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「ウッドストック」40周年記念アルティメット・コレクターズ・エディションBD [映画・BD・DVD]

今や伝説と化した歴史的コンサートであり、'60年代末期のアメリカにおけるカウンター・カルチャーの代名詞となっているウッドストック・フェスティバルが開催されてから今年で40周年。

これを記念して、この模様を収めた映画「ウッドストック」が映像・音声共に新たにリマスターされ、120分以上に及ぶ未発表ライヴ映像を収録した40周年記念アルティメット・コレクターズ・エディションのブルーレイ&DVDとなって発売された。私が購入したのはもちろんブルーレイの方である。

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日本では8月に発売される予定だが、私が購入したのは6/9に発売になったアメリカ盤の限定BOX仕様。日本ではこの仕様での発売はないので、なくならないうちにソッコーで予約していたのだが、今週始めに届いた。

このBOXがなかなか凝った作りで、まず外観はこのような本革のバックスキンを貼付けた豪華なもの。ちょっと斜めっているが、真ん中にはアイロンでくっ付くワッペンが付属。
カントリー風のベストをイメージしたデザインで、下半分のイカそうめんみたいなビラビラが何とも言えません^^。

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限定140,000セットで、ボックスの横にはシリアル・ナンバーが付いている。私のは029776番目だ。

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本革ケースの中にはさらにインディアン柄のようなデザインのボックスが入っていて、ピース・マークのネックレスの部分がひも部分を含めてエンボス加工されている。

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そしてこの中にはBD本体の他、このようなオマケが満載。当時発行された60ページに及ぶウッドストック特集のLIFE誌のレプリカ、封筒に入った会場の観客が残した走り書きのメモ、3D写真が挟まっているズッシリ重たいプラスティック製のプレート、3デイズ連続チケットのレプリカなどが入っている。

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その中で面白いのがこれ。
まず下の写真は伝言板代わりになった会場の食べ物屋の屋台の壁にビッシリと貼られた観客のメモ書きだが、

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この伝言メモのレプリカが数枚入っている。どんな内容かというと、

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「シンディへ (妹(姉)といっしょにいた黒髪のコ)。いっしょにいられず住所聞くのも忘れちゃってホントにゴメン。(迷子アナウンスの)呼び出しして。最終日までに会おう。LOVE。ダンより」

「スーザンへ。ここで会おう。土曜日(コンサート2日目)の午前11時か午後3時か、じゃなかったら午後7時にね。」

「ジャッキーへ。どこなの?何で呼び出ししてくれなかったの?バーブラより」


これは会場で知り合ったものの人ごみにはぐれてしまったカップルの伝言メモ。その辺にあった紙切れや紙のお皿に書かれたものだが、50万人もいれば迷子になっても不思議じゃない。このカップルたちはその後再会出来たんだろうか?

こちらは3デイズ連続のチケットのレプリカ。3日分で24ドルとは安っ!

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このチケットはチケットを持たない大勢の見物人が金網をぶち破って次々に会場に押し寄せたたため収拾が付かなくなり、結局途中からフリー・コンサートにせざるを得なくなって不要になった。

下はLIFE誌のレプリカから、最後のページに載っている写真。映画の終わり近くにもこのシーンが出てくるが、このようにコンサート終了時には会場はゴミ捨て場と化した。

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これを教訓にこの後の野外コンサートではゴミ対策が施されるようになり、観客のゴミに対する意識もしだいに変わってゆくこととなる。

BD本体。ボーナス・ディスク付き2枚組で、鳥と蝶のイラストが施されている。

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さて、やっと肝心の内容になるが、私がこの映画を観るのは10数年前にWOWOWが何日か連続で放送したテレビ用ディレクターズ・カット版以来。
改めて観た感想は、この映画はコンサート映画である前に1969年の夏に起こったひとつの出来事を収めた貴重なドキュメンタリー映画だということだ。今さら当たり前のことかも知れないが、改めてそれを強く感じた。

1969年8月15日〜17日の3日間、ニューヨーク市郊外の農村ベセルの広大な農場で行なわれたこの野外コンサートは主催者側の予想をはるかに上回る観客動員数を集め、その数じつに50万人。
このコンサートはLOVE & PEACEが合い言葉だったようなキレイごとをよく言われるが、この映画を観ると実際はそんな単純でお気楽な状況ではなかったことが伺い知れる。

