最近ケーブルTVで観た映画 [映画・BD・DVD]
ここ1、2ヶ月ほどのあいだにケーブルTVで観て面白かった映画、残念だった映画を今回は取り上げようと思います。
まずは先月シネフィル・イマジカで放送された、マリアンヌ・フェイスフルが38年振りに主演した'07年の映画「やわらかい手」。
マリアンヌ・フェイスフルの映画と言えば、素肌に黒い皮のジャンプスーツを身にまとい、1,200ccのハーレー・ダヴィッドソンに股がって不倫相手のアラン・ドロンに会いに行く'68年のカルト的名作「あの胸にもういちど」(上の写真)が代表作だが、そんなマリアンヌももう還暦を超えた現在、こんな映画に出るとは思わなかった。
原題は「Irina Palm(イリーナ・パーム)」。マリアンヌ演じる主人公のマギーがひょんなきっかけで働くこととなる風俗店での源氏名なのだが、邦題として付けられた「やわらかい手」には大きな意味がある。
可愛い孫が重い病にかかり、マギーはその手術費用を稼ぐため、なかなか仕事が見つからない中たまたま迷い込んだ風俗の世界で意を決して働くことになる。とある風俗店でイリーナ・パームという源氏名をもらい、持って生まれた「やわらかい手」によって意外な才能を開花させた彼女は一躍店のナンバー1に。そしていつしか店長との間にお互い惹かれあるものを感じ始める。
頑張りすぎて右肘を痛めるが左手で頑張る。どんな仕事なのかはご想像にお任せします(笑)。
ヒントは壁に空いた丸い穴「ラッキーホール」^^;
自分の相手がこんなオバサンだと知ったら客はどうなんだろ?という疑問はさて置き(笑)、このあと絶対に秘密にしていたこの仕事が孫の父親である息子についにバレて「そんな汚い金はいらない!」と大激怒の末、無理やり店を止めさせられてしまい・・・という内容だ。
たとえ風俗だろうと関係なく病気の孫のためにひらすら必死で働くマギーと、孫のためとは言え母親がそんな仕事をやっていたことが許せない息子、義理の娘という一歩引いた冷静な立場で義母の行為に感謝してくれる息子の嫁、お互いに淡い恋心を抱いていた風俗店の店長との関係など、それぞれの感情の機微が見事に描かれている。
ちょっと笑えるユーモラスな面もありつつ最後はホロリと泣ける実にいい映画だった。
これはここ最近観た映画では最もその印象が脳裏に焼き付いた感動作でした。たまたま観たので録画はしなかったのだが、ソフトを買ってもう1回観たい作品だ。
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続いて、先日の日曜日にWOWOWで放送された「スピードレーサー」。
ご存知、日本のアニメ「マッハGO GO GO」を「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟が制作・監督し実写映画化したハリウッド作品だ。
観る前は「CGばっかり派手でハリウッドお得意の大袈裟なだけのつまんない映画なんだろ」と思い、全く期待していない作品だったのだが、たまたま観たらこれがまあ、そんな予想をあっさりと裏切る作品で意外に面白かった。やはりウォシャウスキー兄弟の作品は侮れませんなあ。
出演者も豪華で、主役のエミール・ハーシュはよく知らないが、主人公の恋人・トリクシー役のクリスティーナ・リッチ(「アダムズ・ファミリー」「バッファロー'66」)をはじめ、父親役にジョン・グッドマン、母親役にはスーザン・サランドン、韓国人のレーサー役に歌手のRAIN(ピ)、日本の自動車企業のフィクサーの役で真田広之などが出演。
中でも久しぶりのクリスティーナ・リッチがメチャ可愛くてよかった^^。
映画は完全にアニメのイメージを踏襲していて、CGで描かれる車同士が激しくぶつかり合いスピンしたりドリフトしたりするレース・シーンの描写や、ボタンひとつで何メートルもジャンプしたり、パンクしても瞬時に新しいタイヤに交換出来たりするあり得ない機能を搭載したマッハ号の性能はアニメそのまんま。
派手な濃いめの色使いだったり、CGも敢えてCGぽくすることでオリジナルのアニメの雰囲気がよく出ていると思う。
家族や仲間との絆が強く描かれている点も悪くないし、オリジナルのアニメを知ってる人も知らない人も充分に楽しめる作品だ。それほどまともにオリジナルのアニメを観たことがない私でも面白かったんだから、間違いない(笑)。
そして何と言ってもエンドロールでかかるあの耳慣れたメロディのテーマソング。日本語のオリジナルや全米で放送されていた英語ヴァージョンをサンプリングして作られているのだが、これがまたなかなかカッコイイ。
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最後は私としてはちょっと期待はずれだった映画をご紹介。「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督の第3作目「パコと魔法の絵本」。
