XTC「NONSUCH」 [XTC]
長らく止まっていたXTCのアルバム紹介ですが、この度The Dukes Of Stratosphearのリマスター盤も発売になったことだし、久しぶりにまたやってみたいと思います。
今回はVirginレーベルからの最後のリリースとなった'92年のアルバム「NONSUCH」。
'89年の前作「ORANGES AND LEMONS」はファンにとっては人気も評価も高いアルバムとなったが、セールス面で言えば決してそれほどの成功作と呼べるものではなく、Virginレーベル側にとっては満足出来る結果ではなかったようだ。
売れるアムバムを作れ、というプレッシャーはいっそう強くなり、自由にやらせてくれないレーベル側との対立は深まった。そんな環境の中でこの「NONSUCH」のレコーディングが行なわれた。
プロデューサーは'70年代のエルトン・ジョンのアルバムでお馴染みのガス・ダッジョンが担当している。
確かにこのアルバムはビミョーな作品だ。何曲か優れた曲は入っているものの、聴き込む前はテンションの低い精彩に欠く印象を受けた。80年代初期の頃のダイナミックな感じがここではすっかり影を潜め、どちらかというとアメリカのオルタナティヴ・ロックのような音。かつてのヒネクレ・ポップ・ロックはどこへ?という感じだ。
そしてこのアルバムではレーベル側との確執の影響か、バンドの音楽に取り組む姿勢に意欲的なものがあまり感じられない気がするのである。
サウンドやビートよりもメロディに重心が置かれているが、これがある曲では相変わらずビートルズっぽいし、ある曲ではまるで「PET SOUNDS」期のブライアン・ウィルソンみたいであり、これまでになくやや内省的な面も見せている。
XTCの音楽を指してよく箱庭的と評されることが多いが、このアルバムはまさにそんな感じ。こぢんまりとまとまった中にキャッチーなポップさとプログレッシヴなものとが同居するアルバムである。
このやや焦点が定まっていない印象のため、ファンによって大好き!という人と、う〜ん、イマイチ、と評価する人で真っ二つに別れるようだ。
このアルバムはアメリカのファンにはウケて、グラミー賞のベスト・オルタナティヴ・アルバムにノミネートされたりもしたが、本国のイギリスでは幾分インパクトに欠ける内容が災いしてセールス的にはあまり振るわず、またしてもレーベル側の不満を買うこととなり、ついにはこのアルバムを最後にレーベルから契約を切られてしまう。
この後'98年にはデイヴ・グレゴリーが脱退し、XTCはアンディとコリンたったふたりだけのユニットとなってしまうが、新たなレーベルIdea Recordsを発足することとなる。
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このアルバムのアートワークは中世ヨーロッパの宗教画がモチーフで、アルバム・タイトルの「NONSUCH」も中世に使われた綴りで「NONSVCH」と、UがVになっており、その他収録曲のいくつかにも旧綴りが使われているのがユニーク。
このアルバムが出た'92年前後というとすでに音楽メディアの中心はCDで、さすがに私もこの頃はアナログなど過去の遺物と捉えていた時期のため、アナログでは持っていないし欲しいとも思わなかった。大体このアルバムのアナログは流通していた数が少なく、当時は見たこともなかった。
しかしCDはUK盤のみに初回限定盤があり、ごらんのとおり通常盤ではブックレットに印刷されているお城のイラストが初回盤ではプラケに直接プリントされている仕様だった。
アルバム発売に先駆けてリリースされたシングル第1弾が「Disappointed」。
「失望」というタイトルが何とも意味深だ。このタイトルも昔の綴りで「Difappointed」と、sがfになっている。
アナログ10インチ盤も出たが、私は買わなかった。
この曲はビーチ・ボーイズ風のファルセット・コーラスがフィーチャーされ、ポップでありながらオルタナっぽさもある曲。このPVでは聴こえにくいが、ハイハットだけが3連を刻むドラムスがユニークだ。名曲です。
シングル第2弾がアメリカでスマッシュ・ヒットとなった「The Ballad Of Peter Pumpkinhead」。
