XTCの初期2枚 [XTC]
XTCの第4弾は、デビュー・アルバム「WHITE MUSIC」とセカンド・アルバムの「GO 2」の2枚をいっぺんにご紹介します。
まずは1978年1月に発売されたデビュー・アルバム「WHITE MUSIC」。
XTCは70年代中頃にアンディ・パートリッジ(g)、コリン・モールディング(b)、テリー・チェンバース(d)の3人で組んでいたヘリウム・キッズというバンドが母体で、のちにキーボードのバリー・アンドリュースが加わりバンド名をXTCに変更した。
そして'77年10月に「Science Friction」というシングルでVirginレーベルからデビューし、翌'78年1月に発売されたのがこのデビュー・アルバムである。
プロデューサーはジョン・レノンのアルバム「ジョンの魂」の時のテープ・エンジニアとしても知られ、BE BOP DELUXE、STONE ROSESなどのプロデューサーとしても有名なジョン・レッキーが務めた。
ジャケの真ん中上部には光の加減でアルバム・タイトルが浮き上がる加工がしてある。
このアルバムにはデビュー・シングルの「Science Friction」をはじめ、セカンド・シングルの「Statue Of Liberty」、サード・シングルの「This Is Pop」が収録され、新人バンドとしてはまずまずのヒットを記録しているようだ。
ボブ・ディランの「All Along The Watch Tower」のカヴァーなど、なかなかの聴きどころもある。
この時代のXTCのアルバムはこのバンド特有の変態チックなパンク色が強く出ていてかなり突っ走るような勢いがあるのだが、まあ悪くはないもののバリー・アンドリュースのチープなキーボードが入っているせいもあり、何だか勢いのみでチャカチャカしていて落ち着きがない、という印象を受けるアルバムである。
ただ、後期では失われたこのパンクっぽさがいいというファンが意外に多いのも事実。
でも今聴くと若気の至り、という感じのアルバムで、この後の「BLACK SEA」以降の快進撃に比べると、正直言って私はこの初期2枚はどうもいまいちのめり込めないんだなあ^^;。
しかしこの時代の他のバンドに比べてヒネクレ度は高く、その音楽性は真っ当ではない。一筋縄ではいかない雰囲気はすでに持っている。
当時のUK Virginのマークが入ったオリジナルの黒いスリーブ付き。
レーベル・デザインも当時のデザイン。
ただ、アルバム曲に比べて同時に収められているシングル曲は3曲とも悪くない。
アルバム・ヴァージョンとはテイク違いの「This Is Pop」や「Statue Of Liberty」などはなかなかの佳作だと思う。
"This Is Pop" PV。
アンディ、メチャ若い!
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続いては「WHITE MUSIC」と同じ'77年の10月に早くも発売されたセカンド・アルバム「GO 2」。
プロデューサーは前作に引き続きジョン・レッキーが担当。
このアルバムも前作の延長線上にある内容で、相変わらずヒネクレたパンク・ロックを展開しているが、シングル曲を1曲も収録せず、というかたちで勝負をかけてきた。
しかし私はこのアルバムはXTCのアルバムの中でもっとも聴き込んでいないせいもあるが、インパクトに欠ける感じで内容が前作以上にピンと来ない。
このアルバムの前後に出された出来のいい何枚かのシングル曲に比べて、ヒネリ過ぎが裏目に出て非常に輪郭が掴みにくいのである。
久しぶりに聴いてみたが、前作同様、ダイアモンドの原石のような可能性は感じられるものの、相変わらずどうも馴染みにくいアルバムだった。
このアルバムには初回プレスに「GO+」という45回転の12インチEPが付いていた。内容は「WHITE MUSIC」とこのアルバムの曲のダブ・ヴァージョンが5曲収録されている。
ちなみにこのEPは1~2年後に単品で再発されたり、現在はCD化もされている。
"Are You Receving Me?" PV。
シングル曲だが、現在このアルバムのCDにボートラとして収録されている。
内容は今ひとつながらこのアルバム、実はアートワークが恐ろしく凝っているのである。
ジャケは裏も表も文字だらけ。ジャケ両面には「これはレコード・カヴァーである。この文字はデザインである。これを見て買ってくれると嬉しい。」などと書かれており、インナー・スリーヴにも「これはインナー・スリーヴである。」などと書かれた赤いスタンプが押されている。
ちなみにこれに倣って当時ビクターから出ていた国内盤のオビにも「これはレコードのオビである」なんてわざわざ書いてあった。
レーベルはこのあたりから使われ出したVirginのレギュラーなデザインのものだが、「これはレーベルである」などと、ここにもビッシリと文字が書かれている。
極めつけがコレ。
このアルバムには下のような折りたたみのインサートが入っているが、左下部分に何やら文字が書かれている。
そして裏ジャケを見ると、文字の羅列のうち曲目が書いてある真ん中あたりの部分が変なかたちに欠けているのだが(赤い矢印部分)、
この欠けている部分にインサートの左下部分を重ねてみると・・・
あ〜ら不思議(別に不思議じゃないけど)、欠けている文字が読めるようになり、曲目が分かるのである。
うぉぉ〜、なんて凝ってるんだろ〜!(笑)。当時これには驚いてしまった。ここまで来るともうアートと呼ぶにふさわしい。
ちなみにデザインはヒプノシスである。なるほど納得だ^^。
というわけでこのアルバムに関してはデザインの素晴らしさで買っても損はないアルバムではなかろうか(笑)。
以上、初期のこの2枚のアルバム、買って聴いたのが「ENGLISH SETTLEMENT」の後だったということもあり、あまり思い入れがないので個人的評価としては低めです^^;。
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ETCならよく知ってるんだけどなー(笑)
いやー欠けてるところこんな風に遊び心があるなんて
楽しいですね~♪
MASAさんが自分で気がついたのー?