実はコンサートをまともに聴けたのはステージの前の方に陣取っていた観客だけだったらしく、50万人がひしめき合う会場の奥では音楽そっちのけでマリファナを回し吸いし、男女入り乱れて全裸で近くの池で泳いだり、林の中でコトをおっ始めるカップルまでいる様子が写し出されている。
しかし意外にも目立った事件や暴動はなく、混沌とした中にもある一定の秩序が備わっているように見えるのは不思議だ。一説によると観客の間で自警団が作られ暴動や破壊などを防いでいたと言われている。

公民権運動やウーマンズ・リブ、ベトナム戦争、それに伴う反戦運動などが背景にあった激動のこの時代、若者たちは将来に深刻な悩みや不安を抱えており、コンサートが目当てというより、あそこへ行けば何かがあるかも知れない、何かが変わるかも知れないという思いに狩られてやって来た若者も多かったようだ。
「東京に行けば何かが見つかる」という漠然とした希望を持って上京する地方の若者とほとんど似たような心境だったのか?(笑)じゃなかったら、たかがコンサートに50万人も集まりませんて、普通。

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これもよく言われることだが、当時のヒッピーたちが音楽で愛と平和を伝えられると信じていたロックの幻想は事実上このコンサートを最後に終焉を迎えたというのが今や通説になっている。

70年代に入るとロックは当初の反社会的スピリットをしだいに失い、売れてナンボのショー・ビジネスの世界にしっかりと組み込まれて商業的に肥大化していくわけだが、まあそういう意味では、今思えばウッドストックは最後のドデカい打ち上げ花火だったというところか。観終わったあとちょっと感慨に耽ってしまう映画だ。

(※これを書くにあたっては私の乏しい知識だけでは心もとないのでWikipediaの「ウッドストック・フェスティバル」の項を参考にさせていただきました。)

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30組以上が出演したうち17組のアーティストが登場するコンサート自体に目を移してみると、出演アーティストのパフォーマンスはどれも素晴らしい。60年代、音楽はこんなにも熱く激しくリスナーを突き刺すような勢いがあったのかと改めて感じでしまうほどのパワーを放出している。

特にいいのがThe Who、Santana、Janis Joplin、Sly And The Family Stoneといったあたりだが、何と言っても圧巻なのが3デイズのトリを務めたJimi Hendrixだ。

「The Star-Spangled Banner(アメリカ国歌)」は反戦の意味を込めてギターで爆撃音や悲鳴を表現しているが、凄まじい迫力。ギターがまるで体の一部のようになっているプレイはまさに芸術だ。

この映像は映画とアングルが異なる別なものからの映像。


このあとにすぐ「Purple Haze」が続き、全部で19曲ほどが演奏されたらしい。
この当日は雨による長い中断があったため予定が押してしまい、このジミヘンのパフォーマンスは明け方近くになってしまったために多くの人がすでに帰ったあとだった。そのため何と実際にこのパフォーマンスを観た人は少なかったという。もったいないねえ。

この本編が収録されているDISC 1は約4時間にも及ぶディレクターズ・カット版で見応えはタップリ。かつて数日に渡ってWOWOWで放送されたテレビ版のディレクターズ・カット版はもう覚えていないのでこれとの違いはよく分からないが、どうなんだろ?

画質の方はリマスターを謳っているわりには元が16ミリ・フィルムなので限界があるのかイマイチだ。
画面はノーマルとビスタ、あるいはノーマルの2分割・3分割画面になるが、ノーマルとビスタの1枚の画面の時には黒縁画面になる。音質は素晴らしく、8トラックで録られたというマスターから作られたサラウンド音声はクリアでなかなかの臨場感だ。

そして目玉のボーナス・ディスクには権利関係がクリアになって新たに収録することが出来た未発表ライヴ映像が約2時間分・全21曲も収録されている。

このうち本編に出演していない全くのお初がMountain、Greatful Dead、C.C.R、Johnny Winter、Paul Butterfieldで、それぞれ1曲〜3曲ずつ収録されている。
個人的にはC.C.R.「Born On The Bayou」「I Put A Spell On You」「Keep On Chooglin'」の3曲が聴けるのがウレシイ。