これはMovie Plus HDで観たが、もともとは舞台劇を映画化したこの作品、奇抜で派手な描写は相変わらず中島監督ならではで、CGを多用したファンタジー溢れる映像美や、個性的な役者さんたちの演技もいいのだが、しかしこの映画にはこの監督らしいハジけたユーモア感覚が狙いから大きく外れたような感じで、全2作にあったようなセンスのよさがあまり感じられない。
ハジけてはいるのだがどうもそれが終止空回りしているという印象で、終盤は単なるドタバタCGアニメにしかなっておらず、矢継ぎ早の展開で気が付いたら終わり、みたいな感じで、観終わったあとでほとんど何も残らない映画だった。
素顔が分からないほどの特殊メイクで演技に臨んだ役所広司をはじめ、1日しか記憶が持たない病気をかかえる主人公の女の子パコを演じるアヤカ・ウィルソンちゃんも可愛いし、今までにないキャラを熱演する妻夫木聡、怪演を見せる小池栄子、阿部サダヲ、國村 隼、ここでもキレ・キャラの土屋アンナなど、いい役者さんたちが勢揃いなのに、なんか違うと言うか、何かが欠けていると言うか、そんな印象だった。
中島作品は描き方を間違えてしまうと単なるバカバカしいものでしかなくなる際どさがあるが、この作品ではその辺が微妙だ。
ティム・バートンのような作品にしたかったのか、はたまたディズニーやピクサーのようなファンタジー作品を目指したのか、何なのかは知らないがどっちにしろ成功しているとは言い難い出来だと思ってしまった。
観た私の方にこの作品を理解するセンスがないのかも知れないが、映像美ばかりに神経が注がれ様々な悩みを抱えた登場人物たちをしっかりと描き切っていないため誰にも全く感情移入出来なかった。この映画はそこが致命的だと思う。辛口批評のおすぎならこれ観て何て言うかな(笑)。
amazonのレビューなんか読むと高評価の方が圧倒的だが、私とは相性が悪かったようだ。
もう1回観たら印象変わるかなあ。
まずは先月シネフィル・イマジカで放送された、マリアンヌ・フェイスフルが38年振りに主演した'07年の映画「やわらかい手」。
マリアンヌ・フェイスフルの映画と言えば、素肌に黒い皮のジャンプスーツを身にまとい、1,200ccのハーレー・ダヴィッドソンに股がって不倫相手のアラン・ドロンに会いに行く'68年のカルト的名作「あの胸にもういちど」(上の写真)が代表作だが、そんなマリアンヌももう還暦を超えた現在、こんな映画に出るとは思わなかった。
原題は「Irina Palm(イリーナ・パーム)」。マリアンヌ演じる主人公のマギーがひょんなきっかけで働くこととなる風俗店での源氏名なのだが、邦題として付けられた「やわらかい手」には大きな意味がある。
可愛い孫が重い病にかかり、マギーはその手術費用を稼ぐため、なかなか仕事が見つからない中たまたま迷い込んだ風俗の世界で意を決して働くことになる。とある風俗店でイリーナ・パームという源氏名をもらい、持って生まれた「やわらかい手」によって意外な才能を開花させた彼女は一躍店のナンバー1に。そしていつしか店長との間にお互い惹かれあるものを感じ始める。
頑張りすぎて右肘を痛めるが左手で頑張る。どんな仕事なのかはご想像にお任せします(笑)。
ヒントは壁に空いた丸い穴「ラッキーホール」^^;
自分の相手がこんなオバサンだと知ったら客はどうなんだろ?という疑問はさて置き(笑)、このあと絶対に秘密にしていたこの仕事が孫の父親である息子についにバレて「そんな汚い金はいらない!」と大激怒の末、無理やり店を止めさせられてしまい・・・という内容だ。
たとえ風俗だろうと関係なく病気の孫のためにひらすら必死で働くマギーと、孫のためとは言え母親がそんな仕事をやっていたことが許せない息子、義理の娘という一歩引いた冷静な立場で義母の行為に感謝してくれる息子の嫁、お互いに淡い恋心を抱いていた風俗店の店長との関係など、それぞれの感情の機微が見事に描かれている。
ちょっと笑えるユーモラスな面もありつつ最後はホロリと泣ける実にいい映画だった。
これはここ最近観た映画では最もその印象が脳裏に焼き付いた感動作でした。たまたま観たので録画はしなかったのだが、ソフトを買ってもう1回観たい作品だ。
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続いて、先日の日曜日にWOWOWで放送された「スピードレーサー」。
ご存知、日本のアニメ「マッハGO GO GO」を「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟が制作・監督し実写映画化したハリウッド作品だ。
