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中島美嘉「YES」 [アルバム・レヴュー]

3/14に発売されている中島美嘉の4枚目のオリジナル・アルバム「YES」を最近は頻繁に聴いている。
中島美嘉って人にはもともとあまり興味がなかったのだが、'05年に発売された前作「MUSIC」がけっこう気に入ってしまい、DVD付きの初回盤ということもあり今回も一応買ってみた。

YES (初回限定盤)(DVD付)

YES (初回限定盤)(DVD付)

  • アーティスト: 中島美嘉
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2007/03/14
  • メディア: CD

今回のアルバムは昨年中島がなぜかアメリカ南部へ音楽巡礼の旅に出た影響で黒人コーラスを多用したゴスペル風味の曲が多く、ちょっと黒っぽい雰囲気が全体的に漂っている。ただ、歌っている中島美嘉本人に黒人音楽をちゃんと歌いこなせるほどの技量やセンスがほとんどないため、あくまで"風味"程度に留まっている。しかし彼女もそんな自分の力量をちゃんとわきまえているようで、決して背伸びはせず与えられた楽曲を一生懸命に歌おうというけなげな姿勢を感じるので好感が持てる内容だ。

アルバムの冒頭を飾る曲は尾崎豊のカヴァー曲である「I LOVE YOU」だが、これがなかなかいい。
この曲にも尾崎豊にも全く思い入れがない私だが、ゴスペル風のコーラスやボトルネック・ギターを加えシンプルなアレンジを施されたこの曲に中島独特の儚げな歌声がまるで長年歌っている自分の持ち歌のようにピッタリとフィットしていて、泣けて来そうなくらい実にいい。こうして聴くとけっこう名曲だったんだねー、この曲。

このあと最新シングル曲「見えない星」、前シングル「素直なまま」と、映画「NANA」以降方向性が見えなくなっていたところで原点回帰となったしっとりとしたバラードが続くが、このあたりがやはり彼女の真骨頂で、こういうミディアム・テンポの曲がいちばんしっくりくる。

中盤に入ると2曲のシングル曲「CRY NO MORE」「ALL HANDS TOGETHER」と本場のゴスペル・コーラス隊をフィーチャーした楽曲で本格的にメンフィス〜ニュー・オーリンズ方面に行ってしまうのだが、ハッキリ言って彼女にここまでは無理!挑戦した意気込みは買うがまるで歌いこなせていないし、ここまでやるのは無謀だ。特に「ALL HANDS TOGETHER」は完全な失敗作だと思う。続くアッパーな曲調の「DANCE WITH THE DEVIL」に至っては最悪。まあ私の好みではないからかも知れないが、それにしてもなあ。

そもそもどーゆーいきさつでアメリカ南部なんぞを目指したのかその意図がよくわからない。"風味"程度で留まっている分には文句はなかったが、レコーディングには大御所アラン・トゥーサンまで担ぎ出し、本格的に黒人コーラス隊をバックに配したところで主役であるかんじんの中島がこれについて来れないことをやってもしょうがない。

これはおそらく本人側からの発案ではないと思うが、だとすると「中島美嘉にゴスペルを歌わそう、ニュー・オーリンズまで旅に出せ」なんていう、中島の個性やポテンシャルを度外視したことを考えたイタいブレーンがどこかにいるはずだ。これでは彼女が可哀想である。
ロックのキャラでは決してない彼女が映画「NANA」でロックに挑んだことにも私は多いに違和感を感じたが、両方とも向いてる方向性が思いっきり間違っていると思っているのは果たして私だけか?。「NANA」に出演して以降異様にマユ毛薄いし。平安時代かよ。ま、それはどうでもいい。

しかしその後アルバムの内容はしだいに持ち直していき、ピアノ1台で歌われる8曲目の「JOY」(ただし、英語の発音はイタダケナイな)や続くちょっとキャロル・キングやジェームズ・テイラー風の「THE DIVIDING LINE」と、中島は生気を取り戻していき、化粧品のCMソングとしても使用された10曲目のレゲエ調のシングル曲「MY SUGAR CAT」が登場するに至ってはそれまでの不満を一気に払拭するかのような素晴らしさだ。PVもいつになく可愛い。

続く3曲も中島本来の持っているよさを生かした楽曲が並び、このまま気持ちよくエンディングを迎えるかと思いきや、ラストにルイ・アームストロングの今やコテコテとなったナンバー「WHAT A WONDERFUL WORLD」を持って来てすっかりお茶を濁してしまう。だから中島にこーゆーのは合わないんだよっつーの!誰だ、こんなの持って来たヤツは。ガッカリの締めくくりだ。

とにかく中島美嘉って人は自然体でミディアム・テンポのバラードを歌っているのがいちばん美しいんだから、奇をてらったような小手先だけの装飾を施したりあんまりコネくり回したりしないで欲しかったというのが聴き終わった印象である。及第点はあげられるが、かろうじて、というところだ。
ただ、このところヘヴィ・ロテで聴いてるところを見ると、このアルバム決して嫌いではないらしい(笑)。