by garko* (2008-09-10 01:08)
私のクルマにはETCが付いてません^^。
そう、自分で気が付いたんだよん。誰も教えてくれなかったし(笑)。
インサートの方に曲目が書いてあったんで、もしや?と思って重ねてみたら、あらビックリ!だったなあ。
でもgarko*ちゃん、私のこんなマニアックなアーティストばっかり取り上げてる記事読んでると、変に音楽通の人になっちゃうねー(笑)
by MASA (2008-09-10 01:19)
MASAさん、こんばんは。
MASAさん渾身のXTCシリーズ記事を読んで「ブラック・シー」を買ってきました。
最初はどうも良く分からなかったのですが、何度か聴いていくうちにスルメみたいにじわじわとその魅力にハマりつつあります。
実は「ノンサッチ」を10年ほど前に買って聴いたのですが、どうも私にはピンと来なくてこのままではXTCの魅力を知らずに終わってしまうのは残念だと思っていたのでMASAさんの詳しいXTC解説は興味深く読ませていただきました。
「ノンサッチ」も改めてじっくりと聴き込んでみますが、他のアルバムもぼちぼちと聴いていきたいと思っています。
by てらだ (2008-09-10 19:58)
てらださん、どうもです。
「ブラック・シー」買いましたか。それは嬉しいなあ^^。
ビートルズ・マニアのてらださんなら、「スカイラーキング」や「オレンジズ&レモンズ」もオススメです。
この2枚はビートルズっぽいし「ブラック・シー」より取っ付きやすいと思いますよ。
「ノンサッチ」はバンドとレーベルとの関係が不安定な時期に作られているので、確かにちょっと印象が弱めでピンと来ないかも知れませんが、聴き込むとよさが分かって来ます。
これを機にファンになってくれると嬉しいですね。
by MASA (2008-09-10 21:50)
おおっ、GO2のインナーと裏ジャケがそんな関係とは知りませんでした。驚きです。さすがMASAさん、素晴らしいです。紙ジャケも持っていますが・・
初期では、バリーのシンセがポップで好きでした。続きも楽しみにしています。
by pinkisland (2008-09-12 20:45)
pinkさん、驚きました?(^^);
私はこの初期2枚の紙ジャケは買わなかったんですが、このアートが再現されてるんでしょうかね?
私、バリー・アンドリュースのキーボードはあんまり好きじゃないんですよ^^;
バリーが抜けてからバンドの音がスッキリしたような感じを持ってしまうんですよね〜。テヘッ(笑)。
by MASA (2008-09-12 21:22)
このアート、光の加減もインナーもインサートも、紙ジャケでも再現されてます。
そうですね、ギターバンドとしてのXTCからすると、ブラックシーなんかはスッキリした立ち位置ですね。
バリーはロバートフリップのリーグオブジェントーメンに入ってましたね。
by pinkisland (2008-09-14 02:25)
あ、やっぱりちゃんと再現されてるんですね。
紙ジャケ買えばよかったかなあ〜。
そうそう、バリーはロバート・フリップとやってましたね。
シュリークバックっていう売れないバンドもやってましたけどね(笑)。
次回は「DRUMS AND WIRES」をUPする予定です。
ただいま鋭意制作中。お楽しみに〜^^。
by MASA (2008-09-14 03:59)