このシングルはCD1とCD2の2種類があり、デモ曲がカップリングされているが、それぞれで曲が異なる。
第3弾として、アンディが書いた「PET SOUNDS」に入っててもおかしくないような雰囲気の内省的な曲「Wrapped In Gray」が予定されていたが、サンプル盤も作られながら結局発売中止となっている。まあシングル向きの曲ではないので、これは無理もないかも。
その中止となったCDシングルのジャケ写真。もちろん私は持ってません。
今回はVirginレーベルからの最後のリリースとなった'92年のアルバム「NONSUCH」。
'89年の前作「ORANGES AND LEMONS」はファンにとっては人気も評価も高いアルバムとなったが、セールス面で言えば決してそれほどの成功作と呼べるものではなく、Virginレーベル側にとっては満足出来る結果ではなかったようだ。
売れるアムバムを作れ、というプレッシャーはいっそう強くなり、自由にやらせてくれないレーベル側との対立は深まった。そんな環境の中でこの「NONSUCH」のレコーディングが行なわれた。
プロデューサーは'70年代のエルトン・ジョンのアルバムでお馴染みのガス・ダッジョンが担当している。
確かにこのアルバムはビミョーな作品だ。何曲か優れた曲は入っているものの、聴き込む前はテンションの低い精彩に欠く印象を受けた。80年代初期の頃のダイナミックな感じがここではすっかり影を潜め、どちらかというとアメリカのオルタナティヴ・ロックのような音。かつてのヒネクレ・ポップ・ロックはどこへ?という感じだ。
そしてこのアルバムではレーベル側との確執の影響か、バンドの音楽に取り組む姿勢に意欲的なものがあまり感じられない気がするのである。
サウンドやビートよりもメロディに重心が置かれているが、これがある曲では相変わらずビートルズっぽいし、ある曲ではまるで「PET SOUNDS」期のブライアン・ウィルソンみたいであり、これまでになくやや内省的な面も見せている。
XTCの音楽を指してよく箱庭的と評されることが多いが、このアルバムはまさにそんな感じ。こぢんまりとまとまった中にキャッチーなポップさとプログレッシヴなものとが同居するアルバムである。
このやや焦点が定まっていない印象のため、ファンによって大好き!という人と、う〜ん、イマイチ、と評価する人で真っ二つに別れるようだ。
このアルバムはアメリカのファンにはウケて、グラミー賞のベスト・オルタナティヴ・アルバムにノミネートされたりもしたが、本国のイギリスでは幾分インパクトに欠ける内容が災いしてセールス的にはあまり振るわず、またしてもレーベル側の不満を買うこととなり、ついにはこのアルバムを最後にレーベルから契約を切られてしまう。
この後'98年にはデイヴ・グレゴリーが脱退し、XTCはアンディとコリンたったふたりだけのユニットとなってしまうが、新たなレーベルIdea Recordsを発足することとなる。
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このアルバムのアートワークは中世ヨーロッパの宗教画がモチーフで、アルバム・タイトルの「NONSUCH」も中世に使われた綴りで「NONSVCH」と、UがVになっており、その他収録曲のいくつかにも旧綴りが使われているのがユニーク。
このアルバムが出た'92年前後というとすでに音楽メディアの中心はCDで、さすがに私もこの頃はアナログなど過去の遺物と捉えていた時期のため、アナログでは持っていないし欲しいとも思わなかった。大体このアルバムのアナログは流通していた数が少なく、当時は見たこともなかった。
しかしCDはUK盤のみに初回限定盤があり、ごらんのとおり通常盤ではブックレットに印刷されているお城のイラストが初回盤ではプラケに直接プリントされている仕様だった。
アルバム発売に先駆けてリリースされたシングル第1弾が「Disappointed」。
「失望」というタイトルが何とも意味深だ。このタイトルも昔の綴りで「Difappointed」と、sがfになっている。
アナログ10インチ盤も出たが、私は買わなかった。