タグ:中島美嘉
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コメント 8

私もあんまり公言してませんが、中島美嘉大好きです。MASAさんと同じで、初期のMONDO GROSSOなんかと組んでた頃が良かった。アーバン系です?
NANAは映画はいいと思いましたが、曲はちょっと、、、プロデューサーには奇をてらわずに、ポップ&メローな路線に戻るように言いたいですね。アーバンというか、、、
by (2007-03-30 12:15) 

MASA

おっ、ayumusicさん隠れファンでしたか^^。
「NANA」は観てないんですが、中島美嘉が演じたキャラは原作のマンガにそっくりでしたね。まあ雰囲気は出てましたが、あれは中島美嘉がやらなくてもよかったんじゃないかと思いました。
やっぱ彼女にはメローな路線が一番似合いますよね。
by MASA (2007-03-30 21:59) 

milk_tea

中島美嘉、NANA出演に自ら触発され、NANAの仕事が終わっても何かずっとNANAっぽいのが気になります。
それに、眉・・・薄すぎますよねぇ。薄暗がりで彼女にバッタリ会ったら絶対悲鳴上げちゃうと思います。そのくらい怖い感じ。
デビュー当時はとっても可愛かったのに・・・。でも元々ちょっと変わったリアクションをしたり風変わりな私生活を公表してたことなど思い出すに、今の彼女が本当の彼女なのだと思いますね。
音楽も、秋元康的フツーのポップ&メローじゃ本人が物足りないのかもしれません。
by milk_tea (2007-04-02 22:38) 

MASA

あの眉毛はホントどうにかしてほしい。あれにブルーのカラコンだとコワイです。絶対夜道で遭遇したくないですね(笑)。
まあ確かにただバラード系の曲を歌ってるだけじゃもの足りないのか、何かを模索している一つの結果が今回のゴスペル調なんですかねー。でも絞る的が違ったって感じだなあ。
私はやっぱり以前のままがいいし、あんまり変に凝らないで欲しいですね。
by MASA (2007-04-03 01:10) 

milk_tea

思うのですが、彼女歌は確かに上手いのですが、音程とか要所要所があやしいですね。タイプというか、レベルでいうと華原の朋ちゃんみたいな感じじゃないですか。確かに上手いことは上手いんだけど、ちゃんと基礎から歌を学んできてない感じです。(まあ朋ちゃんよりはもう少し上手いか。でも彼女も全盛期はなかなか良かったですよね)
前の「Amazing Grace」とかが感じ良かったので、あの辺のムードから「じゃあ次、ゴスペルでも行ってみる?」てな方向になったんでしょうかね。
何だかんだ言っても、初期の「STARS」や「WILL」を端正かつGALっぽいルックスで美しく歌っていた時期が一番でした。「雪の華」も名曲ですよね。まああの辺までかな~
何にしろ、私が親なら即、眉から直させます。^^; それじゃ美嘉ちゃんアンタ男の子からモテなくなるわよ、と。
(視点がつい保護者的になってしまう。私も年取ったのかなぁ)
by milk_tea (2007-04-03 09:40) 

MASA

>彼女歌は確かに上手いのですが、音程とか要所要所があやしいですね。

そうそう、歌に表情が乏しく平坦ですよね。声に厚みがないというか、そんな感じもあるし。
そんな人に黒人音楽をやらせるっつーのがそもそも間違いだと思いますけどねー。

「雪の華」もですけど、「桜色舞うころ」、あれは名曲ですねえ。前のアルバムはあれを聴きたくて買ったくらいなんです。

>視点がつい保護者的になってしまう。私も年取ったのかなぁ

中島美嘉っていくつだっけ?
ひょっとしてmilkさんがヤンママで16,7で結婚してたら立派に母親という年齢でしょう。え、あんた人のことは言えねーだろって?全くごもっともでございます(笑)。
by MASA (2007-04-03 13:02) 

milk_tea

「桜色舞うころ」は何に入ってるんですか?聴いてみようかな。
そうですね、高校入ってすぐに、同じガッコのいっこ上の先輩とぉ、なんか仲良くなっちゃってぇ、先輩ん家に何度か遊び行ってる間にそんなことになっちゃったんだけどぉ~あたしも若いママになるの超憧れてたしぃ、もう産んじゃおっかってことになってぇ~
・・・・ということだと私には中島美嘉くらいの娘が居るってことになります!(長い!)
というか、MASAさんに到っては、ごくごく一般の経過を経て、普通に娘クラスでしょ!?(笑)
by milk_tea (2007-04-03 17:45) 

MASA

「桜色舞うころ」は本文でもちょっと触れた前作「MUSIC」の冒頭に入ってます。今回の「YES」よりはあっちのほうが好きですね。是非聴いてみて下さい。

>MASAさんに到っては、ごくごく一般の経過を経て、普通に娘クラスでしょ!?(笑)

まったくそのとおりで(笑)。25,6で結婚して子供を作ってたら、このくらいの年頃の娘が私にもいておかしくないんだよなあ。そう考えると恐ろしい年になったもんです。娘というより恋愛対象の範囲内って感じなんですけど(笑)。あんまり言うと「いいかげんにせーよオッサン」て怒られそうですね(笑)
でもこの年だとヘタすりゃ孫がいるよー(笑)。
by MASA (2007-04-03 22:51) 

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