観る前は「CGばっかり派手でハリウッドお得意の大袈裟なだけのつまんない映画なんだろ」と思い、全く期待していない作品だったのだが、たまたま観たらこれがまあ、そんな予想をあっさりと裏切る作品で意外に面白かった。やはりウォシャウスキー兄弟の作品は侮れませんなあ。
出演者も豪華で、主役のエミール・ハーシュはよく知らないが、主人公の恋人・トリクシー役のクリスティーナ・リッチ(「アダムズ・ファミリー」「バッファロー'66」)をはじめ、父親役にジョン・グッドマン、母親役にはスーザン・サランドン、韓国人のレーサー役に歌手のRAIN(ピ)、日本の自動車企業のフィクサーの役で真田広之などが出演。
中でも久しぶりのクリスティーナ・リッチがメチャ可愛くてよかった^^。
映画は完全にアニメのイメージを踏襲していて、CGで描かれる車同士が激しくぶつかり合いスピンしたりドリフトしたりするレース・シーンの描写や、ボタンひとつで何メートルもジャンプしたり、パンクしても瞬時に新しいタイヤに交換出来たりするあり得ない機能を搭載したマッハ号の性能はアニメそのまんま。
派手な濃いめの色使いだったり、CGも敢えてCGぽくすることでオリジナルのアニメの雰囲気がよく出ていると思う。
家族や仲間との絆が強く描かれている点も悪くないし、オリジナルのアニメを知ってる人も知らない人も充分に楽しめる作品だ。それほどまともにオリジナルのアニメを観たことがない私でも面白かったんだから、間違いない(笑)。
そして何と言ってもエンドロールでかかるあの耳慣れたメロディのテーマソング。日本語のオリジナルや全米で放送されていた英語ヴァージョンをサンプリングして作られているのだが、これがまたなかなかカッコイイ。
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最後は私としてはちょっと期待はずれだった映画をご紹介。「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督の第3作目「パコと魔法の絵本」。
これはMovie Plus HDで観たが、もともとは舞台劇を映画化したこの作品、奇抜で派手な描写は相変わらず中島監督ならではで、CGを多用したファンタジー溢れる映像美や、個性的な役者さんたちの演技もいいのだが、しかしこの映画にはこの監督らしいハジけたユーモア感覚が狙いから大きく外れたような感じで、全2作にあったようなセンスのよさがあまり感じられない。
ハジけてはいるのだがどうもそれが終止空回りしているという印象で、終盤は単なるドタバタCGアニメにしかなっておらず、矢継ぎ早の展開で気が付いたら終わり、みたいな感じで、観終わったあとでほとんど何も残らない映画だった。
素顔が分からないほどの特殊メイクで演技に臨んだ役所広司をはじめ、1日しか記憶が持たない病気をかかえる主人公の女の子パコを演じるアヤカ・ウィルソンちゃんも可愛いし、今までにないキャラを熱演する妻夫木聡、怪演を見せる小池栄子、阿部サダヲ、國村 隼、ここでもキレ・キャラの土屋アンナなど、いい役者さんたちが勢揃いなのに、なんか違うと言うか、何かが欠けていると言うか、そんな印象だった。
中島作品は描き方を間違えてしまうと単なるバカバカしいものでしかなくなる際どさがあるが、この作品ではその辺が微妙だ。
ティム・バートンのような作品にしたかったのか、はたまたディズニーやピクサーのようなファンタジー作品を目指したのか、何なのかは知らないがどっちにしろ成功しているとは言い難い出来だと思ってしまった。
観た私の方にこの作品を理解するセンスがないのかも知れないが、映像美ばかりに神経が注がれ様々な悩みを抱えた登場人物たちをしっかりと描き切っていないため誰にも全く感情移入出来なかった。この映画はそこが致命的だと思う。辛口批評のおすぎならこれ観て何て言うかな(笑)。
amazonのレビューなんか読むと高評価の方が圧倒的だが、私とは相性が悪かったようだ。
もう1回観たら印象変わるかなあ。
MASAさん こんばんは
マリアンヌ・フェイスフルといえば、私はどうしても60年代のイメージが強いのですが、久しぶりに見る彼女は完全に別人ですね(笑)
でも、いろいろと紆余曲折があったとはいえ、カッコいい年のとり方だと思います。
この映画は私も観てみたいですね♪
娘の前ではちょっと見づらいかな?(笑)
by poposuke (2009-08-29 00:25)
poposukeさん、こんばんは〜。
'60年代のミックの恋人時代がいちばん一般的なイメージでしょうね。
私は'80年代のIsland時代がいちばん好きなんですけど^^。
昔の可愛さはどこ行った?という感じですが(笑)、確かにいい年の取り方してますね、この人。
この映画、一応R15指定なので、お子さんの前では観ないで下さいね^^;
by MASA (2009-08-29 00:45)