ちなみにBeatles、Stones、The Byrds、Doors、Zepp、Bob Dylanなどにも出演をオファーしたが断られているという。残念な話だ。

これ以外にもThe Who「My Generation」、Santana「Evil Ways」など、本編に出演しているアーティストの初公開ライヴが15曲ほど収められている。
ノーマル・サイズだが画質は本編よりも全体的にこちらの方が断然いい。

その他、ボーナス・ディスクには現場の裏側から観たドキュメンタリーや監督・プロデューサーなどへのインタビュー、今は現地にはウッドストックに因んだ観光施設が建っているがその紹介など、もうこれでもかのテンコ盛りで、合計170分、3時間近くに及ぶお腹いっぱいの内容だ。

この豪華な仕様と内容で何とこのUS盤は$48.99=約¥4,800というリーズナブルなお値段。
しかも本編には日本語字幕が収録されているのもうれしい。残念ながらボーナス・ディスクの方は英語字幕のみだ。惜しいなあ。

ちなみに同時発売のDVDもリージョンは1ながら本編に日本語字幕があるそうなので、興味のある方はそちらもどーぞ。

ちなみに下の映像ではamazon.com限定の3曲入りボーナスDVD付きとなっているが、発売直前に仕様が変わり実際には付いていない。代わりにこれは本体のボーナス・ディスクの未発表映像のところにいっしょに収録されている。






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コメント 6

chitlin

そうそう、これは迷っています。先のことを考えるとBDがいいんでしょうかね〜?

音源の方もいろいろありますし、もうこっちも大変な夏になりますねっ。
by chitlin (2009-06-21 01:02) 

MASA

chitlinさん、この豪華ボックス、是非オススメしますよ。
画質はいまいちなので、これはDVDでもいいと思います。
DVDにも本編には日本語字幕がありますし。
あ、買うのなら日本のamazonは高いのでUSのamazonの方がいいですよー^^。

by MASA (2009-06-21 01:12) 

がぁこ

皮使うなんてすごいおされ~♪
ビラビラ付きでカーボーイのベストのようです(笑)
今まで見た中で一番ボックスとか「おまけ」も凝ってるような気がしちゃうなぁ☆
お高そうね^^
by がぁこ (2009-06-21 01:18) 

MASA

おされでいいでしょー?
ビラビラ付きのベストが当時流行ってたみたいで、これを着てる出演アーティストもたくさん出てくるしね^^。

これで¥4,800は安いよー。
国内盤はボックスもオマケもなしで定価だと¥5,000以上するからね。
絶対オトク(笑)。
by MASA (2009-06-21 01:33) 

DEBDYLAN

こんばんは~^^。

この記事読んで、
僕も思わず古い『レココレ』誌の”WOODSTOCK”特集読んじゃいました^^;

DVD持ってるんだけど、
意外にも(自分で言うなっつーの!!)ちゃんと観たコトないんすよ(>_<)
演奏シーンばっか観てたって感じです。

時代を象徴するドキュメンタリーとしてちゃんと観たいっす。

それにしても、
このアメリカ盤のパッケージはステキ過ぎますね^^。
持ってて間違いない作品だと思います。

DVDリージョン・フリーならいいのに。
先行投資でBlu-ray買っちゃいますか(笑)

USのAmazonで買ったことないんだけど、
送料ってどうなんですか?
よかったら教えてくださいm(__)m

僕もC.C.R.の熱演が観たいわ~!!

by DEBDYLAN (2009-06-22 23:52) 

MASA

DEBさん、どーもです。
私もコンサート観たさで買ったものの、映画として観ると貴重なドキュメンタリーであることを再認識させられました。

DVDはリージョンが1なのが残念ですがパソコンで観られるし、日本語字幕があるので、やっぱりこのボックスは買いですね^^。

USのamazonは日本のamazonと要領は全く同じなのであまり戸惑うことなく使えると思いますよ。
アカウントを作って(日本のamazonと同じでもOK)、クレジット・カード番号と住所を登録すれば完了です。

送料はこの場合だとビーチ・ボーイズのCDといっしょで$10.97、およそ¥1,000くらいでしたが、DVDだけならもうちょっと安くなると思います。
ものにもよりますが、早くて5日〜1週間くらいで来るので意外に早いです。
是非お試しを〜^^。
by MASA (2009-06-23 00:20) 

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