この曲はビーチ・ボーイズ風のファルセット・コーラスがフィーチャーされ、ポップでありながらオルタナっぽさもある曲。このPVでは聴こえにくいが、ハイハットだけが3連を刻むドラムスがユニークだ。名曲です。
シングル第2弾がアメリカでスマッシュ・ヒットとなった「The Ballad Of Peter Pumpkinhead」。
このシングルはCD1とCD2の2種類があり、デモ曲がカップリングされているが、それぞれで曲が異なる。
第3弾として、アンディが書いた「PET SOUNDS」に入っててもおかしくないような雰囲気の内省的な曲「Wrapped In Gray」が予定されていたが、サンプル盤も作られながら結局発売中止となっている。まあシングル向きの曲ではないので、これは無理もないかも。
その中止となったCDシングルのジャケ写真。もちろん私は持ってません。
しつこいけどETC(笑)
今ちょうど話題性もあるしーw
箱庭風の音楽ってナニナニ~^^;
ってあかーん、、、3カラム、ゆーつべあるとフリーズ寸前ですー(>.<)
またファイル掃除しなきゃダメかなぁ~^^;;
by がぁこ (2009-04-29 01:46)
おお、ノンサッチ、懐かしいです。日本盤も初回は、プラケにプリントされてましたね。さっき、棚を探したのですが、見つかりませんでした。紙ジャケをボックス買いしたので、売ってしまったかもしれません。アディスアポイーテーです。
by pinkisland (2009-04-29 08:10)
がぁこちゃん、しつこくETCだよん^^。
箱庭風って説明が難しいなあ^^;
まあ、自分たちだけの世界を持ってるってことで理解して(笑)。
あ、そんなに重たい?ゴメンねえ〜。
iTunesとUNICLOCKが原因だと思う。
今度なんか削っとくわ^^。
by MASA (2009-04-29 15:03)
pinkさん、こんにちは〜。
あ、国内盤も初回あったんですか、知りませんでした^^;
私はこのアルバムは紙ジャケ未購入です。
次回はアナログ、CDでいろいろ出ている編集盤を取り上げてみる予定です。
by MASA (2009-04-29 15:08)
はじめまして
私もケースにプリントされたCDを持ってましたが、結構気に入ってました
その後、紛失してしまい、プリントされていないものを買い直しました
箱庭風って面白いですね、肯定的でもあり、どこかシニカルでもあり
XTCにはピッタリ?
またお邪魔します
by col (2009-07-25 09:12)
colさん、はじめまして。ご訪問ありがとうございます。
初回盤、紛失されたんですか。残念ですねー。
XTCの音楽って、好きな人だけ聴いてくれれば結構です、みたいなリスナーを突き放した部分がちょっとありますよね。
私はそんなマイペースなところが好きです^^。
好き勝手に書き散らしたブログですが、よろしければまた覗いてやって下さい。
by MASA (2009-07-25 15:39)
こんにちわおじゃまします、
基本的なレコーディングデータはIdea のサイトにありますので、ご参照になるかと思います。
(かならずしも、間違いがないとは言えないでしょうが)
LPは、英国と伊国だけの発売のようです。eBayでお手に入るでしょうか?
CDケースへのアートワークのプリントは、各国の初回のようです。
ヘンリー八世のノンサッチ宮殿の絵なので、宗教画かどうかは分かりかねます。
プロデュースのクレジットはガス・ダッチョンですが、途中で首になっているので、実質は、バリー・ハモンドとニック・デイヴスのようです。
the disappointed は、分詞なので、「失望」だとやや違うように私には思えます。失意の人のような感じなのだと。
アルバム全体は、日常生活に芸術を取り入れようとした、ウィリアム・モリスの製本を範にしたような感じがします。
では
by ノエルかえる (2010-04-23 10:57)
ノエルかえるさん、コメントいただくのは2度目でしたでしょうか。
いやあ、私なんかよりもずっと詳しいので勉強になりました。
何ぶん詳しい資料もなしに書いているので、いろいろ不勉強な面や間違いもあるかと思いますが、またその時は遠慮なくツッコんで下さいね(笑)。
by MASA (2010-04-23 23:36)