこのアルバムをもっと多くの人に聴いて欲しいし、そんな記念すべき年を迎えたブライアンにもポール同様に今後も変わらず現役でどんどん素晴らしい音楽を我々に聴かせてくれることを期待したいと思います。


ちょっとイッチャってる目がこわい(笑)。


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hamakaze_ataru

ポールの64歳よりたくさん書いてくれたことが嬉しい反面、64歳を迎えるまでのブライアンの生き様を考えると複雑ですね。ワタシなどは勿論「PET SOUNDS」をリアルタイムで聴いた訳でもなく、リアルタイムでビーチボーイズを聴き始めたのが「love you」から。まともな情報が無かったと言っても過言ではない時代でした。1975年くらいから買い始めた「ニュー・ミュージック・マガジン」で読んだ小倉エージだったかの記事で、自分なりにビーチボーイズの歩んだ15年を理解?し、それから時代を下ってサーフィン・ホットロッド〜ペットまでの道のりをざっと聴きました。しばらくビーチボーイズを離れ、様々な音楽と出会い、そしてたどり着いた初ソロアルバム「ブライアン・ウィルソン」上下巻で発売された暴露本の内容も相まって、痛々しいほど変わってしまったブライアンの声と、変わらない少年のような思いを考えた時、あ〜、よく生きていてくれたな〜って涙したりしました。時折見せる狂人の目つきには完全復活してない闇を感じ、それでも生きてるブライアンを応援しました。それたらすでに18年が経ちましたが、一番精力的に音楽に取り組んでいるのがブライアンだなんて、みんな思ってもみなかったでしょうね。きっと。
by hamakaze_ataru (2006-06-20 20:38) 

MASA

ポールについては今さら書くこともないほどみなさん分かってますから短かめになりましたけど、ブライアンとなるとどこまで知られてるのか想像つかないので、ちょっとバイオ的な内容になっちゃいました^^。

私がビーチ・ボーイズを聞き出したのは'74年にベスト盤「ENDLESS SUMMER」が全米1位になって一気に再評価され始めた頃からです。それまでのビーチ・ボーイズはキャピトル時代の名盤の数々は会社側の嫌がらせに近い行為によりほとんど廃盤状態でしたね。それが「ENDLESS SUMMER」のヒットで「忘れ去られたアメリカの遺産」に全米が気付いて、遅まきながらこのことでブライアンはかなり報われたと思います。
でも'75年の本格的にブライアンが復帰したアルバム「15 BIG ONES」を聴いて、音域が狭くなりあの美しかったファルセットが出なくなって、しかもダミ声みたいになっていたのはショックでしたねー。今はさすがに慣れましたけど。
by MASA (2006-06-20 21:39) 

hamakaze_ataru

「アン・アメリカン・バンド」で見るブライアンの変化って凄いものがありますよね。「15 BIG ONES」のころの風貌と声、そして奇行がエスカレートしていたかと思えば、デニス溺死を発表する会見の容姿(ほぼ正常)とだみ声、同時期の映像なのに透き通った声だったり・・・・・その後のゲッチャ・バックの頃から声は今につながるものだけど。ブライアンの変貌を見る度、ドラッグの恐ろしさとユージン・ランディがブライアンに行った治療方法に疑問をもたないわけにいかない感じです。しかし悪の根源のように扱われるユージン・ランディの存在があったからこそ、痛々しいけどキラキラしたアルバムが生まれたのは事実ですからね。でも調子に乗り過ぎたね。ランディは・・・
by hamakaze_ataru (2006-06-20 22:15) 

MASA

ビートルズで自分も名声を得ようとしていたマハリシとか、貴乃花に付いていた整体師とか(笑)、この手の輩は結局自分の得のためなんでしょうね。
ランディはジョン・レノンにプライマル・スクリーム療法で治療に臨んだアーサー・ヤノフ博士に匹敵する存在ですが、洗脳に近い行為を行なっていたみたいなランディの場合はかなり問題ありでしたね。
by MASA (2006-06-20 22:57) 

hamakaze_ataru

ねぇMASAさん・・・ブライアンのネタはポールネタより反応薄いのが寂しいです。どうしてなんでしょ?
by hamakaze_ataru (2006-06-21 22:12) 

MASA

私らふたりだけで異様に盛り上がってますけど(笑)、まあそれは予想してました。ブライアン/ビーチ・ボーズってまだまだマニアックなんですね、残念ながら。実力も才能もビートルズに引けをとらないのにビートルズ並みの支持を得られなかったブライアンの不遇が今日までこういう形で現れてるってことですよ。みんなもっと聴いて〜!(笑)
by MASA (2006-06-21 23:19) 

hamakaze_ataru

いや〜・・・ホント私とMASAさんだけですね。こうなったらふたりで52超えるまで書きますか〜!でもビーチボーイズはマニアックな存在にしては絶対いけないバンドですよね。ビートルズ並みの評価が得られなかったのは事実として、「スマイル」のみに焦点を合わせた見方もどうかと思います。西海岸のロックを語る上で絶対に外しちゃいけないのがビーチボーイズなのに・・・・あのスリーパートハーモニーがなかったら、CS&Nもイーグルスもアメリカもあんなにハーモニーにはこだわらなかったかもしれないし。ブライアンが正当な評価されないのに、デニスやカールのCD再発なんて夢のまた夢ですね。絶対マニア価格で取引されたらいけない。常にだれでも聴ける状態じゃなければいけないアメリカンバンドなのです!
あ〜熱くなってしまった。
by hamakaze_ataru (2006-06-21 23:56) 

MASA

私も以前から「PET SOUNDS」と「SMILE」だけでブライアンを持ち上げて賛美する手合いが多いことにずっと違和感を感じてます。それ以前のビートルズとはまた違った優れたポップ・センスによる楽曲をちゃんと聴かずしてブライアン/ビーチ・ボーイズを語るなんざ10年早いと言いたいですね。
おっしゃるとおり、CS&N、イーグルスなどその後のウエスト・コースト・ロックに大きな影響も与えたバンドですからね、ビーチ・ボーイズは。そういった視点がゴッソリと抜け落ちてるっていうのはやっぱマズイでしょ。
by MASA (2006-06-22 00:14) 

hamakaze_ataru

初期のローカル色豊かなサーフィン・ホットロッドの名曲や、PET 前夜のサウンドの変遷を全く無視した状態での「PET SOUNDS」と「SMILE」談義はやはり賛同できません。なんて、自分だってそんなに正統派派な聞き方してないけど、「PET SOUNDS」と「SMILE」を絶賛して研究すると同時に、 違った側面にも興味示して欲しいものですね。
by hamakaze_ataru (2006-06-22 00:52) 

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